5話ドルオタにデートは難しい

 今日は日曜日、朝9時の駅前、天気晴れ。

 絶好のお出かけ日和、なんとなんと、りかさんと二人で映画を見るためにお出かけです。

 りかさんに誘われました。


 楽しみです。わくわくです。


 今日は気合いを入れて白いT-shirtに薄い黄色のカーディガン、花柄のスカートです。スカートは17年達ましたがまだ、下がスースーして慣れません。

 なので、スパッツを下に穿いています。


 因みに、このコーディネートは茜によって行われています。気合いは妹によっていれられます。私は出かける前日の夜に、明日、誰とどこに出かけると茜に言ったら、起きたら用意してくれています。


 できた妹です。

 茜が用意しなかったら、T-shirtにジーパンという前世から変わらないコーディネートになります。


 流石に、この私でもジャージで外に出ようとは思いません。

 すいません。全国のファンの皆様、申し訳ありません。


 化粧はどうしたって?

 勿論、してないです!


 化粧は茜にお姉ちゃん、素のままの方がいいと言われて、後、面倒なんでしていません。その代わり、お肌のスキンケアーは面倒ですが丁寧にやってます。


 一様、女子ですし。


 少し人の流れをボーッと見ながら待っているとスーツ姿の女性が小走りにこちらに向かってきます。


 ぴしっとしたパンツスタイルのスーツで、出きるOL感が凄い出ています。顔も美人で、りかさん!!


「ごめんね、ゆか氏、少し遅れてしまって」

 申し訳無さそうにりかさんが頭をさげます。

 りかさんのところどころ跳ねたかみがそれによって、広がります。

「大丈夫ですよ。それより、りかさん、夜勤あったんですか?すいません、この日に予定入れてしまって」

 りかさんの目元には大きなくまができて、目もいつもより、半開きになっています。


「えっ、違いますよ。ゆか氏、すいません。今日の朝までオンラインゲームのイベントがあってそれでらあんまり寝てないんです。」

「眠しうなのは分かりましたが、なんで、スーツなんですか?」

 もしかしたら、私に向かって格好つけたかったからですかね。

 けど、身だしなみ整えて無いんでそれは違いますか。少し、残念です。


 だけど、なんかデートみたいですね。デートで男性がスーツ安定って言いますけど、女性のスーツもそそるものがあります。


「すいません。表社会に出るための服がこれしかなくて」

 表社会って何に!

 いつもは表社会じゃないの!?


 そういえば、りかさんの私服って何時もキャラもののT-shirtでしたね。

 恥ずかしいという感情あったんですか!?

 当たり前のようにキャラものT-shirt来て、電車乗ったりとかしていたんで普段着なのかなと思っていました。


「ゆか氏がおしゃれしてきてるのに私がスーツなんて、なんかすいません。

 ………いや、冴えないOLと美少女JKの歳の差カップルの百合もの、なんかいいぞ。冴えないOLが健気な美少女JKに介抱される。これはそそるー!


 ゆか氏介抱してくださいー」

「全部聞こえてましたよね」

 りかさんと思考が似てるのなんか釈然としない。

 いや、私の思考の元はおっさんだから仕方ないか…


 ごめんなさい、りかさん。


「まあ、リア充の聖地、映画館に行きしょうか!」

「ゆかちゃん、置いてかないでー」


 映画館、それはリア充一杯のリア充の聖地。

 右見ても、左見てもリア充で一杯の場所

 イチャイチャしながら、ポップコーンやジュースを貪ってる場所。

 そこの高校生カップル、そんなもの食べてると太って、ニキビ出るぞ。


 我々の精神を確実に、絶え間なく削ってくる。

 私は人形、私は人形、心なんて無い。


 あっ、私達もはたからみたらカップルじゃないかな。うん。


 さあ、非リアども恐れおののけ!

 膝まずけ!

「ゆか氏、世界を蔑むような凄い悪い顔してますぞ」

「そんなこと、ないですよ…」


 勿論、今日見る映画はカップル御用達の恋愛映画ではなく、りかさんが好きな女児向けアニメ映画です。

 りかさんって、そっちの方だったのですね。大きなお姉さんってやつです。胸の方は…

 凄い睨まれた。


「では、いざ戦場に参りましょう!」

「おー」

 入場管理している、お姉さんに驚かれながら、わくわくして、行動は完全に小さい子のりかさんの後を着けながらシアタールームの中にはいる。


 そこは、カップルという名のリア充はいない小さな女の子が一杯であり少し心が浄化されていきます。


「あー、癒されます。天国です」

 りかさんは立ち止まり、しみじみと呟きます。

 えっ、りかさん、確かに小さい子見ると癒されますけど、えっ、もしかしてこれが目的!?

 りかさんとの付き合い方を少し考えた方がいいかもしれません。


 席はスクリーンのど真ん中。この小さい子一杯の状況をみたら大人げ無いですが、ネット予約でいい席を確保してあります。


 隣は小さな女の子3人組で、親御さんは居ません。

 外で待っているのかな?


