5月
第11話『LINE交換』 ――千尋side
――
放課後、帰りの学活が終わり騒がしくなる教室。
「ねえ、
僕が部活に行く準備をしていると、
いきなりのことにちょっと緊張しながらも
「う、うん」
赤井さんはスマホを
「もしよかったら、LINE交換してくれないかな?」
「へ……?」
こうして
◇◆◇◆◇
その夜、僕は自室の学習机に
「どうしよう……赤井さんとLINEを交換しちゃった……っ!」
たぶん今の僕はすごくだらしない顔をしている。
それくらい、赤井さんとLINE交換できたことが嬉しかったのである。
LINEといえば、無料でメッセージが送れたり通話ができたりするスマホアプリ。
お互いの連絡先を交換するということは、個人的に親しさの証だと思っている。
男女で交換するとなればそのハードルは
といっても、前に約束した二人だけの
「でもどんなメッセージを送ればいいんだろう……?」
普段LINEするのはみーくんくらい。女子では
まずは挨拶を送ればいいと思うんだけど、どんな感じでいけばいいのかな……?
赤井さんとのトークルームを開き、最初の一言に悩んでいると――
――ポロン
「うおわっ!?」
――通知音と共に、赤井さんの方からメッセージが飛んできた。
さすがは赤井さんだ。
悩んでいる僕とは違って、彼女はすんなりとメッセージを送ってきたに違いない。
この一言目を見て勉強させてもらおう。
「こんb!?」
こんbって何!?
新しい挨拶か何かかな?
というかもう
えーと……同じように返せばいいのかな……?
そう考えて『こんb』と打ち、送信しようとした時だった。
赤井さんからまたメッセージが来た。
赤井苺『ごめんね! 今の間違い!!』
『本当は“こんばんは”って打とうとしたの!』
『うぅ恥ずかしいよぉ・゚・(。>д<。)・゚・』
ま、間違いだったんだ……!
『こんb』と送信してたら、バカにしてると思われちゃったかもしれない。
それにしても赤井さん可愛いな。
いつもはしっかりしてる感じがするけど、意外に天然なところもあるんだ。
赤井苺『驚かせちゃって本当にごめんねっ』
白鳥千尋『ううん!』
『えっと、じゃあ、さっそくだけど勉強会の話をしようか?』
赤井苺『うん!』
少し驚かされちゃったけど、こんな感じで僕らのLINEでのやり取りは始まった。
ほとんどが曜日決めや時間決めといった業務的なやり取りだったけど、それでも一つ一つのメッセージを送るたびにわくわくして、一つ一つの返信が来るたびにドキドキする。
それに、この文章で大丈夫かなと何度も見直して書き直していたせいで、一回のメッセージを打つのに20分くらい時間をかけてしまった。
でも、赤井さんの方も返信まで同じくらいの時間をかけていたから、もしかしたら彼女も同じようにしてくれてたのかな……?
ううん、赤井さんならすぐにメッセージが打てちゃうだろうし、何かしながら片手間にやり取りをしていたのかも。
たとえそうだとしても、僕にとってこの時間はとても楽しいものだった。
結局、勉強会は基本的に火・木曜日の放課後に行うことに。
僕が所属する漫画研究部は自由参加だけど、「週3は参加できるように」という赤井さんの配慮からこう決まった。
白鳥千尋『というわけで、改めてよろしくお願いします、赤井さん!』
赤井苺『こちらこそよろしくだよ、白鳥くん!』
白鳥千尋『それじゃあ、おやすみ』
赤井苺『うん、おやすみ~(o^▽^o)』
最後に赤井さんから眠っているクマの可愛らしいスタンプが送られてきた。
そこでふと時計を見れば、もう少しで日付が変わろうかという時刻。
「おやすみ……かぁ」
赤井さんに初めておやすみと言えたこと。
夜遅くまで赤井さんとやり取りができたことが嬉しくて、つい頬が緩んでしまう。
そんなテンションのままだったからか、寝る
明日は寝不足で辛くなるかもなぁ……。
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