第8話 増額しておいて値切ったら警察に行く準備をしてある、と……?

 言うまでもなく、警察は民事不介入だ。

 だから、いくら65万が95万5000円になり、残金50万で先に20万くれと言われても母は支払うしかなくて。

 すでに95万5000円払っているのに、116万5000円になり、さらに100万円払えと言われても、母は支払い能力を超えているからと泣くしかなくて。


 中立の立場を守る父の顔に免じて、100万を50万にしてくれるという話になった。(示談成立)→ 後に、別途慰謝料を要求する旨伝えて去った。


 母の通帳はマイナスなのに、業者は、

「払えるでしょう。稼いでいるんでしょう。アパート収入で」

 とつけ入ろうとする。

 母は多額のローン返済を負っていること、今回の施工は、年間収入の4倍。つまり四年分の貯金をはたいて依頼したのだということを話した。娘は聞いていた。

 痛々しいな。こう書くと。

「だから、言ったじゃん。お金が無いって……」

 キッチンでつぶやくわたくし。

 メールで何度も「母はお金が有りません」と言ったのに、

「退職金があるんでしょう。それでアパート物件買ったんでしょう」

 と言いがかりをつける。

 そんなもんはない!

 うちにあるのは年寄りと、満足に接客もできない娘だけであるよと。

 要するに扶養せねばならない家族だけで、自分はパートで働いているのだよと、母、なぜ言わない。

 見栄を張っているのか? 無駄だぞ。

 察してくれる相手でもない。

 ああ、母よ。

 値切ったあ、警察行くー!

 なんて言ってる相手を、話し合いの席にのせてくれるな。

 だって、言ってることめちゃくちゃだもん。

 しかもこんな書面付きで……。


 つづく。

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