 昔、デパートの映画館で茜と私だけで映画を見て、両親は買い物に行ったりしていたので、それみたいなものかな?


 因みに小さい頃は映画館で映画みると良く寝ちゃていました。おっさんだからかな。

 その、後、茜が両親に一生懸命映画の内容を説明するんですが、それがまあ、可愛くて、可愛くて。映画は内容よりもそれが楽しみでした。


 そんな、映画の後の楽しみが無い今日は起きて見ることにしましょう。


「あっ、みいちゃんだ」

 私の隣にいる子達が私に向かって叫びます。

 その声につられたのか、周りの女児がこちらを見て、つきづきにみいちゃん、みいちゃん、言います。

 一部から低い声で聞こえますが無視です。

 やはり、大きなお兄さん、お前らもいたか。


「お姉ちゃん、マジカルサンシャインやって、マジカルサンシャイン」

 隣の小さな女の子達が期待するような声で言います。止めてくだる親御さんはいないのでどうしたら良いんですかね?


 りかさんに助けを求める視線を向けると、ご丁寧にスマホでマジカルサンシャインの動画を再生しながら期待するような目で見てきます。


 知っていないと分かっていて、動画を見せてくれる相手を思いやる気持ちをもうちょっと別の事に使って欲しかったです。


 別の映画の宣伝が始まり、もうすぐ、映画が始まりそうです。

 さすがにこんなに小さい子から期待した目を向けられたら断れないです。

 映画の終わった後にやってあげましょう。


「映画、静かに見れたらやってあげる」

「「「うーん」」」

 えっ、できないの!?

 小さな女の子達には難しいのかな?

 てか、りかさんはなんで頷いていなのですか!

 大人が手本見せないと!


「じゃあ、映画をお行儀よく見れたら、やってあげる」

「「「うん! 」」」

 小さな女の子達が嬉しそうに頷き、姿勢をただす。りかさんから聞こえてくる声は無視です。


 映画のオープニングが始まる始まる。

 少し煩かった映画館は静かになった。

 隣の小さな女の子達も目を輝かせながら食い入るように画面を見つめる。


 映画は基本的には日曜日の朝にやっているものの拡大版です。

 敵が出て来て、仲間と力をあわせて困難に立ち向かっていく感じです。



 単純な構成ですがそれゆえに面白く。

 いつの間にか時間的にラスボスとのバトルです。


 主人公達がバタバタと怪人に倒されていきます。

 この怪人が最初に出て来てたら良かったという話は聞きません。組織はボスが倒されたら終わりですからね。


 いつの間にか、全員倒されてしまっています。

 そして、マスコットみたいなキャラクター画面のたぃ部分を占めて、そこら辺でやっているヒーローものの劇みたいなことを良いだします。


「みんなー、応援してあげてーー!」

「いくよー」

「「「頑張れー」」」

 これが合ったから静かに出来ないのか。

 幼い子達の可愛らしいけど、ちょっと甲高い声に紛れて映画館の隅々から野太い声が聞こえてきますています。低音キャンセラーとかないかな。


「もっとー」

「「「頑張れー」」」

 これって、ちゃんと音量測っているのか凄い疑問になります?


 勿論、最後は主人公達が応援によりなぜか復活して、みんなの力を合わせて敵を倒してハッピーエンドになりました。小さい子むけの良くある終わりかたです。


 なぜか、隣のりかさん改め大きなお姉さんは号泣しています。泣くようなアニメでした?


 逆方向見ると、小さな女の子達がきらきらとした視線を向けてくる。

 映画じゃあ、満足できなかったのかな!?


 良い感じになって、小さな女の子達との約束を完全に忘れていました。

 りかさん。なぜあなたはさっきまで号泣していたのにこちらに目線を向けてくるのですか?

 そのまま、泣いていてください。


 幼児むけ映画のためか、みんなエンディングの途中で席を立っているのでシアタールーム内に人はあまり残っていません。


 しょうがないか。

 小さな女の子との約束を破るのも悪いですし。


「お姉さん、これ使って」

 一人の女の子が完全に善意で映画の中で、みぃちゃんが使っていたステッキを貸してくれます。


 うっ、更に恥ずかしくなった。

 えー、なるがままよ。


「みぃ、行くよー。みぃ、みぃ、パワー注入ー」

 無茶苦茶、恥ずかしい。


 映画館に残っている人全員がこちらに目を向けてきます。

 今すぐ、脱兎の如く、このシアタールームから逃げたしたいです。


 ダンボールに隠れるのも、可なんでダンボールください。


「「「お姉ちゃん、凄い。みぃちゃんだ、みいちゃんだ!!」」」

 みいちゃんは画面の中にしかいないからね。

 今、あなた達がみてるのは藤原ゆかっていう女の子だよー。


「ゆかちゃん」

 りかさん、なんでまた、感極まって泣いてるの。

 そして、抱きついてくるの?


