371.分類篇:ジャンルの区分(2/4)
今回は SFジャンルについてです。
『ピクシブ文芸』では「ファンタジー」とひとまとめにされているので、合わせた投稿本数はそれなりに多いのですが「SF」に関していうとやはり少ない。
そこで『小説家になろう』『カクヨム』で「SF小説」扱いされているものを提示しますので、ぜひ「SF小説」にも挑戦してみてください。
ジャンルの区分(2/4)
今回はSFジャンルを仕分けていきます。
SFジャンル
【VRゲーム】VR技術を利用したゲームが主体となる小説。
ゲームの中に没入して物語を疑似体験していく類いの小説は「VRゲーム」ジャンルになります。
「VR」は「バーチャル・リアリティー」つまり「仮想現実」「疑似現実」の略です。
SONY『PlayStation 4』で使える周辺機器『PS VR』は「VRゲーム」を体現している商品なのですが、売れ行きは芳しくありません。
まだ「VR」を活かしたゲームソフトが出ていないのがその理由ではないでしょうか。
たとえばCAPCOM『MONSTER HUNTER』シリーズを「VR」でプレイできたら、間違いなくウケると思います。
たとえ「VRゲーム」の世界で「恋愛」たとえば「乙女ゲーム」をしていたとしても「VRゲーム」が優先です。
「VRゲーム」内の世界が「異世界ファンタジー」であっても「VRゲーム」になります。
親和性の高い「おすすめキーワード」は「VRMMO」ですね。
「MMO」とは(マッシブリー・マルチプレイヤー・オンライン)の略で「大規模多人数同時参加型オンライン」のことを言います(訳は『Wikipedia』から引いています)。
あえて「VRMMORPG」と書かれていないのは、シミュレーションゲームや恋愛ゲームも想定しているからでしょう。
「VRMMORPG」と言えば川原礫氏『ソードアート・オンライン』がその筆頭に挙げられます。
『PS VR』のキラータイトル発売と小型軽量化など技術の進歩によって、今後のゲームの主役になりうる「VRゲーム」は、「SF」であろうとももう手が届くところまで来ているのです。
【パニック】天災・汚染・大事故・侵略などの危機的状況を舞台とした小説。
同じく読み手に恐怖心や危機感を与える小説として「ホラー」もありますが、「ホラー」は個人的・少人数にだけ恐怖心や危機感を与える規模です。
「パニック」は基本的に大規模な人たちに恐怖心や危機感を与えるような、天災・汚染・大事故・侵略などを指します。
J.J.エイブラムス氏脚本&マイケル・ベイ氏監督『アルマゲドン』やディーン・デヴリン氏脚本&ローランド・エメリッヒ氏監督『インディペンデンス・デイ』のようなものですね。
日本は「東日本大震災」で大地震と10メートルを超える津波という天災、福島第一原子力発電所のメルトダウンという大事故、原子炉が水素爆発して燃料棒が暴露した際に拡散した放射性物質という汚染を一度に味わいました。
「東日本大震災」はおそらく史上屈指の「パニック」です。
また東宝『ゴジラ』シリーズや円谷プロダクション『ウルトラマン』シリーズのように怪獣が現れたり、ウォルフガング・ペーターゼン氏監督『アウトブレイク』のようなパンデミックやバイオハザードものも大規模な人たちに恐怖心や危機感を与えるので「パニック」に類します。
親和性の高い「おすすめキーワード」は「エイリアン/怪獣/天災/バイオハザード/パンデミック」です。
【宇宙】宇宙を舞台とした小説。
「宇宙」を扱った小説も数多くあります。
大気圏外で物語が繰り広げられていれば「宇宙」で括れるのです。
田中芳樹氏『銀河英雄伝説』のように銀河系規模の話にもできますし、新海誠氏監督『ほしのこえ』のように地球と宇宙をつなげたアニメ映画もあります。
このうち『銀河英雄伝説』は間違いなく「宇宙」ジャンルです。
しかし『ほしのこえ』は宇宙を舞台とした「恋愛」ものなので、こちらは「現実世界恋愛」と解釈したほうがよいでしょう。
