僕はのっぺらぼう
皐月きりん
第1話
それは他者からのなんて事のない適切な批評なのかもしれない。至極まともで、もっともな意見なのかもしれない。
しかし僕はそれに耐えられない。
肩に錘が乗ることに耐えられない。胃の中を優しくなでられることに耐えられない。食道を甘く握られることに耐えられない。
他人に意見されるなんてまっぴら御免だ。
僕は僕のままでいる。
理性は知っている。素直に現状を受け入れることが一番の近道だと。
そんなことは知っている。
そんなことは知っているっ。
そんなことは知っているっつ。
けれど、認めたくないんだ。自分に力がないことを。自分に失望したくないんだ。
傍から見たら、うずくまって必死になって泣き叫ぶ僕は醜いだろう。必死になってボロボロの殻の耐久性を訴える僕は滑稽に映るだろう。
僕も惨めだ。
何やってんだろ、何度もそう思う。言い訳して、言いつくろって、未来に逃げて。
僕は、のっぺらぼうだ。
僕はのっぺらぼう 皐月きりん @maygiraffe
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