第11話 業者の罠
2019年5月21日火曜日。
一つの報告をせねばならない。
母がまた隠し事をしていたことが発覚。
なんと、かつてアパートのリフォーム前に、台風で当該のアパートの屋根瓦が落ちたのを発見した丸善が、「5万で修繕できます」と言ってきた模様。
普通足場を組むから26万くらいはするのだが、丸善は保険金がおりた旨、母が電話で告げると、「業者に5万円だけしはらってください」といい、母は5万円しはらい、おりた26万円の保険金のうち、21万円を着服。
これにより、母は警察と保険会社に後ろ暗いところをもつことになってしまった。
よって、そのことをほじくり返されるのを恐れて、今回誰にも頼れなかったようなのだ。
しかし、よりにもよって、今日、なんとかいう業者が訪問してきて、隣りの家の雨どいを直しているものだが、と名刺を渡して、またうちの雨どいを直すのなら今のうち(雨災害の被害から3年以内でないと保険金はおりないらしいが、5年目の今ならまだギリギリまにあう、といって)業者の方でいろいろしてくれると申し出てくれたらしい。
その手で口をふさがれて、セ*ハウ*ングにいいようにされたのに、懲りない。
なんでも雨どいは三日で直せるらしいと母は聞いて、保険会社に送る証拠写真をとるからと言われてほいほい喜んで聞き入ったらしい。
わたくしの予想では。
その業者は足場を組んだ後で、雨どいどころか屋根が深刻だと言ってくる。
そして施工料を上乗せして、見積もりも請求も引き延ばして後で高額請求してくる。
もしくは、この家は「お金持ってる人」という情報を流されて、他の業者がきてぼられる。
ようするに、つりだ。
頼んでもいないのに、あなたの家の雨どい直しますといって訪問してくるなど、業者としておかしいと思わないのか。
ガミガミ言って、ようやく母は「わかったよ。疲れた……」と。
今ソファに深く腰かけ、目をきつくつぶっている。
わたくしは、その名刺を細かく破いて、家じゅうのゴミ箱に分けて捨てた。
母はまた、保険金がおりて、なにか得をするのではないかと期待したらしいが、猛反対する。
そんな金を受け取るから、正義にふり向いてもらえないのだ!
当然助けてくれるはずの機関も、自分の手で無力化してしまうのだ!
悪いことはしてはいけない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます