241.意欲篇:今を楽しむか振り返ったとき楽しかったか

 本日二本目です。(『ピクシブ文芸』掲載時)

 本投稿の文字数が2,199字しかないため、本日中に投稿致しました。

 今回は「今を楽しむ」か「将来振り返ったとき楽しかったと思えるか」のお話です。

 あなたはどちらのスタイルで小説を書いているのでしょうか。





今を楽しむか振り返ったとき楽しかったか


 あなたは今を楽しんで生きていますか。

 今を楽しんで生きていれば、その日その瞬間とても幸せな気持ちを味わえます。

 しかしそれで「あなたが求める理想」から逸れていったとしたら。

 そのまま今を楽しんで生きていてよいものでしょうか。




今を楽しむ人

 今を楽しむことはいいことです。やっていてとても楽しくて、時を忘れてしまうくらいはしゃげます。

 こんなに楽しいことはない。

 だから「今を楽しまない人なんて人生の大半で損をしているよ」とさえ言い切ります。

 今さえよければそれでいい。楽観主義の最たるものでしょう。

 そのことを批判するつもりはありません。人それぞれで価値観が異なりますからね。


 ですが将来を考えず「今を楽しまなければ損」と思って暮らしていたら、将来あなたはどんな状況に陥るでしょうか。

 ひょっとしたら破滅するかもしれませんよ。

 寓話『アリとキリギリス』はご存知ですよね。

 あなたは「今を楽しまなければ損」と思ってキリギリスになっていませんか。

 その後キリギリスはどうなりましたか。

「今を楽しんで生きる」ことは確かに気に病まず生きるためには必要なことでしょう。

 ですが将来への備えも怠らないことはそれよりはるかに大事です。


「今を楽しんで生きる」ことで「将来どうなったってなんとかなるさ」の心理に陥ったら。

 いざ将来がやってきてとんでもない不利益が襲いかかってくるかもしれません。


 タバコをやめられず肺ガンになる。お酒をやめられず肝ガンになる。おいしいものばかり食べてしまい痛風になる。覚醒剤に手を出してしまい廃人になる。

 これらのことがあなたの身に降りかかるかもしれません。


 これでもまだあなたは「今を楽しまなければ損」だと思いますか。




振り返ったとき楽しかったか

 たとえ今が苦しくても、将来振り返ったときに「あのときの苦労があったから今が楽しいんだな」と思えたなら。

「今を楽しんで生きる」人よりも「いい記憶」「苦しかったけど楽しい記憶」が頭の中に残ります。

『アリとキリギリス』のアリは、将来のために「今を楽しまず」せっせと働きました。

 その後アリはどうなりましたか。

 冬が来ても生活に困らなくなりましたよね。夏場の苦労があったればこそです。

「今を楽しんで生きる」人は「将来どうなったってなんとかなるさ」の心理に陥って、将来著しい不利益を被ってきっと後悔するでしょう。


 タバコを吸わなくなったから肺ガンにもならなかった。酒を断ったから肝ガンにもならなかった。おいしいものを控えたから痛風にもならなかった。覚醒剤に手を出さなかったから健康な脳が維持できた。

 将来になってから後悔しませんよね。


「今を楽しんで生きる」をとるか「将来振り返ってあのとき苦労したから今を楽しめる」をとるか。それは人それぞれです。

 でも「今楽しんで将来苦労する」のと「今苦労して将来楽をする」ことのどちらがいいのでしょうか。

 タバコ・お酒・おいしいもの・覚醒剤という極端な例を出してみましたが、「今苦労して将来楽をする」ほうが総合的に「よい人生」だと思いませんか。

 将来になって「なぜあのときこんなことをしてしまったのだろうか」「なぜあのときこれをしてこなかったのだろうか」と後悔する場面は人生であれば必ず出てきます。

 あなたは将来後悔したいのですか。




小説を書くときも

 これと同じことが「小説を書く」ことにもつながってきます。


「今ウケのいい小説を書いて楽しめればいいさ」という書き手と「将来振り返ってあのとき苦労して頑張ったから今小説を書くのが楽しいんだ」という書き手。

 どちらをとるか。それは人それぞれです。

 タバコなどと同じように「今苦労して将来楽をする」ほうが総合的に「よい書き手人生」だと思いませんか。


 だから「将来」のためになるのであれば、「今の苦労」を厭わないでください。

「あのときこうしていれば」と後悔しないためにも。


「今の苦労」たとえば「小説を投稿してみたけど不評だった」からといって、「今を楽しむ」たとえば「今流行りの小説のテンプレートで小説を書こう」ということではダメなのです。

 まったく身のためになりません。

 さまざまなジャンルのさまざまな作風を試して「今の苦労」を厭わないでください。

 そんな書き手は自らの作風や文体を逸早く確立して、将来「今を楽しむ」書き手の百歩先を歩いている可能性が高くなります。


「今の苦労」のことを「努力」と言います。

 あなたは小説を書くときに「努力」していますか。

 手早く評価やブックマークが稼げるからと、流行りのテンプレートに手を出していませんか。


 テンプレートはそのまま用いるのでは意味がないのです。

 自らの作風や文体でテンプレートを用いるから差別化が図れます。

 手軽さに流されると将来「あのときなにかできたのではないだろうか」と苦しむことになるのです。

 それでもあなたは「今を楽しむ」つもりですか。




最後に

 今回は「今を楽しむか振り返ったとき楽しかったか」について述べました。

「今を楽しむ」のはとても居心地が良い。それは確かです。

 でも必ず「将来苦しむ」と考えてください。

 タバコもお酒もおいしいものも覚醒剤も。その場限りなら「楽しい」のでしょう。

 でも必ず「将来苦しむ」のです。


 今あなたは人生の岐路に立っています。

「今を楽しんで将来はどうにかなるさ」なのか「今は苦労しても将来楽しめればいいんだ」なのか。

 どちらの道を歩みますか。



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