7話楽しんだものがち

「スウィート♪」

「イェイ!」

「クウェート♪」

「イェイ!」

「今日の朝ごはんは~♪」


 ひなこたんの待望の新曲、スウィート ユー ミイが昨日発表されたので、今日は新曲の合いの手をいれる練習をするために、かなさんの家に来ています。


 かなさんの家は池が存在する大きな庭のある洋風の豪邸です。

 なんと、カラオケがある防音室まで完備されています!


 私の家も二階建ての一軒家で広い方だと思いますが、かなさんの家なら私の家が二戸入りそうです。


 掃除が大変そうです。


 そのため、メイドさんはいませんでしたが、掃除をするために、毎週お手伝いさんが来るらしいです。


 中流階級の私にはよくわからない世界です。

 本物のメイドさんが見れるかとちょっと期待したんですが。


 メイドさんと口を滑らせたら、かなさんがメイド服着て着てくれたのでよしとしましょう。


 因みに、過度なひらひらやふりふりはついてない、本場のメイド服です。


 私がいぶかしんだら、りかさんが作ったものだと教えてくれました。なんで、りかさんが作った服、それもかなさんが着れるメイド服、りかさんが着たら胸元がお察しです、が有るのか意味がわかりません。


 これぞ、謎が謎を呼ぶ展開。


 深く掘り下げるのも怖いので良いでしょう。


 とりあえず、オタ活するのに最高の家です。

 家でオタ活してたら、茜と両親から冷ややかな目で見られるのに比べたら天国と地獄の差です。


 昔、茜をドルオタにしようとしましたが、本人から前見ていれば十分だと言われて、妹の前向きさ加減に惚れ惚れして諦めました。


 そんなことよりも全力で新曲の合いの手入れないといけません。


「うぉおおおー、わかばちゃん可愛いー!」

「可愛い」

「わかば、天才」

「天才」

「わかば、天使」

「天使」

「うぉおおおーーー!」


 これからわかる通り、なんと、今日歌ってくれているのは最近、グループ単独ライブも満員御礼で成功させた小動物系アイドル、わかばちゃんなのです!


 今日の合いの手の練習をわかばちゃんに話したら、合いの手の叫ぶ名前をわかばに変えてくれたら、歌手を引き受けると、何時もの9割増押しぎみに言われたので承諾しました。


 多分、ファンも交えた歌の練習がしたかったんでしょう。勉強熱心なのは良いことです。みやこさん曰く、最近、着々とファンが増えているらしいです。


 現役アイドルらしく、採点したら95以上とれるような完璧さで歌いきったわかばちゃんはこちらにきらきらした目を向けてきます。


「わかばちゃん、凄く歌旨かったよ」

 頭も撫でてあげます。


「くぅーん」

 嬉しそうに目を細めます。


「おお、完璧ですぅー」

 かなさんが満足そうにいう。


「そうですね、文句無しです」

 りかさんも当然のように頷く。



「では、次に行きますかぁー?」

「そうですね、次はひなこたんが噛んでしまった時のシュチュエーションでいきますか!」


 真のひなこたんファンなら完璧に歌いきった想定だけで満足してはいけないのです。

 ひなこたんが完璧に歌いきるのはライブで歌う全曲中半分です。まして、新曲、況んやどこかで間違えます。


 わかばちゃんが口をパクパク開けて驚いています。

 因みに、最初に合いの手の練習を初めてから2時間たっています。


 まだまだ、終われません。アイドルが少し失敗してしまったときも、それをさらっと何事も無かったように助けるのかオタクの使命!存在意義!


「さあ、やりましょう!ひなこたんのために!」

「はいですぅ」

「いきます」


「…がんばります…」

 わかばちゃん、ちょっと悲壮感出てます。


「わかばちゃんは休憩していて。現役アイドルなんだし、喉壊したらもともこもないから」

 練習で壊れるほど必至にやって、本当に壊すのは馬鹿のすることです。適切な練習が大臣です。


「ゆかちゃん」

 わかばちゃんが凄い嬉しそうな目で見てきます。

 これはある意味、DV、ドメスティックバイオレンスじゃないかな?


 その後、ドル活はかなさんのお母さんが作ってくれた美味しい夕食をはさんで21時まで続きました。

 私の門限は娘ラブの父親がうるさいく22時までなのでそれに合わせて終わりました。


 私がいなければもっと遅くまで続いたと思います。

 りかさんも明日の仕事は休みって言ってましたし。


「…オタクの方々って凄いね…」

 わかばちゃんが感慨深げに言う。

 アイドルとドルオタにはかなりの断絶が有りますから。ですが、ひなこたんファンはその中でも特殊な気がしますが。


「好きでやってるからね。正直、アイドルの方が凄いと思うよー」

「…そんなこと無いと思うけど…」

 そんな事あるよ。


「だって、私達は結局、自分が楽しければ良いだけだからね。アイドルの方々はファンの方々を楽しませなければいけない」


 だから

「わかばちゃんは凄いよ!私はいつもわかばちゃんから元気もらってるよ!!」

 わかばちゃんは嬉しそうにはにかんでくれた。


 ごめんね、私(俺)は今世、他人の事を考えずに自分の生きたいように生きるって決めているんだ。


 だから、他人のために頑張れるわかばちゃんは凄い。


 私はわかばちゃんに抱きつく。この抱き心地。


「わかば成分補給」


 胸をぽこぽこ叩かれるが無視。


「わかばちゃんお持ち帰りしたいけど、また、月曜日」

 わかばちゃんの家の前で別れて、自分の家でまで歩く。


 街路灯がLEDライトに変わったおかげで、ほんのすこし星がまたたいている。


 正直、今世でも星が見れる量は変わっていないが、あそこと、あそことあそこを繋げば、ひよこたん座の完成!


 少しだけ、世界が楽しく見れている気がする。


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