トイレの鼻子さん伝説
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2005年によそで書いたものです。
こんな体質でした。が、今はマシになりました。昔は血の気が多かったのかなぁ。
ちなみに現在は、正しい止め方が周知されてるようです。
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昔々、ある会社の女子トイレ。
時々、一つの個室のドアが、ずぅっと閉まったままになってることがありました。中からは、かすかにポッタンポッタンと水滴音が。
トイレに来た人は、長くても10分くらいしかトイレにいないので、そのドアが20分も閉まりっぱなしだなんて、あまり気づきません。その会社には、女子が大勢いたので、トイレが無人状態ということの方がむしろ珍しいんだし。
でも、誰かがトイレに入って用を完了し、手などを洗ったり顔をなぞったりしてると、その開かずの個室の中からおもむろに、弱々しい声が聞こえてくる場合があるのです。
「…すみませ~ん」と。
(えっ!?今、誰か呼んだ??とびっくりして)「は、はぃい?」
「○○さんを呼んできてくれませんか?」
「は?」
「私は●●なんですけど、○○さんを呼んできてほしいんです」
「…わ、わかった、呼んでくる…」
このような場合、たいていの人は、深くは突っ込まずに実行します。
ほどなく、トイレに登場する○○さん。
閉まったままの個室をノックして、「来たけど、またなの?」
すると、ガチャリとドアが開き、便器の中では凄惨な事件の現場のようなおびただしい血が、まさに流されようとするところ。
「20分くらい経つけど、止まらな~い。ペーパーも、もうない」
○○さんが、持参してきたポケットティッシュを差し出すと、顔の位置が便器の上からズレないように保った私が、それで鼻を押さえる。
こういうことが、3回ありました。
とにかく、よく出してました。
道を歩いてて突如ということもあれば、電車内で、仕事中に、食事中に、入浴中に、就寝中に(←特によくある)、洗顔中に、…etc. 学校時代は模擬試験中にってことも(慌てるのは試験監督官)。
友だちといる時に、私が突然「あ」とトイレに駆け込んだ場合は、お腹ではなくて鼻血、と友だちも心得てました。
一人で歩行中に出血した時は、ツルッと感触があって、手を当てたら血が付いてきたので、慌ててティッシュで押さえてトイレに駆け込んだので、顔面流血状態で歩く怪しい人にならなくて済んだのだけど、今でも、歩行中にジッと見られたりすると、「もしや出てる?」と鼻に手を当ててしまいます。
このように、あまりにもしょっちゅう、所かまわず鼻血を出すので、「まだ子供?」と思ったりもしたのだけど、病気ってこともあるので病院に行った方がいいという周囲のすすめで、行きました。
血液凝固のテストとかいろいろ検査して、結論は「単に出やすいだけ」。
子供のころは目や鼻の粘膜がアレルギーっぽくグシュグシュすることもあったので、粘膜が弱いんでしょうってことで、先生は私の鼻の粘膜を焼きました。その焼き痕が定着するまでくしゃみ禁止。ゆえに、くしゃみ予防の薬を出されました。
そして、鼻血対処の指導。
「昔、保健室でやられたような「つっぺ」はしてはいけない、首の後ろも叩いちゃダメって聞いたことがあったので、止まるまで流しっぱなしにしてました」と言ったら、「それがダメ」なんだそうだ。そんなことじゃあ、鼻血は止まらないらしく、鼻の上から出血部分を力いっぱい「指で」グッと押さえる。しかも、顔を上に向けちゃダメ。普通の状態で押さえる。これが正しいそうです。
焼いた後しばらくは、めでたくも出なくなり、焼いたのが期限切れ(?)となって再び出た時も、正しくグッと押さえたら、20分も30分も止まらないなんてこともなくなり。そのうち、極端な鼻血体質も、だんだん改善されました。
それにしても、いくら若いといっても、いったい何に対して、そんなに熱く血をたぎらせていたのか、まったくのナゾです。しかも、あれだけしょっちゅう大量に流血してたのに、貧血にもならずに。若いってすばらしいわぁ。
そういえば、同じ会社に、やはり流血しやすいオジさんがいて、いつもツッペしてたんだけど、「あれは興奮のせい」とみんなに言われてました。お気の毒なことでした。
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