天使とドルオタ

3話アイドル序章曲

「はぁー」

「…ゆかちゃん、元気だしなよ」

「わかばちゃーん」

　わかばちゃんに抱きつく。因みに私の方がだいぶ身長が高いのでわかばちゃんの顔は胸のなかだ。

「ふにゃー」

　わかばちゃん可愛い。

　頭を撫でてあげると、可愛い、声を出す。

「くぅーん」

「…って、私がなぐさめられたら駄目じゃん…」

　わかばちゃんは私から離れると、必至に背伸びして私の頭を撫でようとする。

　小さい子ぽくて可愛い。

　私はわかばちゃんのために頭を撫でられる位置にまで持ってくる。

「よしよし、今日は同好会メンバー見付からなかったけど、明日なら見つかるよ」

　そう、思い立ったら即日行動の私は高校でアイドル同好会をつくるための部員勧誘をそれとなくおこなった。

　そしたら、興味もってくれる子が見事ゼロだったのです。そもそも、ひなこたんを知っている人が思った以上にいなかったのです。基本、そのアイドル誰っていう感じでした。

「私、この高校でのひなこたんの知名度を上げないといけないと思うんだ！！」

「…どうやって？」

「現役地下アイドルのわかばちゃんに宣伝してもらう」

「…へぇー、それ私の知名度だけ上がってひなこさんの知名度上がらないと思う…。後、あんまり学校で知られないかな…」

　わかばちゃんが地下アイドルということは高校の中では二人だけの秘密なのです。

　まあ、仲の良い友達がわかばちゃんしかいないからだいたい、話すことがないのですが。

「…うーん、放送部に入るとか？」

　放送部は名前のとおり放送関係のことを行っている部活で、昼や放課後、校内放送によりラジオ形式で色々なこと喋ったり、音楽流したりしてます。

　案外、このラジオは学内の生徒から結構人気です。

「放送部入ると忙しくなるから、同好会作れなくなって本末転倒だよ」

　放送部は毎日、ラジオをやっているこで放送部員はかなり必至に原稿考えています。

「…だねー、あっ、今週の生徒紹介に推薦してあげよっか？」

　今週の生徒紹介とは、放送部に自推、他推された生徒をゲストとして呼んで、色々お話をするコーナーである。確かに、たまーに他の部活と彼女とか募集しているので、宣伝にはもってこいです。

「ん、良い案だけど、一回断ったことあるからなー」

　一年生の頃、誰かに他推されましたが、目立つのが嫌だったので断っているのです。

「…放送部員が土下座までしたやつだね…。…ゆかちゃん、可愛いから出したいの凄くわかるけど…」

「うん、目立ちたく無かったのに、結局、悪目立ちしちゃて、ちょっといらいらして、嫌な態度とっちゃたからな」

「…あれは放送部員が悪いよ…」

「…ここまでついて来てくれてありがと、私は先行くね…」

　わかばちゃんは地下劇場に入っていく。

　今日はわかばちゃんの所属するグループ、ピーチの初の単独ライブなのです。

　その応援のために来たのですが、ライブ始まるまで後、一時間どうしましょう？

　喫茶店でだらだらと時間を潰し、地下劇場のある寂れたビルに戻ってきます。

　ところどころ錆びて壊れそうな急な階段を降りると

　おっさん、おっさん、お兄さん、おっさん、おっさん、おっさん、お兄さん、お姉さん、おっさん……

　おっさんパラダイスです！

　おっぱらです！

　という、冗談はおいといて、人が集まったステージのある大きな部屋につきます。

　部屋は教室の端から端くらいの小さなステージがちょこんとある地下劇場です。これでも地下劇場の中では大規模です。

　その、大規模劇場において、単独で満杯とは言いませんが結構な人数が入っており、ピーチの人気の高さをうかがえます。

　チケットを買って、高校生には痛い出費の3000円です、下に降りると、お兄さんと話していたお姉さんが近づいて来ます。

　私ってやっぱり女の人ほいほいです！

　抱きつかれて、顔に胸が胸がーー！

　天国！

「ゆかちゃん可愛い。もう、満足だわー」

「みやこさん、まだ始まってないですよー」

「ぐへへ」

「みやこ、やめなさい！」

　お兄さんが来て、みやこさんの頭を軽く叩きます。

「しょうがない」

　みやこさんがしぶしぶ離れてしまいます。

　あー、おっぱいが、おっぱいがー！

　私のおっぱいがー。

「みやこも、ゆかちゃんももうそろそろ始まるよ」

　スポットライトがパッとつきます。

「皆さん来てくれてありがとうー」

「うぉー、わぉー」

「今日も楽しんでいってねー」

　わかばちゃん可愛い

「じゃあ、一曲目いくね」

「うぉー、うぉー」

「「「天使な日々」」」

「うぉーー！！」