???

 灯火タワーでの激しい攻防戦。それらが終わりを迎え、灯火町は外部からの援軍が集まっていた。

 そのタワーから離れようと、路地裏の壁に体重を預けている存在がいた。

 なぜなら、援軍の一つであるゼノスは、自分を抹消しに来るのだから。


 体中にノイズが走っている。ただそれだけではない。

 ノイズが激しくなると一瞬、服装ががらりと変わっていく。

 存在が揺らいでいるかのように継ぎ接ぎで揺れている。

 比喩でもなんでもなく、七人分を一人分に凝縮しているような、そんな違和感。


 鉱物が起源の自分が、人間を起源とする自分の身体を軸に、他六名のレネゲイドを維持。

 植物が起源の自分と群体が起源の自分がそれを補い、なんとか一人分のレネゲイド量を保っている。

 そんな継ぎ接ぎの身体を、機械が起源の自分と伝承が起源の自分で演算制御。

 動物が起源の自分のパワーで、そんな身体を無理やりに動かしている。




「……取引なら、断りますよ。というか、わかっているのですか?

 いえ、わかっていて今この場にいるのでしょう。ですが、なぜ、いまなんですか?」




 突如として現れた自分たちの起源が、自分たちを見つめている。

 同時に、レネゲイドが活性化する。

 先ほどまでボロボロだった自分たちが再生するのを実感する。



「今だからですよ。ヒューマン」



 と。

 自分たちの起源たる彼女は、レネゲイドを含んだ物体を自分に投げ渡して、そう答えた。

 依り代となる仮面の代わりに、といったところだ。

 どの道消滅してしまう以上、受け取らない選択肢はない。


「確かに、アルティメットワンなら処理していました。

 ですが、あなたは、いえ、あなたたちは己を同異種アイソトープと定義した」

「……………………はぁ、そういうことですか」


 その言葉に含まれる意味を感じ取り、自分たちは様々な感情を抱く。

 こうなるならば、同じ姿を取らなければよかった。という自分もいるが、そんな選択肢を選べる贅沢はなかった。


 最初から分かっていた。今この状況ですら彼女のプラン通りであることを意味する。

 ゼノスがUGNに協力していることはわかっていたが、自分たちにはそれを理由に退く選択肢などなかった。

 それすら利用してみせる。そんなことすら考えていた。


「いいでしょう。そっちがその気なら、こっちだって手段は選びません」


 ならばこちらはと、自分は、自分たちは、回復した身体で刃を抜いた。




――この日を境に、謎のレネゲイドビーイングの存在が知られることとなった。

 都築京香と瓜二つの、しかして決定的に異なる存在達。

 彼女たちが、今どこで何をしているか、何を企てているかは、また別のお話――






 ~ To be Parallel Plan ~

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