6話妹が可愛いのは自明の理

 次の日、今日は珍しく茜と一緒に登校である。

 昨日、映画見終わった後に起きたことを押しきられて話したから心配させちゃたのかな?

 生徒会の仕事大丈夫なのだろうか?


「ねぇ、ねえ茜」

 私は茜にすり寄る。


「何、お姉ちゃん?頼みたいこと有るの?」

「さすが、茜、言わなくても私のこと分かってる」

 とりあえずごますりは肝心。

「16年一緒にいれば、そりぁ分かるよ。今、お姉ちゃんが頑張って私にごますろうとしてることも」


 …えっ。

 ばれた。

 同じだけいるのに、私は茜の考えていること何も分かんないんだけどな。


「たいていのことは、頼まれるあげるから大丈夫だよ」

「新しい同好会を作ろうかと思うんだけどね。それの人数集めを茜にお願いしたいんだ」

「どんな同好会?」

「アイドル同好会」

「えーと、お姉ちゃんアイドルやるの?」

 茜が言葉を一言、一言慎重にいう。


 これは、私も茜の考えていることわかるよ。

 きっと、お姉ちゃんはアイドル向いていないからどうやって止めさせようか考えているんだよ。


 茜もまだまだ、甘いな。


「」

「あっ、ひなこさんを愛でるサークルか」

 茜はほっとするように呟く。


「先に答えられた」

「けど。お姉ちゃんってアイドル全般に興味有るわけじゃないよね?」

「そうだよ。ひなこたんとわかばちゃんしか興味ない」

「じゃあ、そもそも、アイドル同好会じゃないよね? ひなこたん?同好会だよね」

「そうだけど、それだと同好会として認められないかなーと」


 一様、同好会の設立条件が学生の成長を促す活動をするものだから、ひなこたん同好会だと、どう考えても学生の成長を促していない。どちらかと言えば、脳の退化を促してそう。


「確かに、無理そうだね。けど、アイドル同好会でもそんなに変わんないと思うよ」

「それ、言われちゃ、おしまいだよ」


 生徒会役員の茜に言われたら出来る気がしないんだよな。


「じゃあ、友達に少し聞いてみるね」

「ありがとう!茜、天使」


 交遊関係の広い茜が誘えば一人位見つかるはず。

 見つかるよね…


 その後、わかばちゃんと合流して学校にいったが今日も見つからなかった。


「ただいまー」

 ………

 返事が無い。

「お帰りー」


 誰からも返事がないと自分で挨拶を返したくなるのはなぜなのだろうか?

 家には誰もいないみたいです。


 そして、私は学校の宿題が無く暇です。


 では、やることとしたら妹の部屋あさりしか無いと思うのですけど、どうでしょうか?


「あ、お姉ちゃん。ただいまー」

 ちぇ。

 後ろを振り向くと、私と違って品行方正の妹様のお帰りです。


「お帰りー」

 今日のところは諦めましょう。

 機会は諦めなければ何度だってあります。Never give upです。


「お姉ちゃん、私の部屋漁ろうとするの止めてよ」

 茜は靴を脱ぎながら当然の如く言います。


 何で、ばれた。やはり、妹って超能力者!組織の一員なの。茜って、そういう設定似合いそうなんですよね。


「なんで、驚いてるの。お姉ちゃん、私が家にいない時いつも漁ってるじゃん」

 茜は大きなため息つきます。


「………ため息つくと幸せが逃げるよ」


「………」


「誠に、申し訳ございません」

 まあ、漁りますけど。なんたって、"お姉ちゃん"なのですから!妹の性教育には興味あります。

 妹が変な道に行かないようにするのも姉の役目です。


「はあ、言っても聞かないんでしょ」

 その通りでございます。


「お姉ちゃん、ごめんね。アイドル研究会のメンバーだけど見つからなかった」

 茜は申し訳なさそうにすると、自分の部屋に入っていく。


 茜の交遊関係でも無理なのか。

 これは、同好会結成するのはほぼ無理じゃないのかな。

 高校ないでキャキャウフフしながらゆかたんの話題話す少ししてみたかったな。


 ちゃんと、男も誘っていますからね。


 妹によって用意されたワイシャツを来てリビングに戻ると、妹は制服からワイシャツに着替えてエプロンを着て夕食の調理をてきぱきとおこなっている。


 私はリビングのふかふかのソファーに寝そべりながらテレビをつけ、妹の調理を見守る。


 なんで、妹に任せて調理しないかって?


