66.中級篇:美少女と美女と強い女性
魅力的なキャラを出そうにもなかなか思い浮かばない。
ひねり出しても皆同じになってしまう。
それを打破するのが「美少女・美女・強い女性」の三種です。
美少女と美女と強い女性
物語にはたくさんの登場人物がいます。
その中に「美少女」と「美女」と「強い女性」を必ず登場させましょう。
とくに「ライトノベル」を含む「エンターテインメント小説」では必須です。
たったそれだけで読み手があなたの小説をぐっと身近に感じてくれます。
美少女の存在意義
「美少女」を登場させる理由はなんでしょうか。
読み手に「親近感」を持たせるためです。
男性が読めば「こういう子がいると悪い気はしないね」となりますし、女性が読めば「こういう子は私に近いかも」となります。つまり「親近感」の対象になるのです。
それなら「美少年」を出せば女性ウケして読み手が増えるのではないか。そう思ってしまいますが、なぜかヒットしません。
男性が読めば「こんなヤツがいるとウザい」と断じますし、女性が読めば「弟のような存在だから近すぎるのよね」となります。
なぜか「美少女」はウケるのに「美少年」はウケないのです。
私がこれまで書いてきた小説の反響を見ると一目瞭然でした。
美女の存在意義
「美女」を登場させる理由は、読み手の「憧れ」を投影できるからです。
男性が読めば「この人のことが好きだな」と思ってくれますし、女性が読めば「こういう人になりたいな」と思ってくれます。
よって読み手の「憧れ」の対象になるのです。
それなら「美男子」を登場させたら女性ウケして反響がいいんじゃないか。
そう思ってしまいますが、実は「美男子」の登場する小説もなぜかヒットしません。
男性が読めば「キザなヤツ」と切り捨てますし、女性が読めば「ウケの良さそうなキャラを作っているな」と深読みされてしまいます。
なぜか「美女」はウケて「美男子」はウケないのです。
私の小説の中にも「美男子」というか「好青年」が登場する作品があります。
でも反響は今ひとつどころではありません。ほとんどいいねもブックマークも付かないのです。
そのことから見ても「美男子」はまずウケません。
強い女性がいると華が出る
エンターテインメント小説では「強い女性」を出すだけでかなりウケがよくなります。
現代は「男女平等」を推進している社会です。
「職場で第一線を張る『強い女性』」がいる小説はそれだけで大きなアドバンテージを有します。
登場人物に男性が多い小説だと書きやすさからつい「弱い女性」を書きがちです。
そんな男性陣に負けない「強さを持った女性」が活躍している姿には華があります。
水野良氏『魔法戦士リウイ』では主人公である男性のリウイに対して冒険者のパーティーとして三人の女性が登場します。
「美少女」のミレル、「美女」のメリッサ、そして「強い女性」のジーニです。
さらに彼女たちはいずれもそこらにいる男性よりも「気の強い女性」として描かれています。
主人公リウイは彼女らの「気の強さ」を大きな包容力を持って受け入れるのです。否定していません。
これはかなり重要です。
「強い女性」を出したはいいが男性陣から否定的に貶められるような小説では、読み手が離れていくだけです。
賀東招二氏『フルメタル・パニック!』では主人公である相良宗介の周りに「美少女」のテレサ・テスタロッサ、「美女」のメリッサ・マオ、「強い女性」の千鳥かなめがいます。
かなめが「強い」のは戦争ボケしている宗介に対する鋭いツッコミで表現されたのでした。
実戦闘力という点では当然マオのほうが強いんですけどね。
鎌池和馬氏『とある魔術の禁書目録』では主人公上条当麻も「レベルゼロの無能力」として扱われています。そのうえで最高ランク「レベル五」に位置する御坂美琴を始めとする「強い女性」がたくさん出てくるのです。
「気の強さ」という点なら渡航氏『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』もじゅうぶん参考になるでしょう。
また現代は「男女平等」の意識が高まっており「強い女性」の姿には女性読者も「憧れ」を抱きます。
