75.実践篇:相関図を作る
それで物語に必要なキャラ、不要なキャラがわかります。
相関図を作る
登場人物の
「相関図」を作るとは「このキャラとこのキャラはこういう関係です」というものを一覧図にして表すことです。
まとめられるかまとめられないか
「相関図」という一覧図でうまくまとめられる範囲内のキャラは小説内に登場させても違和感がありません。人間関係がとても簡潔だからです。
とくにこれから小説を書こうという人は、この「うまくまとめられる範囲内のキャラ」に限ってその人たちに活躍してもらいましょう。
そんなとき、どうしてもうまくまとめられないキャラが出てきます。
小説内世界での「異端児」とでもいうべきでしょうか。
まとめられないキャラはそれだけで描写が大変になります。
「誰にとってどんな存在なのか」という線の結べない相手同士を絡ませるのにはかなりの無理があるからです。
率直に言えば「キャラが場から浮きます」。
「なんでこんなところにいるんだよ。お前」というキャラは存在感がありすぎて目立ちまくりです。
ある意味「主人公より目立ち」ます。
いっそその関係がまとめられないキャラを主人公にしたほうが手っ取り早いくらいです。
あくまで小説開始時点のもの
相関図はあくまで「小説開始時点」のものです。それ以降はさまざまな「エピソード」を通じて人間関係が変化していきます。
話を進めていくうちに人間関係がわかりにくくなったら都度相関図を書き出しましょう。その時点での人間関係を再認識することで、読み手に違和感を抱かせない描写が可能になります。
それまで仲が良かったのに、ある
逆にそれまで親しくなかったけど
縁のない間柄だったのに何かがきっかけで結婚までしてしまう男女だって現実にいるのです。
人間関係が変わることでキャラは成長する
「
書き手はそうやってきっかけを作り、人間関係を変化させていきます。これがキャラの成長を描くことにつながるのです。
これは「離れていた者同士がくっつく」「くっついていた者同士が離れる」という相反性だけを言っているのではありません。
「元から親しかったけどさらに絆が深まった」「元から疎遠だったけどさらに遠のいた」という方向性の強化としても描かれます。
もちろん
こういった人間関係の変化によって、人はあらゆることを学んでいきます。
だからこそ人間関係の変化は、キャラの成長を描く重要なポイントになるのです。
誰をどう呼ぶのか
書くべきことは「誰と誰がどういう関係なのか」なのは当然です。
それに追加して「誰が誰をどう呼ぶか」ということも重要になります。
相関図ができたら、その線に「互いに相手をどう呼んでいるのか」を書いておくと実際に小説の文章を書くときに迷わなくてよいです。
「相手をどう呼ぶか」ということは、小説を書く際とくに疎かになりがちな部分ですが、ここがブレてしまうと
普段「姓に『さん』を付けて」呼んでいるのに、ある部分で「名前に『さん』を付けて」呼んでしまった。
これは原則アウトです。
ただ
たとえば自分の姉を家族内ではいつも「姉貴」と呼んでいるけど、学校の先生の前では「お姉さん」と呼ぶ場合です。
母親についても家族内だけなら「ママ」と呼んでいたとしても、家庭外の、たとえば市役所の役人の前では「母」と呼ぶことは常識になっていますよね。
このように
もちろん家庭外の人に対しても「うちのママはこんな弁当を作ってくれたんだ」と『ドラえもん』の骨川スネ夫のように言うキャラも「あり」です。
家庭内ではこう呼んで、仲間内ではこう呼び、それ以外の人の前ではこう呼ぶ。この三種類の呼び方を相関図に書いておきましょう。
ただ日本人の場合それ以外の人の前では基本的に知り合いであっても敬語を使うものなので、敬語のルールに従う場合はとくに書かなくてもよいです。
敬語のルールから逸脱するのであればとくに書き込んでおく必要があります。
ここは要注意です。
最後に
今回は「相関図を作る」ことについて述べました。
小説には大量の人物が登場します。その人物が他の人物とどういう関係にあるのかをつねに把握しておかなければ、よい小説は書けません。
「親しくないはずの人と話が弾む」というのは、たとえばアイドルのような共通の人物のファン同士でないと成立しないでしょう。
「親しいはずなのによそよそしい話し方をしている」場合、人間関係に微妙な変化があったのか読み手に「なぜ」が投げかけられます。
読み手は「なぜ」が気になって続きが読みたくなります。
そこで「答え」を必ず示してやることも書き手の責任です。
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