第14発 時計の針

帝都の宮殿でえっちの限りを尽くしていた男は日に日に男としての強さとみなぎる自信に満ち溢れてきており、真の英雄あるいは覇王といえる程までに色事に耽っていた。


そんなある夕方、西方文化圏の国々の連合である十字軍が、東方にある世界帝国の帝都方面に侵入してきた。

女宰相「如何なさいます?」

男「宰相、キミともう一発イッてから考える」

女宰相「そう仰ると思ってました。たっぷりとお愉しみを」

男「もはや俺は早漏ではないからな」

女宰相「焦らす気ですか?」

男「十字軍対策は後回しだ、より大切なのはセックスだ。そうだろ?」

女宰相「御意」

男「そうだな・・・。面倒なことは将軍に全部委任してしまおう。将軍を呼べ」

女宰相「その前に。私のことをもっと愛撫してくださいな」

男「ああ。どうだ?」

女宰相「最近、とくに気持ちいいです」

男「ちゅっ」

女宰相「あんっ。それでこそ、名君です」


オフィーリア「将軍のオフィーリアただいま参りました! 申し上げます! エーゲ海方面に、・・・・・・え゙?!」

半裸の女宰相がくぱぁしてて、全裸の男がつぷっと精神を挿入したところだった。

女宰相が宰相の正装たる官服を完全に脱ぎきっていないところがまた、いやらしさを倍増させていた。


オフィーリア「きゃぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~!! 変態!!!」

男「!!? この世界にえっちじゃない子が居るなんて珍しい。逆にそそられるぞ。もっと近う寄れ」

男はオフィーリアの頬っぺたを手のひらで撫でる。

ペチッと、とっさにオフィーリア将軍は手をはねのける。

オフィーリア「(汚らわしい・・・)」

男「(なんという純情さ・・・)」

オフィーリア将軍か。この雰囲気どこか面影があるなんてレベルじゃない。そう、あの子だな・・・

男「オフィーリア将軍。君も悪夢の日本世界から来たの? 同じ中学校の○○さんなんでしょ?」

オフィーリア「お答えしかねます」

男「そうか。キミ、何か事情があるんだね?」


男は十字軍との戦いと女宰相とのえっちをひとまず忘れて、オフィーリアを宮殿の空中回廊へと案内した。

男「ねえ、キミ。部活の調子はどうだい?」

当然、男もオフィーリアも、決して若いとはいえない年齢であった。学校の記憶もとうに薄れている。

オフィーリア「ずっと前の話ね。ずいぶんと・・・」

男「昨日、宿題一緒にやろうって言ってたよね? 賛成!」

男「算数が数学って名前になって、何だかかっこいいよね?」

男「あ、そうそう」

男「えーとね、えーとね」


オフィーリアは察した。男は、必死に、あったはずの人生をやり直そうとしているのだ。私と一緒に。


オフィーリア「じゃあ、私の家に来る?」

男「いいね、賛成!」


男はポケットからスマホを取り出した。そして、そのスマホをあえて「ポケベル」と呼んだ。


男「親にはこれで連絡しておくから」

オフィーリア「お互いに門限ってあったっけ」

男「16時だったね!」

オフィーリア「そう、そうだったね」


男は懐かしい感情に襲われていた。これまでの真の世界でのセックスでは感じなかった感情に襲われていた。

男は、ここの世界で男らしさを取り戻したと思っていたが、

男が今日取り戻したものはそれとは比較にならないほど美しい世界だった。


男「階段だよ、転ばないで」

オフィーリアが大切で大切で、精密な仕掛けのお人形さんのように壊れないように丁寧に手を取る。

オフィーリア「私たちが手をつなぐのって、初めてですね」

しかし、オフィーリアの顔が笑っていない。

男「あ、ああ。そうだな」

オフィーリア「でも、他の女性とえっちしてるようなのでマイナス100点です。お盛んですね。いつも宰相とやってるんですか?」

男「いいや、そうじゃないんだ。宰相以外ともやってます、はい。」

オフィーリア「ハァ? あ、16時だ。門限タイムなんで」

男「・・・・・・。中学生の会話続けようよ」

オフィーリア「それと宰相でも天女でもいいから、女の子は1人だけ選んで大切にしなさい。汚らわしい・・・」

そう言い終わると、オフィーリアは男の精神を派手に回し蹴りで蹴飛ばした。


男の精神は、爽やかに、いままでの人生で最高レベルに勃起した。


男は、救いようのない生き物なのだ。

どれだけ女の子を壊れないように丁寧に扱っていても、

心の中ではその子とのえっちを妄想し心の中で実行しているものなのだ。


そして、この男も・・・例外ではない。その夜はぼーっとしながら、脳内のオフィーリアと心の中でえっちしていた。

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