第6話 悲報
サーラが出かけてから十数時間後、町ではいつまで経ってもサーラと使用人が帰ってこないため、事故か何かに巻き込まれたのではないかと噂になっていました。
大人たちが捜索に出かけるべきかどうか相談していると、突然町はずれに住む木こりの男性が、血相を変えて飛び込んできました。
「も、森に死体が……!」
木こりが西の森に拘束された状態の死体があると口にしたため、人々は急いでその死体を確認しに行きました。
するとそこには野生動物に襲われたのか、見るも無残な姿に変わり果てた少女の遺体がありました。身元確認のため町へと運び込まれた遺体を見て、サーラの両親は膝から崩れ落ちます。
「サーラ、そんな、嘘だろ……」
「サーラ……どうして……」
普段涙など見せない気丈な夫婦が、人目もはばからず泣き喚く姿を見て、人々は心を痛めると共に
やがて少女を殺した犯人を見つけるために、人々は犯人捜しを始めます。
後日、サーラと共に行方をくらましていた使用人のジョンが見つかると、人々は彼を犯人だと決めつけ警察に突き出しました。
ジョンは警察に連行されるまでの間、必死で悪魔に操られていたと主張し続けましたが、人々は助かりたいがためについた嘘だと断定し、一切信じることはありませんでした。
事件が起きてから数日後、多くの人々に見守られながら、サーラの死体は埋葬されました。
誰もが少女のあまりにも早すぎる死を嘆く中、一人だけ、彼女の死を喜んでいる人物がいました。エミリーです。
エミリーは呪いが成功し、自分の恋路を邪魔する者がいなくなったことが内心嬉しくてたまりませんでした。
それこそ、サーラの葬儀に参加している間は、顔がにやけてしまわぬよう表情を保つことが難しかったぐらいです。
葬儀も終わり、人々が帰り始めた頃、エミリーは再びどのようにして想い人に気に入られようか考え始めました。傷心のフィリップを慰めつつ、その心に付け入ることができれば、正攻法で恋人になれるでしょうか? それとも、もう一度魔女に頼み込んで惚れ薬を作って貰ったほうがいいでしょうか?
エミリーは脳内で一人計画を練り始めます……。
痛ましい事件が起きてから数か月後、人々は元の日常を取り戻していました。唯一変わったことと言えば、フィリップとエミリーが付き合いだしたことくらいでしょうか?
エミリーは楽しいデートを終え自宅に戻ると、夕食が出来るまでの間、自室で休憩することにしました。エミリーが二階にある自室に行こうと階段を上がっていると、その途中でふいに強い頭痛に襲われます。
エミリーは思わずしゃがみ込みますが、痛みは治まるどころかますます激しくなっていくばかり。薄れゆく意識の中でエミリーは助けを呼びましたが、ついにはその場に倒れ込んでしまいました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます