11話姉の威厳は大切です

 今日は茜は生徒会で遅いのです。

 勿論、両親は仕事でいないです。


 ということで、今日はうきうきるんるん、妹の部屋探索です。


 JKの部屋という未知のダンジョンにさあ行きましょう。


 まずは王道のベッドの下です。

 スマホで照らしますが埃一つ無さそうです。

 綺麗です。私の部屋と違いすぎます。


 ベッドを調べても特に何もないです。

 本棚の中は参考書と小説が詰まってます。

 つまんないです。


 エロ本まして、ちょっと特殊な漫画とか有れば面白いのですが。


 次に、引き出しを漁っていきます。整理整頓された面でも、視覚的にも綺麗に片付けられています。


 備えつけの金庫が有りますが、残念ながら開けられないので放置です。この中にエロ本がざくざく入ってるのかな。


 ファイルの中に手紙が数枚入ってます。

 取りだしてみると、当たりです。ラブレターです。


 おっ、この人って、イケメンって言われてる3年生の先輩からものじゃないですか!!


「えーと、何々。私は茜さんの声を生徒会の選挙で聞いたとき、なんて清らかな声何だろうと思いました」

「お姉ちゃん」


 あれ、茜の清らかじゃなく、凄く怒っているような声が聞こえます。


「お姉ちゃん、何してるの?」


 また、聞こえる。幻聴じゃないよね。

 幻聴だと良いな。


 私が横を振り向くと、茜が腰を手にあて真顔でこちら見ていた。


 怒られるのって怒鳴り散らされるよりも、無言の圧力で糾弾してきた方が恐いんですよね。


「いやー、茜ってやっぱりもてもてだね」

 私の乾いた笑い声が響く。

 茜はくすりともしてくれない。


 これは不味いです。


「ごめんなさい」

 私は全力で土下座を敢行した


「………」

 もの凄く逃げたい。けど、茜の機嫌を損ねたらご飯が食べられ無くなり、朝を起きれなくなってしまうのです。


 あれ、私って、茜いないと生活出来ない駄目人間になってます。りかさんの同類…。


 まず、私は明日から茜より、早く起きます。

 けど、茜っていつもも何時に起きるのでしょうか?


 そんなことより、今は茜を宥めないと。


「世界で、一番可愛い妹の茜ちゃん」

「何、お姉ちゃん?」


 あれれ、おかしいないつもならこう言えば少しくらいは頬を染めて同様してくれるのに。


「私が茜の部屋を漁ってたのは理由が有りまして」

「何?」


「茜が私には言えない危ないことに関わっていないか抜き打ちチェックをしていたのです」

 起死回生の一手。


「チェックは合格です。えらい、えらい」

 私は立ち上がり、茜の頭を撫でます。


「うー」

 茜はほんの少し、口許に笑みを浮かべます。

 よし、このまま攻めれば勝てる。


「けど、それなら私に対するラブレター読む必要性ないよね」

「ぐ」


「それに、私がいる時なら見せてあげるって言ってるよね」

「ぐぐ」


「そもそもとして、これは何回目?」

「ぐぐぐ」


「誠に申し訳ありませんでした」

 私は茜から離れて土下座をする。


「はぁ、まあ良いよ。その変わり、夕食食べ終わったら私の相手してね」

「ありがとうございます」

 なんと茜様は私を許し、更には私に煽てるための機会までくれたのです。



 夕食を食べ終わり、茜の片付けが終わると運命の時間です。

 流石に、茜のことですからそんなに変なことはしないと思います。


 緊張して待っていると茜はしっかりノックをして部屋に入ってきます。


「お姉ちゃん、これやろう」

 茜が取り出したのは何の変哲もないボードゲームです。

 題名もわくわくどきどき人生ゲームです。

 本当に普通のゲームです。


「これで、良いの? ボードゲームだったら言ってくれればいつもしてあげるのに」

「だって、お姉ちゃん、最近、ひなこさんとわかばさんのことで忙しそうじゃん。だから、普通に遊んで欲しいなーと思っただけだよ」

 茜は顔を赤くしていじらしそうにいう。


 やっぱり、うちの妹は世界で一番可愛い。


「私は茜が遊んでって言ってきたらいつもウェルカムだから、なんたって私は茜のお姉ちゃんだから」

 えへん。


「ありがとう」

「じゃあ、初めよっか」


 プレイ内容は普通の人生ゲームとそれほど変わりません。

 ただ、ハプニングカードというものがありまして。

「お姉ちゃん、なでなで」

 茜が私の頭を撫でてきます。


 始めての経験です。なんか、最後の砦を取られた気がして嫌です。


 私は反転攻勢して茜の頭を撫でます。

「ちょっと、お姉ちゃん。うー、気持ち良いけど、気持ち良いからいいや」

 茜はこういうところはお堅いのです。ルールをなるべく守ろうとします。融通が利かないと言いますか。


 思ったのですが、これって普通の人生ゲームって言って良いのでしょうか?

 茜が楽しんでいるのでいいのかな?


