見える世界。

みるぽんず

第1話

 見える。いや正確には目に付くと言った方が正しいのかもしれない。

 学生のころの話だ。ちょうど夏の暑さがピークを迎える8月上旬、私は友人らと5人で肝試しをすることになった。

 正直乗り気じゃなかった。でもさ、場の空気ってあるじゃん。断れなかった。

 集合時間になり5人で霊園に向かった。行くとにはみんなして啖呵きって、学生だし怖いもんなんてないと思ってたんだよ。

 その霊園はよく幽霊が出るスポットとして雑誌に載ったりするようなところでさ、まぁ結論から言うとさ車から降りた時にすぐ目が合ったんだよ。もちろん友人とじゃない。人でもないなにかと。じとーって感じ。なんだろな無機質なんだよね。

 ただ俺以外は見えてないみたいだしそのまま続行になったんだ。肝試し中はずっと見られてる感じがしたんだけどそれ以外は特に何もなかった。

 本殿に戻りお賽銭をして帰ろうってなった時見えた。いや正確には目に付いた。小さいおじさんがいたんだよ。50センチくらいかな。本殿の階段のところに座ってるんだ。タンクトップにハワイアンな感じの半ズボンに麦わらぼうしだった。

不気味だった。ずっと笑ってるんだよ。ニヤニヤとかネチョネチョというかそんな感じの下品な笑い顔でずっとこっちを見上げてくる。お賽銭をする前にからしてる時までずっと見られてる感じがした。終わって帰ろうとして振り返ったとき目が合っちゃったんだよ。真っ黒だった。白目がないんだよ。ジッと私のことをみてニヤッと笑うとそのまま消えた。

早く帰ろう。それしか頭になく、急いで車に向かった。車に乗り込みエンジンを掛けようとしたがなぜかかからない。5回くらい試したところで友人と変わるとそれまでのことが嘘のようにすんなりかかった。

あればきっとおじさんのいたずらだったんだろうか。


ps 最初にあった無機質な人は帰り際にもいました。

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