第10話 母のドケチ
母はもう、年だし、パートタイマーなので弁護士費用が出せないんだ。
しかも800万という多額のローンを短期で組んだから、月々10万の返済でとても余裕がない。それで区だの県だのを頼っておいて、
「過剰支払い分を取り戻す手続き出来ますよ」
と言われても、れいによって
「いや~~今はそこまで考えてません」
とかいって25分の相談時間を無駄にしてしまった。いくら、
「あなたが方針を決めて、そのうえで相談に行くこと。戦う意思を示すこと」
とあらかじめ言っておいても、
「25万取り戻すのに弁護士の着手金に3万では引き受け手がいないんじゃあ……それに相手が生活保護受けてる上に精神を病んでるんじゃ、起訴するだけ無駄なんじゃ」
と、当の弁護士に聞かずに、心の中で思っているだけ。あとでわたくしにこぼすだけなんだ。こぼしてどうする! 弁護士に言え!! 何のための相談だ! わたくしあらかじめオンラインで、GW中でも東京から出張してくれる弁護士を見つけておいた。女性だし、発生する料金の内訳を明らかにしているから、どう? って言ったら、
「いや、東京の人だし」
「出張OKって」
「いや、出張費とられるし、家にあげるのがちょっと……」
「そんなの私が出すから! あの妖しい関さんは、娘が嫌がってもあげるのに、どうして弁護士を家にあげたがらないの!? 弁護士は味方! お母さんは正義だよ!?」
って言ったんだけど、
「いや……」
と言って答えを出すのがとことん遅い人だから、こちらが先回りして、あらかじめ必要なことを揃えてあげなくちゃいけないし、今回の原因は「施工費をケチろうとして、業者に反抗された」わけだから。お金がどこかから降ってくるんでもない限り、母の「いや~~」は止まらない。それよか、母、まだなんか隠してるっぽい!
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