4話アイドルは諦めたらそこで終了
平石 わかばside
初めまして、平石わかばです!
地下アイドルやっています!
今日は初めての私の所属するグループ、ピーチの単独ライブです、緊張で、心臓が飛び出しそうです。
ですが、私の大大大~大親友であり、この道に引きりずりこんだ張本人であるゆかちゃんが今日見に来てくれます。
先ほど、別れてまた来てくれます。
観客なんてゆかちゃんだけでいいんです。そもそも、他の人に見られる嫌いですし、そもそも、他人嫌いですし。
だけど、最近、悲しいことにゆかちゃんは見に来てくれませんでした。原因は多分、ここの地下劇場入るに3000円もするから何ですが…。高いです。ゆかちゃんは毎回ただで良いのに。私の給料から天引きして毎回チケット貰えるように交渉してみよっかな。
それなら、ゆかちゃんは毎回見に来てくれるはず。
うん。きっと来る。
ゆかちゃんはあの日の約束覚えてくれてるかな?
5年前 小学6年生
「やーい、わかばこれは今日から俺のものだ」
幼なじみのひろとが私の筆箱からめざとく新品のボールペンを奪っていく。
ママが久しぶりに買ってくれた、ラメがボールペンにコーティングされていて光よって七色にキラキラ光るお気に入りのボールペンです。
取られないように使う時意外は筆箱の奥深くに隠しておいてあったものです。
「ぅー、」
私はひろとに何も言い返すことは出来ません。
ひろとは当たり前のように私のボールペンを自分の筆箱にしまってしまうと興味が無くなったのか男子グループの元に向かいます。
この光景は幼稚園から続いているいつもの光景です。
「また、わかばちゃん。ひろとくんに可愛いこぶってる」
ひろとのことが好きな、みきちゃんが私の筆箱を払いのける。
「あ、ごめーん、当たっちゃた」
嫉妬や妬みが込もった声、少しも謝罪の意思は入っていません。
筆箱が中にまい、それと同時に筆記用具があたりに散らばる。
中から出た、筆記用具は何回も下に落とされて、ぼろぼろになっています。
「あ、ごめーん、私、目が悪いから踏んじゃた」
別のひろとのことが好きな女の子は鉛筆を踏んづけて芯を折る。
プラッシックが割られなかっただけでも今日は良かったのかな。
鉛筆の芯なら削ればもと通りになるし。
私は筆記用具を一人でもくもくと拾う。
誰も助けてくれるひとなんていない。
みきちゃん達はもう私のことがどうでいいのか、ひろとをみてきゃーきゃー言ってる。
「わかばきん、つけんなよー」
別のところでは無邪気に悪気もなく当然のように男子が遊んでる。
私はどうしたら良いのだろうか?
先生に言ってもひろとがこのクラスのリーダーだからかまともに取り合ってくれない。
親はお兄ちゃんのことで頭が一杯で、私のことなんて気にしてもいない。
お兄ちゃんは親に誉めてもらおうと自分のことで必至。
誰も私のことを気にかけてくれない。
私はどうしたら良いのだろう?
先生が入ってきて、がやがやしながらみんなが席について、いつものくだらない1日が始まる。
今日はなんと転校生がくるらしい。
私には関係無いだろうけど、いや、みんなの興味が転校生に向いて、いじめが少しでも減ればいいなー。
「ゆかちゃん、入ってきて」
その時、私は見たんだ。この世の天使を、教会に飾ってある以上の神々しい存在を。
「藤原 ゆかです。皆さん宜しくお願いします!」
ゆかちゃんがペコリと頭を下げるとみんな、一斉に固唾を飲んだのがわかった。
男子も女子も顔を真っ赤にしている。
私も顔を真っ赤にしているんだろうな。
「ゆかちゃんは、じゃあわかばちゃんの隣ね」
先生の言葉が一瞬、私の頭の中に入ってこなかった。ゆかちゃんと隣。私なんかでいいのだろうか?
