トシを取ると音楽は。。。

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2012年、よそで書いたものの転載。

最近、テレビの音が聞こえにくいのも…???

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今年のお盆のこと。

我が家の納骨堂があるお寺のそばには、かなり大きな公園がある。そこでバスを降り立って歩き出すと、セミの声が聞こえた。

「今年初めてセミの声を聞いた」と私が言うと、妹も、そういえば私もそうだ、と。

ところが、親は「え?なに?全然何も聞こえない」と言うので、ビックリした。立ち止まって耳を澄ませてみても、ハテナ顔のまま。

これはもしや、モスキート音が若者しか聞こえないとかいうヤツと同じような現象なのか!?


それからいろんな人に訊いたら、やっぱりそうらしいとわかった。

家電のピーピーとかいう終了音も、お年寄りには聞こえないのがあったりするらしい。


そして、先週末。

ある滝を見に行くために、私は友だちと一応「山」と呼ぶべきもののようなところに分け入って行った。風の音と鳥の声しかしない、静かな静かなところだった。

と、ここで、私がそう言うと、今度は友だちが、え?鳥??ときた。。。


私たちは同い年だ。

ーほら、小さくピピピって遠くの方で聞こえるよ?

ー全然、聞こえない。。。


その鳥が鳴くたびに言ってみたけど、ダメだった。

私だって聞き間違いが多くて自分が特別耳がいいと思ったことはないけど(関係ないけど、肝心なことは聞き逃してるのに、どうでもいいヘンなことだけ聞こえたり)、これはどうしたわけだ??

すると友だち、「聞く必要のない音を、脳がカットしているんだ!」と言い出した。

なんでも、自分は健康診断の聴力検査では問題がなかったんだから、だそうだ。


ってことは、なに?その鳥の声が必要かどうかはおいといて、聴力検査で問題がないというのは、その年齢では…(聞こえない音があっても年相応)ということなのかしら??


確か、トシ取って聞こえなくなるのは、高周波の音だったよね?

親みたいに、セミくらいの高さの音で、しかもあんなに大音量なのが聞こえないというところまで行く前に、高音のかわいらしい鳥のかすかな声が聞こえない、みたいな前段階があるということなの?


友だちは、私より先にその域に行っておられるのだろうか。


さておき、そのようなことが人間に起こるとすると、音楽の聞こえ方はトシとともにどういうことになって行くのだろうか、という疑問が湧かずにいられない。

バイオリンなんかが、最高に高い音をソロで「ひぃ~~」と奏でてる時、おじいちゃん、おばあちゃんには聞こえないの?あるいは、多層な音の時でも、彼らの聞く音楽に高い音域のハーモニーは混ざってないの?

いや、高音域=高周波なのかどうか、そういうのがよくわからないのだけど、いずれにしてもトシとともに聞こえ方が変わって来るとしたら、なんだかさびしいなぁ。

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