22話
「茜」
茜の部屋を開けると、茜は誰かと電話しています。
茜は私を見ると申し訳なさそうに頭を下げてきます。
私はハガキを茜から貰うために茜が電話を終えるまで待つため、茜のベッドの上にダイブして、スマートフォンでわかばちゃんの出ている番組を見ています。
基本的にわかばちゃんの出ている番組は深夜帯ですが、少しずつ時間が早くなっている気がします。
近藤さんが来るまで、テレビの話しなんて一度もなかったらしいので変態ですがやり手のプロデューサーでは有るようです。
ピーチのメンバーも見ていてハラハラハして面白いのもテレビ出演が立て続けに起こっている理由ですが。
これはもう少しでひなこたんの知名度をわかばちゃんが抜き去りそうです。ひなこたんって正直一部界隈での熱狂的な人気に支えられて成り立っていますから知名度はあんまり無いのです。
そもそもヒット曲が無いのです。因みに、有名歌手が丁度新曲のCDを出していなかったのですが、ピーチのTo the skyのシングルCDは週間売上一位を獲得したそうです。ピーチはトップアイドルって言って良いのでは無いでしょうか?
「お姉ちゃん、どうしたの」
茜は私の隣に寝転んできます。
至近距離で見る茜も可愛いです。
流石、天使です。
「ひなこたんから届いた封筒のこと知らない?」
「ん」
茜は私の胸に頭を埋めてぐりぐりする。
少しむず痒い。
「あっ」
茜は思いだしたようで私から離れると机の上にある封筒の束を二三回見直してから淡いピンク色の封筒を取り出す。
「ごめん、仕分けるの忘れてた」
茜が忘れるのは珍しいです。
基本的に仕事が出来たらさっさと終わらせてしまうのです。茜は宿題も出されたその日に終わらせるタイプです。
「別に良いよ。じゃあ、部屋に戻るね」
私が封筒とスマートフォンを持って出て行こうとすると茜が抱きついてくる。
「どうしたの?」
「一緒に遊びたいなー」
上目遣いで茜が見てきてここで遊びたいですが、封筒も凄くみたいです。
封筒と上目遣いで見てくる茜を見て、私は封筒をおいて茜と遊ぶことに決めます。
まあ、同好会のメンバー集めてくれましたし、何より問題だった顧問の先生を見つけてきてくれましたからね。人としてここは感謝しないといけません。
「何でもしてあげますよ」
「何でも!」
茜が目をきらきらさせます。
「18禁以外なら」
「じゃあ、今日お姉ちゃんと添い寝する」
茜はそういうと自分と私の分のパジャマを用意します。
まだ、8:00まわったばかりですがたまには早く寝るのも良いかもしれません。
今日は茜のベッドでなんと21:00に眠りました。多分、幼稚園以来です。
「起きなさい」
懐かしい母親がおこしに来る声。
小さい頃は母親に起こしてもらう前に起きてお姉ちゃんらしさをアピールしようとしていたけど結局、母親に起こしてもらっていたな。
茜の凄い抵抗を受けたけど、将来のためという母親の一存により別々の部屋に眠るまでこんな感じで茜と抱き合って眠っていたな。
別々の部屋に眠るようになって茜は朝早く起きるようになって朝は茜に世話をされるようになったんだっけ。
それまでは茜は凄いお寝坊さんで起こしても全然起きなかったんですよね。
「起きなさい」
「はーい」
私は反射的に返答を返す。
目の前に抱きついている茜。
窓の外をみると空は太陽がすでに出ていて明るい。
目の前をもう一回みると茜が寝ている。
私は恐る恐るスマートフォンの電源をつける。
時刻は………遅刻だ!!
「ピンポーン、ピンポーン」
チャイムの音がなります。わかばちゃんが来てしまったようです。
「茜、起きなさい」
「お姉ちゃん、お姉ちゃん」
揺さぶってもなんか口元に笑みを浮かべながら寝言を言うだけで一向に起きません。
「お母さん、茜を起こしといて」
母親に茜を託すと私はわかばちゃんに事情を伝えるために玄関に向かう。
玄関を開けるとわかばちゃんが笑顔で待っててくれてる。
「おはよう、わかばちゃん」
「おはよう、ゆかちゃん」
「ごめん、寝坊しててまだ全然準備してないから先に行ってもらえる?」
「大丈夫、待ってるから」
わかばちゃんは笑顔で言い切る。
問答する時間も無駄なので、わかばちゃんを家の中に入れて適当な服に着替えて茜の部屋に行く。
茜は母親によってやっとのところで布団からはいでたところです。
私は適当な服を取り出す。
「脱ぎ脱ぎするよ。ばんざーい」
茜は眠気まなこのまま私の言われるがままばんざいしてくれます。
寝起きの時の茜は何でも言うこと聞いてくれます。
今日は学校に遅刻しそうなので茜で遊んでいる暇はないのですが。
私はせっせと服を脱がし着替えさせ、同じように下も着替えさせます。
「じゃあ、下に降りようね」
「う…ん…」
茜の手を引っ張り一段一段茜が階段から落ちないように注意して階段を降りる。
茜の髪を水でぱぱっと手入れして、待っててくれたわかばちゃんと一緒に茜の手を引っ張り外にでる。
「行ってきます」
「…行ってきます」
「い…って」
私はしょうがないので茜を背負います。
凄い軽いです。
「…大丈夫?」
「大丈夫」
「お…ね…えちや…ん」
茜は私を強く抱きついてきます。
いつもしっかりしているので忘れますけど、まだ子供なんですよね。お姉ちゃんらしく私くらい甘えさせてあげましょう。
頑張るぞ!
「軽いっていっても、ちょっと疲れました」
「…大丈夫?」
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