水虫狂想曲。

夫のM夫くんと結婚する時、言われました。

自分は水虫にかかってると思う。だから、結婚を機に病院に行って治療する、と。


だいぶ前からそういう症状を感じていて、自分一人の時はいいけど(←いや、よくないと思う)、同居するとなると伝染しちゃマズいと思うから、という配慮だった。


そりゃ、そうしてくれた方がありがたい。

水虫の人とはバスマットやタオルを共有できないとかいろいろ面倒くさいし、素足で家中を歩かれると感染のリスクも増す。家庭で複数の罹患者がいると、一人が治りかけても、治ってない人からすぐに伝染されるのループで、お互いになかなか治らないと言うし。


私たちの同居開始は早春、3月。

実は、私も時々、足の指先がちょっとかゆいことがあった。見ると、赤くなっている。しもやけかなとも思ったけど、M夫くんから…ということもあり得るし、診てもらって違うとわかれば安心もできる。

というわけで、M夫くんがついに皮膚科に行くという時、私もいっしょに行くということになった。


診察室に、二人いっしょに呼ばれた。

まず、私から。

その超ご高齢の先生は一目見るなり、「あぁ、これは水虫だ、間違いない」と言った。

否定してもらうために来た私は驚き、「いや、あの、皮膚片を採取して顕微鏡で見てくれるんじゃないんですか!?」と訴えた。

すると、「調べなくてもわかる。見ただけでわかる。ほら、これと同じだから」と、水虫に罹患したように色付けしてある足の模型を取り出して私に見せた。


「こういうところも全部そうだから」と、冬の肌荒れで乾燥してひび割れ気味の私のも指差す。


いやいや、ちょっと待って! 顕微鏡で見てもらわないと納得できない。検査してください、と言う私に、間違いないからの一点張りで、「これ、爪にも入ってるからね、爪は塗り薬だけじゃ治らないから、飲み薬も出しますからね」と、半ば追いやられるように、次のM夫くんと場所を交代させられた。


そして、M夫くんも検査なしで爪まで入った重症の水虫と診断され、二人同じ処方をされて帰って来た。


ちょっと指先がかゆいだけで、なんならステージ4くらいなかなり進行した水虫と診断されたことに納得がいかず、私はもらった薬を使わないことにして全部M夫くんにあげ、自分は二度と通院もしなかった。


それから半年以上して、私がもと住んでいたところのかかりつけの皮膚科(ここにも何度も登場した大好きなクリニック)に別件で行った時、ついでに足の指先も診てもらい、いつまでも機械的に水虫薬を出されてるだけのM夫くんの足も診てもらうことにした。いい加減、治ってるかもしれないよ?ってことで。


私の大好きな先生は、私の足を見るなり「これは全然違いますね。見ただけでわかるけど、一応、顕微鏡検査しますね」と言って、晴れて「やっぱり白癬菌はいませんね」ということになった。


し・か・も!

M夫くんの足も水虫には見えないと言われ、顕微鏡で調べてもらったら、「いませんね」と、皮膚も爪もオトガメなしだった。


この半年以上の外用薬、内服薬はなんだったのか!!


私のは何かわからないけど、アレルギー的なものかもということで気にしなくていい。

M夫くんは、体質的に皮膚が極度に角質化しやすく、治したいなら保湿剤を根気よく塗るしかないということだった。


そして、水虫の基本。(この先生は、必ずこういう豆知識を教えてくれるから好き)


たいていは足の指の股から発生する。

なぜなら、感染したての白癬菌は湿度が80とか90くらいの超湿っぽいところでしか活動できず、人体でそういう環境になるのは、足指の股くらいしかないから。

しかも、皮膚の下に菌が入り込んで発症するまで24時間はかかるので、感染しても24時間以内に洗えば、簡単に落ちてしまう。


私の足を見た先生は、「たまきさんは水虫になりにくい足だと思うよ」とも言った。

私の足指は付け根がスカスカあいていて風通しがよい感じだから。

しかも、五本指ソックス愛用者であり、足が洗われる間隔も24時間以上空かない。

蒸れやすい靴を履きっ放しという機会も滅多にないし、家でもスリッパなど履いてないし(ビーサンみたいなのを履いてる)。


水虫になる要素、一つもないじゃないか!!


以来、我が家では、何があってもあの最初の皮膚科には絶対踏み入れないことにしている(怒)!!!


なにより、晴れて潔白(?)になったM夫くんと、何も気にせずに体重計を共有できることになったのがうれしかった。。。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る