193.再考篇:学校では文章の書き方を習わない

 今回はちょっと衝撃的なタイトルを使いました。

 皆様は学校で文章の書き方を習った憶えはありますか?

 私はないんですよね。なのに読書感想文は書かせられる。理不尽このうえないのです。





学校では文章の書き方を習わない


 衝撃的なタイトルを付けてみました。

 でもご自身のことを振り返ってみましょう。私は高校までしか卒業していません。ですが小学校から高校まで、一度も「文章の書き方」を習った憶えがないのです。

 皆様の中には「国語の授業があるでしょう」と思われた方もいると思います。では国語の授業で本当に「文章の書き方」を習いましたか。おそらく習わなかったはずです。

 授業では小学校から「ひらがな/カタカナの読み書き」「漢字の読み書き」「名文の音読」「名文の意味と読解」くらいしか習わなかったと思います。

 なのに夏休みになると「読書感想文」を書かされるのです。だから「読書感想文」は書けなくて当たり前。

 だって「授業で文章の書き方を教わっていない」のですから。




単語を読み書きするのと文章を書くのはまったく別物

 国語の教師も文部科学省も、なぜ「文章の書き方」をわれわれに教えてくれないのでしょうか。「文章を読めるなら書けて当然だろう」という驕りがあるのだと私は見ています。

 だって英語は単語と文法(SVOCなど)を懇切丁寧に教えて、「英文の翻訳」も教えてくれるのです。つまり「英文の書き方」は教えてくれます。なのに日本語の「文章の書き方」は教えてくれません。

 そもそも単語の読み書きができることと、文章が書けることには大きな隔たりがあります。

「上がる」と「下がる」はどういう状態なのかとか、「早い」と「速い」の違いはとか、「預ける」と「預かる」の関係はとか、そんなことを知って文章が書けるようになるでしょうか。

 推敲するときには役立つでしょうが、文章を書くことにはほとんど役立ちません。


「国語の点数」がいくら高くても、それだけで文章が書けるわけではないのです。

 ちなみに私は小学校から高校まで国語は最高判定を取ってきましたが、書いた小説は本当に拙いものになりました。

「国語の点数」と「小説の書き方」がリンクしていない好例です。

 文章を書くには「文章の書き方」そのものを教えてもらわなければなりません。

 学校教育では教えてくれないので「文章の書き方」は自分で模索するしかないのです。




文章読本のほとんどが役に立たない

 そこで最初に手にするのは「文章の書き方」「メールの書き方」「敬語の使い方」などに見られる「文章読本」の類いの書籍でしょう。世には数多くの「文章読本」が存在しています。

 でもほとんどが助詞の「は」と「が」の違いはとか、助詞「に」は行く場所で「へ」は行く方向だとか、「二重敬語はダメ」だとか、そんなことしか書いてありません。

 本当の意味での「文章の書き方」を書いてある書籍は数えるほどです。ですが小さな本屋では多種の「文章読本」を置くスペースはないので、その中からとくに有名なものだけが置かれています。

 つまり書店に置いてある「文章読本」のほとんどが役に立たないのです。




何度も書き直させられて嫌になる

 ではこれまで満足に文章を書けなかった人が、小説を書けるようになるにはどうすればよいのでしょうか。

 最も有効なのは「文章の書き方」を教わること(最善策)、

 次いで数を書いて批評されそれを手直しして「場数を踏む」こと(次善策)です。


 大学を卒業するには否応なく「卒業論文」を書かなければなりません。

 企業に就職したら否応なく「報告書」を書かせられます。

 いずれも内容が悪いと書き直しを命じられるのです。

 これまで「文章の書き方」を教わっていないのですから「卒業論文」も「報告書」も「場数を踏む」こと(次善策)でしか書けません。

 こうやって「文章を書く」ことが「嫌なこと」だと刷り込まれていくのです。




文章の基本は5W1Hを盛り込むこと

 英語の授業では5W1Hを盛り込んだ英文を書かせられます。英語が小学校高学年から必修科目となりましたので、本コラムをお読みの方はすでにご存知ですよね。

 「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(誰と誰が)」「What(なにを)」「Why(なぜ)」「How(どうやって)」の六つになります。