『このライトノベルがすごい!』の女性キャラの人気ランキングを見ても「強い女性」が上位にいることがわかるはずです。
BL小説では逆の結果に
女性が好んで読む「ボーイズ・ラブ小説」略して「BL小説」では逆の結果が出ます。
「美少女」がダメで「美少年」がたくさんいたり、「美女」はダメで「美男子」がたくさんいたりすれば女性の読み手は「ご褒美」だと思うのです。
女性は登場人物の関係性を、妄想であれこれと考えるのが得意です。
男性にはこれが殊のほか難しい。
「ライトノベル」を含む「エンターテインメント小説」は妄想よりも実利路線で「美女・美少女・強い女性」がヒットする要因になります。
でも「BL小説」に限れば「美少女」も「美女」も「強い女性」も要らないのです。
頭のなかで「美しい」と感じる「イケメン」の関係性を妄想して楽しむのが「BL小説」になります。男性から見ればそれのどこが面白いんだよと思うわけです。
女性が出てくるとそれを「自分」だと感情移入しやすいのも女性の特徴です。
BLの元祖ともいわれるゲームの光栄(現コーエーテクモゲームス)『遙かなる時空の中で』では「逆ハーレム」つまり主人公の「女性」とたくさんの「イケメン」が出てきます。
そして「イケメン」同士によるカップリングが自然発生的に出てきたのです。
近年ではアニメ『うたの☆プリンスさまっ♪』も同様に一人の女性にたくさんの「イケメン」が取り囲んでいます。
かといってそのうちの誰かだけを好きになるのは稀です。
たいていが「イケメン」同士のカップリングに興味が移ります。
また近作ではアニメ『ユーリ!!!! on ICE』はほとんどの男性が(フィギュアスケートは美を競うスポーツなので必然的に)「イケメン」で、女性も観客や脇役としてしか出てきません。
ある意味「カップリングして楽しんでくださいね」というメッセージが込められたアニメかもしれません。
そういう意味では赤塚不二夫氏『おそ松くん』を原作に、六つ子が成長して全員ニートな『おそ松さん』も「カップリングを楽しむ」アニメだったといえますね。
(この例示のあたりに2017年の空気が感じられます)。
アニメは女性ウケしたほうが強い
アニメに関しては男性より女性が強い影響力を持つ印象を受けます。
男性向けよりも女性向けアニメのほうが関連グッズの販売が好調なのです。
主題歌CDの売上も女性向けのほうが高くなります。
アニメ・ビッグウエスト『マクロスΔ』も女性ファンを意識した作りをして、たくさんの女性ファンを獲得していきました。
「美少女」はフレイア・ヴィオン、「美女」は三雲・ギンヌメール、「強い女性」はカナメ・バッカニア、ミラージュ・ファリーナ・ジーナスと基本的な要素は確実に押さえています。
でも女性視聴者層は主人公周りの三角関係はそっちのけです。
途中退場するエースパイロットと音楽ユニット「ワルキューレ」のリーダーであるカナメの関係性は男女を問わず人気が高くなっています。
でもウィンダミア王国の宰相とエースパイロットとの男同士の関係性が女性にはウケたのです。
それを題材にしたコミックスも公式で発売するくらいなので、制作会社も男同士の関係性が人気であることを分析していたのでしょう。
最後に
今回は「美少女と美女と強い女性を登場させる」ことについて述べてみました。
この組み合わせはかなり鉄板ではあります。
小説でもマンガでもアニメでも、大ヒットした作品にはたいていこの三人が登場するくらいです。
また女性向けBL小説では逆に数多くの「イケメン」が登場しなくてはなりません。
どちらにせよ、キャラをうまく当てはめることさえできれば、あなたの小説は人気が出てくるでしょう。
オリジナル小説であれば人気が出たら「紙の書籍化」のオファーがあり、さらに好評ならマンガ化やアニメ化の話に進みます。
そのとき「美女と美少女と強い女性」がいれば、さらに幅広い層の支持が得られて作品は大ヒットするでしょう。
出さない理由がないですよね。
まぁ今からそこまで気を回してもしょうがないのですが、小説投稿サイトで作品の人気を高めるために使えばいい知識だと思います。
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