 私だって調理位できるよ!カップメラーメンとかレトルトカレーとか、凄いでしょ。


 だけど、お姉ちゃんはちょくちょく抜けてるから危ないって茜に止められるのです。私も妹のために料理してあげたいですけど。


 茜にはお姉ちゃんの笑顔で十分だからって言われます。


 そうだ、私はソファーから立ち上がり、鼻歌を歌いながら鍋の中身をお玉でかき混ぜている茜にスマホのカメラを向ける。


 茜は使っていないお玉を取り出し、お玉を口にあててウインクしながら首を傾け、仁王立ちしたポーズを決める。


 可愛いー。


「はい、チーズ」


 妹は品行方正といっても、私みたいな不純物まじりじゃなくて、正真正銘の最近の女の子なのです。こうやってカメラを向ければスーパーモデルに早変わりです。


「うん、可愛い。ありがとね」

 どこも修正する必要無いね。


「良いよー」


 妹は何事も無かったように夕食の準備を続ける。


 私はその写真をりかさんとかなさんとのチャットルームに送る。


 "私の妹、可愛いでしょ"

 "可愛い!私の家に出張希望"

 りかさんから光の早さで返信がくる。

 多分、時間的に今仕事中だよね…。


 "可愛らしいかたですぅ。今度、私の家にも来て欲しいですぅ"

 "うー良いな、良いな。私も可愛い妹に朝から晩までお世話して欲しいな"

 "あなたの場合はお世話じゃなくて、介護ですぅ"

 かなさんとりかさんって凄い仲良いです。どんな関係なんだろう。もしかして、付き合ってる!!


 "がいれば頑張れ………るかな?"

 "無理ですぅ"

 ばっさり。かなさん血も涙もないです。


 "そんなことより。次の同人誌の題材はゆかちゃんとゆか妹のカップリング書いていい"


 切り替え速いです。

 ちょっと、ほんのちょっと見たいけど。


「お姉ちゃん、夕飯出来たよー」

 茜がパタパタとこちらに来る。

 うん。茜となら私が攻めだね。


「何ニマニマしてるの?」

 茜が私の肩越しに画面を覗きこむ。ふと、カーネーションの匂いが鼻腔をくすぐる。


 茜の顔が真っ赤になる。茜の肌は元々白いので本当に鮮やかな赤色になってる。


「お姉ちゃん」

「ん、何」

 私はなるべく平静に言葉を紡ぐ。


「何でもないよ」

 茜はキッチンの方に隠れてしまう。

 普通のJKの茜にはちょっと刺激が強すぎたかな。

 フォローしないと、私が妹を狙っているやばい姉になって、頼りになるお姉ちゃんの印象が崩れてしまう。


 けど、もうすでに茜に嫌われてはいないよね?ね?


 "夕食出来たので退出します"

 私はさっさと打ち込む。


「茜、一緒に夕飯食べよー」

 茜はキッチンの隅で体操ずわりになって顔を隠している。


「うん」

 茜はこちらにほんのり赤みががった顔向けて、満面の笑みを浮かべながら頷いてくれた。


 最悪の事態にはなってないかな。


 弁明頑張るぞー。

 失敗したはりかさん、かなり恨みますから。




 "わかりましたですぅ"

 "拒否が無いってことは描いて良いってこと?"

 "いいの?"

 "いいの?"

 …

 チャットルームのコメント数が一秒間に100増えた。





 今日の夕飯はペペロンチーノである。

 私の好物である。


 基本的に茜が作った料理はどれも美味しくて好きだから、茜の料理が好物と言っても過言じゃないけど。


「お姉ちゃん…、あんまりえっちーいの…。良くないと思うの」

 妹がもじもじしながら言う。


 可愛い。私の妹可愛いです。そんじょ、そこらのアイドルじゃ太刀打ち出来ないほど可愛い。


 見てたいけど、弁明しないと。


「大丈夫、多分描かないから。あれは話の綾だからね」

 りかさんもその位の常識あるよね?あるのか?凄い心配です。



「そうなんだ。わかったよ」

 妹のまゆがちょっと下がった。


 これなら、大丈夫かな。


「そうだよ。今日もおいしいね。ありがとね、茜」

「ありがとう、お姉ちゃん」


 とりあえず、妹のおいしい手料理でも食べて今日のことは忘れよう。



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