リドリー・スコット氏監督『エイリアン』は宇宙船にエイリアンが侵入して、乗組員を次々と捕食していく映画です。こちらは宇宙を舞台にした「ホラー」と解釈すべきかもしれません。
マンガの聖悠紀氏『超人ロック』は「宇宙」規模の物語ですが、「超能力」という「ファンタジー要素」「超科学要素」が入っているため、明確に「宇宙」なのか「ハイファンタジー」なのか「空想科学」なのか区分がしづらいと思います。
このように「宇宙」ジャンルというのはきわめて小さな範囲しかカバーしないのです。
親和性の高い「おすすめキーワード」も「スペースオペラ」くらい。
「スペースオペラ」は「宇宙」を舞台にした「騎士道的な物語」を指します。
よく『銀河英雄伝説』を「スペースオペラ」と称しますが、艦隊戦が主であり騎士道的な物語にはそぐわないですよね。
アニメですがタツノコプロダクション『宇宙の騎士テッカマンブレード』のような、個人の活躍で「悪なる存在」を打ち倒していく物語が、本来の「スペースオペラ」になります。
【空想科学】実在、非実在を問わず、何らかの技術・理論の要素を含む小説。
「空想科学」とは一般的に「SF」(サイエンス・フィクション)の訳語として知られています。
「SF」ジャンルであることは間違いないのだが、「VRゲーム」「パニック」「宇宙」に属さないものはすべて「空想科学」ジャンルに属するのです。
『小説家になろう』では「実在、非実在を問わず、何らかの技術・理論の要素を含む小説。」と定義されており、とくに「科学技術の発達した世界観」の小説だといえます。
「空想科学」で最も著名なのは賀東招二氏『フルメタル・パニック!』ではないでしょうか。
アーバレストと呼ばれる人型兵器が戦う1990年代を舞台にした小説です。
「ローファンタジー」との違いは「魔法」や「超能力」が出てこないところなのですが、「ウィスパード」の存在は「魔法」や「超能力」のような力だと言われれば「ローファンタジー」でもいいような気がします。
ただし「ウィスパード」は「超科学」なのだと定義できるのであれば「空想科学」で間違いありません。
親和性の高い「おすすめキーワード」は「近未来/人工知能/電脳世界/サイバーパンク/スチームパンク/ディストピア/タイムマシン」あたりでしょうか。
わかりにくいのは次の四つだと思います。
「電脳世界」は脳を機械化したものやネットワーク上に記憶が保管されているなど「サイバーパンク」とかぶる部分があります。アニメ『名探偵コナン ベーカー街の亡霊』が近しいと思われます。ですが「コクーン」というゲーム内で自由に動ける「VRゲーム」の側面があるため判断に迷うところです。一般的には「サイバーパンク」と同時に選択しておくとよいでしょう。
「サイバーパンク」はハイテク化した時代で人体と機械の融合などによって情報技術が飛躍的に進歩している未来観のことです。代表作はマンガ・大友克洋氏『AKIRA』、マンガ・士郎正宗氏『攻殻機動隊』、アニメ『COWBOY BEBOP』になります。
「スチームパンク」は蒸気機関によって引き起こされた産業革命がそのまま続いていたらという未来観のことです。代表作はゲーム『サクラ大戦』、アニメ『甲鉄城のカバネリ』などですね。
「ディストピア」は「ユートピア(理想郷)」とは正反対の状況のことです。代表作はマンガ・武論尊氏&原哲夫氏『北斗の拳』、アニメ『装甲騎兵ボトムズ』、アニメ『スクライド』、アニメ『メガゾーン23』などが挙げられます。
最後に
今回は「SF」カテゴリーのジャンル分けを見ていきました。
「SF」カテゴリーは技術の進展を想定したフィクション小説です。
どの方向に技術が進展したのかでジャンルを区別できます。
次回は「ファンタジー」のジャンル分けです。
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