 ふと、スマホをみるとなんとひなこたんファンクラブからメールが来てます。

 凄い見たい。だけど、今は茜の部屋を捜索した罰としての接待中なのです。


 これでメールの方に集中してしまったら、それこそ茜の機嫌が取り返しのつかないことになってしまいます。たださえ、ひなこたんのせいで茜と接する時間が少なくなったと茜が不満に思っているのに。


 そして、茜に嫌われてしまったら、私はどうすれば良いのでしょうか?


 嫌われるは駄目です。ひなこたんのラブレターだとしても、告白を受ける前に私が精神的に死んでしまう。


「お姉ちゃんまだ?」

 茜が少しこちらを不信な目で見ている。


 しょうが無い、私の取っておきのハプニングカードを出そう。

「いけー、おっぱいに抱きつき」

 私は茜のおっぱいに抱きついた。


「ちょっと、お姉ちゃん!いきなりは心の準備が」

 これで、多分大丈夫でしょう。



 この後、もう一回やったら、妹は眠くなったのか私のベッドの上で爆睡している。

 あけどない寝顔の写真を二三枚とり、それを鍵をかけた茜専用フォルダーに保存する。


 よし、私はひなこたんからのラブレター、ひなこたんファンクラブからの電子メールを開ける。


 そこにはひなこたんが書いたであろう可愛らしいよく分からない絵とひなこたんの手書きでひなこたん主宰のダンスコンテストのお知らせの画像が添付されていた。


 私向けのひなこたんの手書きとひなこたんの絵、これはもう家宝にしないといけないです。


 プリントアウトしないといけません。

 あっ、私の左手は茜の抱き枕になってます。プリントアウトのために立ち上がってしまうと起こしてしまいます。


 また、今度にしますか。


 私は電子メールを何重にもバックアップをとります。


 でわでわ内容を深く見ていきましょう。

 うん。

 簡単に要約しますと、ファンがひなこたんの未発表の新曲の振り付けを考えて、動画投稿サイトにタグをつけてあげて、それをひなこたんが評価してランキングをつけるという企画です。


 ファンとの交流を大事にするひなこたんらしい企画です。


 そしてなんと、ランキング1位になった振り付けはなんと新曲の振り付けに採用されます。


 自分が考えた振り付けをひなこたんが踊ってくれるのです。ファンとして冥利につきます。


 更に、ランキング上位者は次のライブで新曲のバックダンサーとして、ひなこたんの近くで踊れます。ひなこたんを間近で見れるのです。勿論、新曲以外の曲は関係者席からといういつもより近い場所でライブを見れるのです。


 もう、ひなこたんの一番のファンを自称するものとして一位になるしか選択肢は有りません。

 そして、バックダンサーという、ひなこたんを近くで見守れる位置にいかないといけません、これはファンとしての義務なのです!


 また、5人以内ならグループ参加も可能ということです。

 早速、かなさんとりかさんと相談しましょう。三人合わされば文殊の知恵です。


 悲しいことに私はしたことあるダンスかオタ芸しか無いのです。


 かなさんとりかさんとのチャットを開くとやはり話題はダンスコンテストについてでした。


 "ゆかさんこんばんはですぅ。ダンスコンテスト見ましたですぅか?"

 "かなさん、りかさん。こんばんは見ました。絶対、一位とりたいです"

 "そうですよね、ゆかさん!ダンスコンテストで一位をとって間近でひなこちゃんをみて、ペロペロしたい"

 私達はひなこたんのために全力でりかさんの上位を阻止しないといけない気がする。


 "そんなことするならぁ、一人で頑張るですぅよ"

 "無理~。いや、ゆかちゃん、一緒にやろう"

 "ここで、一緒にりかさんと組んだらりかさんに上位をとらせないため私は全力で負けにいかないといけないので嫌です"

 "ゆかちゃんまで~"

 "ゆかさん、どうせなら一緒にやりますぅか?"

 "私、全力ダンスのこと分からないですけどいいですか?"

 "大丈夫ですぅよ! お恥ずかしいことですぅが私もダンスのことあまり知らないのでぇ。ゆかさんとダンスについては同レベルだと思いますぅよ"

 "ゆかちゃん、気をつけてね。かなのあまり知らないは一般人の普通に知っていると同じ位だからね"

 流石、かなさん。


 "という、わけでゆかちゃんと完全に同レベルの私もいた方がゆかちゃんも楽だと思うんだけどな~"

 "はあ、しょうが無いですぅ。まずは勝たないといけないですぅから"

 "さすがかな。大好き"

 "りか、煽てても何もでないですぅよ。今週の日曜日に私の家に集合して案を考えますぅか?"

 "私は大丈夫"

 "私も大丈夫です"

 悲しいかな予定なんて基本は入ってないのです。


 わかばちゃんは最近アイドル活動で忙しそうですし、遊ぶ友達がいないのです。


 "ではぁ、今週の日曜日までにダンスの外枠は考えておいてくださいですぅ"

 "了解"

 "頑張ります"

 茜ってダンスの事知らないかな?

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