第11発 後悔

男はジパングの国営放送をハッキングし、○○商事の人事担当者と一方的な遠隔公開討論を始めた。


山田「先ほど、ジパング政府の担当者からお話を伺いました」

男「ほう? 今更何を言う。俺は世界帝国の皇帝だ」

山田「当時は弊社の採用計画に従い、丁寧に面談を行いましたが、貴殿のお役に立てず・・・・・・」

男「お前らみんなして、俺を・・・・・・」


その時である。不意に、目に涙を湛えていた大主教の女の子が画面に割り込み、机の上にぴょんと飛び乗ると、男のマイクを奪おうとした。全世界のテレビにスカートの中の純白のパンツが映り込む。

女大主教「もう・・・・・・やめてあげて・・・・・・・」

男「何故だ? 今とてもいいところなんだ」

女大主教「この採用担当者に何の罪がございます? 不景気は、この担当者のせいではないのです」

男「構わん」

女大主教「いいえ、構います! 知ってますか? 山田さんが、不採用の通知を送るたびに、泣いていたのを!」

男「・・・・・・。」

女大主教「そして、山田さんが毎年神社で景気回復を祈願していたことを!」

山田「いえ、良いんです。私が不採用通知をした回数だけ、私はその人の人生を取り返しのつかないことにした・・・」

女大主教「いいえ、山田さん。あなたは悪くない。文字通りの意味で、です」

男「大主教、君は、君は皇帝 兼 総大主教であるこの俺を諌めようとしているのか?」

女大主教「はい。大主教として皇帝 兼 総大主教の行動を糺し、そして邪悪面に堕ちないよう誠心誠意お護りする務めがございます」


全世界が同時中継していた、遠隔公開討論の帝国側画面であるが、放送開始時より一貫して、公共性の高さがゆえにモザイク処理などはなされていなかった。男の下半身がグレートヒェン姉妹と連結している状況であったが、ここにきてもう一人、目に涙を溢れさせていた女大主教が、放送開始前からがまんして湛えていた金色の聖なる水をも下腹部から溢れさせた。純白の神官のパンツは黄金色の泉となり、そこから机の上を川となって優雅に流れ、そして画面下方のグレートヒェン姉妹の顔に滝となって滴りおちた。


男「覆水盆に返らず、か。山田さん、俺が間違っていたよ。ごめんなさい、申し訳ございませんでした。今お詫びしても、遅いかもしれないけど、本当にすみませんでした」

男は誠心誠意、謝罪した。男は自分の心が慢心と憎悪に満ちていたことを、恥じ、後悔し、そして机を流れる聖水を口にしたため、少し飲み込んだ。するとどうだろう、心が浄化されていくのが感じて取られた。


男「全軍に告ぐ。ジパングに向けた発射台の照準をすべて切れ」


だが、時すでに遅し。ボスポラス海峡の南の方角に、空母のような船が浮かんでいる。

空母のような護衛艦「ジス イズ ジパング ネイビー」


(つづく)

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