子ども時代

それはまるでセピア色の蜉蝣のようだ


広い校庭は

もう別の誰かのものだ

無邪気な色ばかりが笑っている


匣のなかで

気だるげに黒板を見つめた


大人との距離は

近くてもどかしかった


私は今

疲れ切った蜉蝣へと同化している

羽ばたき

瞬き

いつか水に朽ちて濁流に溶ける

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屑籠 本条凛子 @honzyo-1201

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