363.孫子篇:七.軍争篇
今回は「ランキング争い」についてです。
いかにして他の書き手を出し抜くのか。拙速か巧遅か。
有名な「風林火山陰雷」も登場します。
孫子篇:七.軍争篇
「軍争」とは「戦場への先着争い」の意です。
いかにして他の書き手より先に「戦場」つまり「小説投稿サイト」へ投稿するのか。
それが「ランキング争い」を左右します。
出し抜きの術
小説投稿サイトでは、書き手が「こういうものを書きたい」と思ったところから始まり、資料を収集して知識を深めて、「他の書き手よりも逸早く投稿する」争いが最も熾烈です。
一見関係ないようなフリをして他の書き手を油断させ、他の書き手を出し抜いて先端の情報を真っ先に投稿します。
このようなことをする書き手を「出し抜きの術」を心得た者と言うのです。
ですが「出し抜きの術」には危険もあります。
すべての資料をかき集めて誰よりも知識を深めてから小説を書こうとすれば、他の書き手より後れてしまうことになるのです。
かといって手近な資料だけで小説を書いて投稿すれば、集めきれなかった資料の情報を欠くことになります。
また乗り後れまいと無理して休まず執筆を強行していたら、いずれ体を壊します。
このように小説というのは資料の情報がなければ完成しないのです。
「出し抜きの術」には危険もあるため、「ランキング」に載っている書き手の腹の内や考えを知らなければ、彼らと平和的に「ランキング」を共有することはできません。
その分野にどれだけの困難さが潜んでいるかを知らなければ、うかつに投稿できません。
その分野に詳しい仲間を得ないと、困難さを書くことで得られるはずの利益を得ることもできないのです。
「ランキング争い」とは他の書き手を欺くことを基本とし、「総合評価ポイント」(ブックマークや評価)を得られる要点を追い求め、書きたいものを自分の中で明確にしておいてさまざまな変化をなすものです。
「出し抜きの術」で誰よりも早く投稿するのは【風】のようです。
ストックがたまるまで投稿を控えるのは【林】のようです。
ランキングに載っている書き手に勝負を挑む激しさは【火】のようです。
たとえ他の書き手がこちらの「テンプレート」を真似しようとしても当初の構成が揺るがないのは【山】のようです。
これからの展開でどんなエピソードが起こるのかわからないのは【陰】のようです。
突然展開が激しく動くのは【雷】のようです。
フォロワーを増やしたければ、さまざまな属性を持つ人物たちを登場させましょう。
「総合評価ポイント」を高めたければ、読み手が読みたがる要点を「あらすじ」で確実に押さえます。
このように「ランキング」に載っている書き手に先んじる「出し抜きの術」を知っている者が勝つのです。
読み手のイメージを統一する
「文豪」の『文章読本』に「小説というのは音が伝わるわけではないので、どんな音がしたのかを書く。目で見えるわけではないので、どんな見た目なのかを書く」とあります。(ここは『孫子』の文脈を拝借しているので、実際に谷崎潤一郎氏や三島由紀夫氏などの『文章読本』に書いてあるわけではありません)。
音や見た目を書くのは、読み手が統一したイメージを描けるようにするためです。
統一されていなければ、どんな書き手であっても評価は伸びませんし、かといって連載を畳むわけにもいかなくなります。
こうした正攻法を用いれば、「ランキング」の書き手がこちらの作品に対抗する気をなくさせ、追い上げられている他の書き手の心を混乱させられるのです。
小説投稿サイトの活用法(1/2)
朝は集中力が鋭く、昼は気が緩み、夕暮れには萎れてしまうものです。
だからランキングに載ろうとする書き手は、集中力の高い朝を避け、気の緩んだ昼や萎れている夕暮れに投稿するのです。
これが小説投稿サイトをうまく活用するコツになります。
小説投稿サイトでは落ち着き整った状態で忙しない書き手を待ち受け、静かな状態で騒然とした書き手を待ち受けます。
こうすれば小説投稿サイトで心静かに投稿していられるのです。
投稿時機が近くなったら予約している書き手の作品が自動投稿され掲載されるを待ち、他の書き手が投稿して疲れている時間帯まで待ち、読み手の多い時間帯に投稿するのです。
こうすれば小説投稿サイトで作品の能力を遺憾なく発揮できます。
「ランキング」上位の書き手の投稿時間を狙って迎え撃ってはなりません。
「
これでは小説投稿サイトで能力がじゅうぶんに発揮できなくなります。
小説投稿サイトへ投稿するときの原則は以下のようになります。
「ランキング」上位を対決相手に選ばない。
「ランキング」を背景にして攻めてくる書き手を迎え撃たない。
こちらを誘うためにわざと評価を下げるような書き手に追撃しない。
小説投稿サイトをうまく利用している書き手を攻めない。
他の書き手のオトリ(これを書けば利益になりそうだが、実際書くと評価を下げるような要点)に食いつかない。
連載を終了した書き手に立ちふさがってはならない。
他の書き手を射程圏内に収めたときは必ず退路を開けておく。
連載が不調になり始めた書き手を追い詰めすぎない。
以上が投稿するときの原則です。
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「出し抜きの術」「読み手のイメージを統一する」「ランキング争い」について書かれています。
「出し抜きの術」は他の書き手に先んじて投稿すべきです。
後追いの形になると「パクリ」だと言われてしまいます。
また資料の知識や情報がなければ、せっかく先んじても「底が浅い」「かるく触れただけ」の投稿になってしまうのです。
かといって資料の知識や情報を集めて「味わい深い」エピソードにしようとすれば、他の書き手に「出し抜かれる」可能性が否定できません。
このバランスをとるのが難しいのです。
そして『孫子』といえば知らぬ者のない「風林火山陰雷」が出てきます。
「出し抜きの術」をするための必須事項をわかりやすく述べていますが、元々が兵法書なのでうまく小説の書き方にうまく適合させられていないような気もします。
「読み手のイメージを統一する」について。
たとえば「胸が大きい」ということを「巨乳」と書いたら、読んだ人それぞれの基準の「巨乳」を思い描くため、全員に同じ「胸の大きさ」をイメージさせられません。
これが絵で見せられるイラストやマンガやアニメと、文字だけでしか伝えられない小説との違いです。
だからといって「Dカップの」とか書いてもイメージできるのは女性か下着に詳しい男性くらいなものでしょう。
比べるものがあれば、読み手が共通の「胸の大きさ」をイメージさせられます。
「ランキング争い」は「負けない戦い」を標榜する『孫子』の要です。
ここでは「他の書き手が投稿していない」時間帯であり、かつ「読み手が多く訪れる時間帯」であることの重要性が説かれています。
また「ランキング」上位や急上昇中の書き手とは直接競わないことも重要です。
最後に
今回は「軍争篇」です。
「出し抜きの術」はとくに「小説賞・新人賞」において顕著です。
真っ先に投稿すれば「総合評価ポイント」が高くなりやすく、文字通り他の書き手を「出し抜く」ことができます。
「読み手のイメージを統一する」ことはほとんど「ついで」のような扱いです。
「ランキング争い」に関しては次の篇にも出てきますので、分量の関係でこちらに回ってきたものだと思います。
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