ゆかちゃんは先生に言われたとおり、私の隣の席に座ろうとこちらに歩いてくる。
ゆかちゃんとの距離が近づけば、近づくほど、私の心臓の鼓動が早くなるのがわかる。
初めての感覚で私はどうすればいいかわからない。
ゆかちゃんは席に座るとこちらを向いて。
「これから宜しくね! 後、わかばちゃんのツインテール凄く似合ってるね。無茶苦茶可愛い!」
ゆかちゃんの無邪気で曇りげの無い満面笑みに私の頭はショートしてしまいました。
私の体は銅像のように動きません。
何か喋りたいのに、口は自分の思うように動いてくれません。
先生が出ていった後、ゆかちゃんがみんなに囲まれるまで、私の体は動きませんでした。
ゆかちゃんと一緒に受ける最初の科目は国語の時間でした。ゆかちゃんは教科書もっていないため、私の教科書見るために体を近づけてきます。
ゆかちゃんからは凄くいい花の匂いが私の鼻腔に充満します。先生の話しは全くと言って良いほど耳に入ってきません。
ゆかちゃんの髪を耳にかける仕草可愛いい。
周りを見渡すと今日は教科書の文を立って一人ずつ音読していく授業のようである。
人前で話すのが苦手な私は大嫌いな授業です。
読まないといけない文はあまり長くないので淡々と進んでいきます。
ゆかちゃんの番になりました。
ゆかちゃんは音をたてず、すっと立ち上がります。
周りのみんなも教科書から目を話し、ゆかちゃんを見ます。
声ははきはきと一語、一語聞き取りやく、綺麗で心地良く耳に馴染みます。もしゆかちゃんの声で授業受けたら何時もの何倍も頑張れそうです。
聞き惚れていたらいつの間にか終わってしまいました。もっと長く聞いていたかったです。
ゆかちゃんの次は、私の番です。
いつもより頑張れそうです。
私もゆかちゃんみたいにはきはきと音読しようと意気込みます。
「…おばば………」
最初から噛んでしまいました。
周りからの視線が痛い。声はかすれた空気が出るだけでほとんど出ません。
目尻に涙がたまっていきます。
必至に言葉を紡ごうとしますが体はゆうことをきていくれません。
ゆかちゃんがいきなりたち上がりました。
「わかばちゃん、一緒にゆっくり音読しよう!」
そういうと、私の顔にゆかちゃんの顔が近づいてきます。
心臓がばくばくいっています。
みんなのの目は全く気にならなくなりしたが、ゆかちゃんから目が離せません。
「わかばちゃん、いくよ」
ゆかちゃんは私に合わせ、一字、一字ゆっくり話していきます。
いつもだったら、早く終わらせたくてなるべく早口で読むのですが、今はこの時間を終わらせたくありません。
一秒でも、一瞬でもこの時間が長く続いてくれれば良いです。
ですが、悲しいことに終わりはきます。
教科書から目を上げて周りをみると、みんなの視線はきらきらと輝いています。
私には向いていないと別っています。でも、なんか凄く嬉しいです。
ゆかちゃんが来てから私へのいじめは無くなりました。
いじめの原因となったひろとくんをゆかちゃんが目の敵にしていたため、ひろとくんが私に近づけなくなっただめです。
時々、ひろとくんが私に話しかけたそうな雰囲気を出していたが私は無視した。
あんなにいやだった学校も楽しくなった。
ちょっとだけ、いや、結構、ゆかちゃんにべったりだったけど。ゆかちゃんも私にべったりだったから大丈夫だと思う。
中学3年生の文化祭で私達のクラスはみんなの前で歌と踊りをした。
凄く楽しかった。
その夜、ゆかちゃんと話しているとゆかちゃんが
「わかばちゃんってみんなの前で歌と踊りをしているとき、凄く嬉しそうだよね」
「…そんなことないよー…」
恥ずかしいし、あんまり、人の視線は好きじゃない。
「アイドルとか似合ってるね」
ゆかちゃんのきらきらした目に私は目を反らしてしまった。
「私、わかばちゃんがアイドルになったら凄く応援するから」
私はその言葉で、心臓が跳ねた気がした。
私は高校受験が終わって、なんとなくなんとなくだけどアイドルオーディションに応募していた。因みに、ゆかちゃんには内緒にしていた。
アイドルのオーディションは基本的に歌と簡単な踊りを見るだけだった。歌はそもそも上手い自信はあったし、踊りはゆかちゃんから借りた、ひなこたんっていうアイドルのものを参考に練習していた。
数日後、合格通知が来た。
親は私がアイドルになることを二つ返事で了解した。
アイドルになっても私には興味ないのかな…。
そして、ゆかちゃんに合格通知を見せた。
ゆかちゃんの顔は驚愕、喜び、不安とつきづきに変わっていった。
「わかばちゃん、ちょっとその紙見せて」
ゆかちゃんは私から合格通知を受けとるとネットで何やら調べ始めた。
「大丈夫。わかばちゃん、私に相談してくれたら良かったのに…」
ゆかちゃんが頬を膨らます。
可愛い。
「…だって…驚かせたかったもん」
「可愛い」
ゆかちゃんが抱きついてくる。
最近、育ってきたゆかちゃんの胸が顔にあたりなんか、ふかふかして気持ち良い。
「わかばちゃん、アイドルおめでとう!!私がわかばちゃんファン第1号だ。すっごく、応援するから!」
より、強く抱きしめられる。息が出来ないけど、気持ちいい。段々、眠くなってきた。
「あれ、わかばちゃーん」
私達はこの一年で着々と実績を、積み重ねていきやっと地下劇場で単独ライブ出来るようになった。
大抵の場合は単独ライブまでいけずに終わるので私達は今、波に載っていると思う。
ゆかちゃんとピーチのメンバーのおかげでここまでこれた。
だから、私はゆかちゃんに見てもらって、喜んでもらいたい。
「わかばちゃん行くよー!」
リーダーの声がする。
「うん!」
じゃあ、ステージに行こう。
ゆかちゃんはどこにいるかな?
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