438.深化篇:推敲のポイント(1/2)
「深化篇」も残りわずかです。
今回と次回で「推敲」について述べていきます。
寝かせて、縦書き印刷で、冒頭は主人公が出てきてテンポよく始まること。
最低限これだけのものが必要です。
推敲のポイント(1/2)
今回は「推敲」について見ていきたいと思います。
「推敲」とは文章の質を高めるために、なくてはならない最重要の課題です。
ここでうまく勘違いを訂正できるか。
段階を追って「推敲」を確認してみましょう。
原稿は寝かせる
一度書きあげた小説は「一晩は寝かせ」ましょう。
書きあげた直後は達成感がまさっているため多少のミスはスルーしてしまいます。
しかしクールダウンした頭脳で「推敲」を開始できれば、達成感が薄れて間違いや違和感を見つけやすくなります。
ある文章読本では「一か月寝かせろ」と書かれ、他の文章読本では「一週間寝かせろ」と書いてあるのです。
ですが小説を連載していると、寝かせている時間がありません。
そのため、連載小説なら「一晩寝かせ」ましょう。
これなら最低限の間違いには気づくはずです。
もし見逃しても編集さんや校正さんが指摘してきますので、心配しないでください。
意外に思われる方もいらっしゃるでしょうが、実は「推敲」に決まったやり方があるわけではないのです。
今回はその中でも優先順位を決めて「推敲」の流れを確認します。
縦書きで印刷
コンピュータで小説を書くとき、ほとんどの方は原稿を印刷せず、ディスプレイで「推敲」している思います。
すると半角英数字・半角カナを用いていても書き手は気づきにくいのです。
その状態で「小説賞・新人賞」に応募して「下読みさん」が原稿を読んだ際、縦書きで印刷してから読まれると半角英数字・半角カナが横倒しされた形になります。
「下読みさん」は必ず最後まで読んで寸評を書くものです。
しかし半角英数字・半角カナが含まれていると「手直しがたいへんだ」という印象が強くなります。
みすみす作品の格式を落としてしまうのです。
まず半角英数字・半角カナ、そして「ディスプレイに横書き」では気づかない「半角スペース」を見つけて「全角」に変えられるよう、間違いに気づきやすい「縦書き」で「推敲」してください。
紙に「縦書きで印刷」するのは、他にもメリットがあります。
コンピュータを開かなくても、電車で移動中やコーヒーチェーン店で「推敲」できるのです。
必要なのは「縦書き印刷」した原稿とカラーのマーカーもしくは多色ボールペン。これだけです。
面白いもので、紙に「縦書き印刷」するとコンピュータ上では気づかなかった点が如実に現れてきます。
小説投稿サイトでの連載小説だから、いちいち印刷していられるか、という方もおられるはずですね。
その場合は、Microsoft『Word』やJUST SYSTEM『一太郎』、Apple『Pages』のように、「縦書き表示」のできるエディタを使ってください。
フリーソフトにも縦書き表示で確認できるものがありますから、入力は横書きでも確認は「縦書き」で確認できて便利だと思います。
冒頭に主人公が出てきてテンポよく始まっているか
あれ、標題が想像していたのと異なる。そうお思いの方もいらっしゃるでしょう。
推敲とは誤字脱字や「推す」と「敲く」の使い分けを指すのではないか、ということです。
推敲で真っ先に確認しておきたいのは、文章の流れと言わんとするところです。
どんな内容の文章を書くのか、その文章は淀みなく流れているか。それができれば誤字脱字なんて些末なことです。
では今回のお題に入ります。
あなたの作品で主人公は冒頭に出てくるでしょうか。
アマチュアの書く小説にはよくあると伝え聞きます。
作品が始まっても第二章になるまで主人公がいっさい出てこない小説というものが。
なぜかといえば「作品世界の説明をしておきたい」からです。
小説で世界観・舞台を読み手に受け入れてもらえなければ楽しんで読んでもらえない。
その意見には一理あるのですが、たいせつな点を見落としています。
小説は「主人公になりきる」娯楽だということです。
つまり「先に主人公を出さなければ、読み手は主人公に感情移入できません」。
「主人公」は物語内での読み手自身です。
小説は読み手が主人公に感情移入して、世界観・舞台の中で躍動する物語だと言えます。
ではどうすれば「冒頭に主人公を出しつつ、世界観・舞台を読ませればいいのか」が気になりますよね。
主人公を「
あなたの世界観・舞台にぴたりと合う「
よく推理小説において「冒頭で死体を転がせ」と言います。
これも先に「
冒頭に主人公は出しました。
しかし物語の展開はテンポよく進んでいるでしょうか。
こちらも残念ながら、初心者の作品では「早いうちに世界観・舞台を読み手に知らせなきゃ」と焦ってしまいます。
せっかく「主人公」が冒頭に出てきたのに、世界観・舞台の説明が「これでもか」とあふれています。
そうではなく、ひとつの「出来事」では少しの世界観・舞台の説明にとどめ、「出来事」を畳み込むことで世界観・舞台が浮かび上がるようにするのが上手な書き方です。
最後に
今回は「推敲のポイント(1/2)」として二分冊の一を述べました、
「推敲」という成句は、中国唐代の詩人・賈島が「僧は推す月下の門」という詩で、「推す」がいいのか「敲(たた)く」がいいのか思い悩み、詩の大家である韓愈に相談したところ「敲く」がいいねと言われたことで「僧は敲く月下の門」とした詩が完成したことに由来します。
だから誤字脱字や適切な単語を用いているかを重視している方が多いのです。
ですがそれは真っ先に考えるべきことではありません。
まずは「
それらを畳み込むのです。
冒頭から単に世界観・舞台を書けばいいわけではありません。
だからと言って主人公を含む人物をたくさん出せばいいわけでもない。
そのバランスをとりながら、スピーディーな展開を作りましょう。
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