 日本語の文章であってもきちんと5W1Hを盛り込みましょう。そうすれば伝えたい内容は正確に伝わります。その最たるものが新聞記事です。

 5W1Hについて詳しく知りたい方はコラムNo.170を参照してください。

 ただし一文に5W1Hすべてを詰め込もうとすれば一文の文字数が百字を超えてしまうこともよくあります。

 一文が長くなるほど一読して納得できる読み手の数が少なくなるのです。ですので5W1Hの要素を複数の文に分けて書き、文章全体で5W1Hがカバーされるようにしてください。

 「いつ・どこで」の文と「誰が」の文と「何を・どうやって」の文と「なぜ」の文に分けるような書き方です。

 このあたりは新聞記事を数多く読んでいれば肌感覚でわかるようになります。新聞を購読されていない方は図書館に通いましょう。図書館には全国紙がたいてい置いてありますので、毎日通えたら相当数の記事を読めます。

 図書館の開いている時間は学校や仕事に行っている方でしたらインターネットのニュースサイトをチェックしてみましょう。『Yahoo!ニュース』でもかまいません。ただしニュースサイトは誤字脱字が多かったり文章がおかしかったりする記事がかなりあります。

 たいていの記事は文責が筆者にあり、新聞社やマスメディアはあくまでも寄稿先に過ぎないことが多いからです。ニュースサイトでは誰も校正していないので、新聞紙よりも粗悪な文章になりやすいといえます。

 5W1Hを盛り込んだ「文章を書く」ことで「文章の書き方」がわかるのです。




日記を書こう

「文章の書き方」を習得したい方はぜひ「日記」を書いてください。できれば毎日書いてインターネットで公開しましょう。

 つまり「読み手がいる日記」を書くことをオススメします。一昔前のブログブームがまさにそうでした。

 ですが今どきブログを書いても読んでくれる人はとても少なくなりました。とくに一般人のブログなんて読もうとしないのです。

 今でもブログを読んでもらえるのは有名人や芸能人だけ。一般人の文章を発表する場は次第にSNSソーシャル・ネットワーキング・サービスへとシフトしています。

 であればSNSで「読み手がいる日記」を書きましょう。


 なぜそんなに「読み手」を想定するのか。

 皆様に「相手に伝わるように書く」意識をつけてもらいたいからです。

「読み手」がいなければどんな文章を書いても誰も読まないので文章が伝わったかどうか誰も判断できません。

 でも「読み手」がいれば支離滅裂な文章では誰も読んでくれなくなります。多くの方に読ませるには「読み手に伝わるように書く」しかないのです。


「日記」は今日起こった出来事について書くのが基本ですが、テレビやインターネットのニュースから題材を選んでそれについて自身の考え方を書いてもかまいません。とにかく「文章を書く」ことを日常化して繰り返してください。

 5W1Hを盛り込んだ文章なら読み手に伝わります。


 「日記」を書くのに適したSNSはズバリ『mixi』です。すでに過疎化が始まってはいますが、今でも『mixi』を利用する人は「mixiニュース」をよく読みます。その記事に「日記」が書いてあれば「読んでみようかな」と思う方も出てくるのです。

 『Twitter』は140字制限がありますので、長い「日記」は書けません。

 『Facebook』はつながっている人でないと読んでもらえません。

 ましてイラスト投稿SNSサイトである『pixiv小説』に「日記」をアップしても誰も読むはずがないのです。

 でも「mixiニュース」は『mixi』ユーザーであれば誰でも読むことができますし、コメントや日記を書くことができます。「日記」を書くうえでこれ以上望ましいSNSは他にないでしょう。





最後に

 誰も「小説の書き方」を教えてくれないのなら、私が書いている方法を紹介してみようと思い立ったのが、この「小説の書き方」コラムです。

 これまである程度「文章が書ける」方を対象にしてきました。ですが今回は「文章を書く」のが苦手な方を対象に書いています。

「文章の書き方」を知っている方には蛇足ですが、そもそも「文章の書き方」は知らないけど「小説は書きたい」と思っている方も多くいるはずです。

 本コラムがそのような方の一助になればと思います。



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