 帰ろう。もう、この場所に居たくない。


「みいちゃんばいばいー」

「「ばいばーい」」

 泣きっぱなしのりかさんを引きずって、映画館から出て、近くのちょっとおしゃれな喫茶店に入り、通路の中間くらいでカウンターが目と鼻の先にある椅子の席に座ります。


「精神的に疲れました」

「ゆか氏、ありがとうございます」

 りかさんは無茶苦茶、ほくほく顔です。

 いつの間にか、目のくまも無くなってますし。

「ご注文はどうしますか?」

 可愛い、制服を着たウエートレスさんがおしぼりと水を持ってきてくれる。

「じゃあ、ブレンドコーヒーとチョコケーキで」

「えっ、高い」

 りかさんが小声でいう。

 ウエイトトレスさんが顔色を変えずニコニコしている。

「あ、あ、じゃあこのアイスコーヒーで」

「ご注文は以上でございますか?」

「はい!」


 りかさんは目に見えるほど静んでいる。

 先ほどまでの嬉しそうな顔はどことやらです。

 りかさんって喫茶店来ないんですかね、価格帯はちょっぴり高いくらいでしたが高すぎるということは無いとおもいますが。


「りかさん」

「そうだ、ゆか氏、みいちゃんのコスプレしませんか?」

 りかさんの顔がさっきまでのはなんだったのかというくらい変わってる。



「しません!」

 心配したのが損です。

 私の脳を動かした分の糖分をください。


「殺生な~、ちょぴり、ちょぴりでいいですから」

 ちょぴりのコスプレって何ですか?

 一部の服のちょっとだけ着る感じですか?ただの変態じゃないですか?


「嫌です!」

「うーー」

 なんで、そんなに目をうるうるさせているんですかね。そんな目をしても着ないですよ。


 まあ、朝、茜がコスプレの服を用意してたから何も考えずに着るとおもいますが。

 たまに、外に出ないときに妹がかなさんみたいなロリータ系の服を着せてきます。そういう時は、茜もロリータ系の服を着て双子コーデぽいことをしています。


 とりあえず、押しきられたくないので話を変えましょう。

「りかさん、映画面白かったですね。特にあの、主人公のりっちゃんが活躍するところ」

「そうです、りっちゃんの活躍するところは、ずばんざばんばーばんって感じで良かったですね。特にあの………」


 オタクはとりあえず、自分の好きなことを話題に喋れば勝手に喋ってくれます。楽です。


 りかさんが意味のわからない擬音語を使いながら喋る、喋る。


 私はとりあえず、りかさんの顔を愛でながら、適当に相づちをうちます。

 いくら見てても飽きません。

 可愛いは正義なのです。


 りかさんは、飲み物が来ても飲まずに永遠とさっき見た女児アニメの話しをしてます。もう、とっくに映画の話は終わり、原作の話に変わっています。


 映画の話題が終わったあたりからもうなに言ってるのかわかりません。今は次はどの話をするのだろうかを楽しみにして相づちをうってます。


 これぞ、オタク×女子。話の長さの階乗です。


 いきなり、私とりかさん、それぞれの隣の席にちゃらいイケメン男が座ります。


「りかさん、そろそろ行きましょ」

 りかさんのアイスティーは一口も飲まれていません。

 もったいないですけど、こういう男とはさっさと離れた方が良いです。


「あ、うん」

 りかさんは話に夢中で、男に気づいていなかったらしく肩を縮める。

 私はレシートを持って立ち上がる。


 私の手首を掴む。


「離してください」

 手首に触れられると本当に気持ち悪いので止めて欲しい。


「君達オタクでしょ、知ってる知ってる、ダブルピースとかでしょ。俺たちが会計払うから話そうぜ」

「ちげえよ、それ、色々やばいやつだよー」

 男達が品の無い笑い声をあげる。


 私は手を振って、掴んだ手首から逃れようとする。

「ちょっと、くらい良いじゃん。5分でも良いからさ」

 男の顔はニタニタと笑みを浮かべている。気持ち悪い、吐き気がする。


「きゃあ、変態、助けて!」

 私は悲鳴をあげる。


 店内の視線が集中する。

「おいおい、まて、まて」

 男は直ぐに反論の声を上げようとするが勿論言わせない。最初に言った方が強いのだ。


「襲われるー!助けて」


 男は私の手を引っ張り口を閉じようとするが、それを見て女性が襲われていないと思わない人なんていない。一番の悪手である。


 もしこれで助けてくれなかったら、引きこもるわ。


 周りの人が色めき立って席を立つ。

 それを見た男達は形勢が不利だとみたか、逃げだす。


「りかさん大丈夫ですか」

 何故か、床に座り込んでいたので、立ち上がらせてあげる。

「大丈夫だよ、ゆか氏凄いですね。表社会は怖いです」

 ゆかさんくらいの美人さんだったらかなりこういう経験あるとちょくちょくあると思うんだけど。



「ちょうど、良いですし、アイスコヒー飲んだら帰りますか」

「ですね」


 りかさんはアイスコヒーをがぶ飲みして空にしてしまう。

「ごめん。ゆか氏、腰が抜けて歩けない」

 この後、りかさんを家まで送って帰ったら、何故か妹に凄く心配された。

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