第15話

 百合さんと紫が、お茶を入れるいる間に俺達は勉強会の準備をしていた。

 まあ、準備といっても、筆記用具や参考資料、クッションを人数分用意するくらいだろう。

 後、二階にある本で、参考になりそうな物を取ってくるか。

 階段に向かい始めると、昴がこちらに寄ってきた。


「上に何か取りに行くの?なっちゃんの部屋とか、、、」


 少し照れたように尋ねてきた。

 何で、俺の部屋?

 ああ、でも、ある程度持ってきたけど、忘れ物があるかもしれないしな。

 いや、でもな、誰かに借りればいいし、三階にまで行かなくてもいいか。


「いんや、二階で参考になりそうなの取ってこようかなって。ほら、現国や古文、英語は辞典あったら楽だろ?」

「あ、ああ、そうか、確かにあったら、、、楽かもね」


 何か、あからさまに落胆してるな。

 俺の部屋なんて特に面白くもないのに。

 勉強机とベット、衣装タンスくらいしかない殺風景な部屋だぞ?

 昴って、昔から変わった所あるよな。

 一緒に風呂入ろうって言ったら、顔真っ赤にして断る所とか。

 って、それは、俺の勘違いか。

 本当に、女の子なんだよな。昴って。

 今も、ノースリーブの胸元には微かな膨らみが有り、生地にはツンっと突起物が、、、へ?

 ーーーっはぁ⁉︎


「おい、昴。お前、もしかして、ノーブラ?」

「いやいや、僕だって女の子だよ?こんな薄着なのに、付けてないわ、、、け、、、っ⁉︎⁉︎⁉︎キャーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」


 キッチンから、百合さんと紫が走って戻って来た。

 その手に、お盆が無いことから、悲鳴を聞きつけて来たのが分かる。

 分からない事は、二人の表情が死んでいる事。

 俺を客観的に見てみよう。

 ①昴の悲鳴。②足元には蹲った昴。③その場に立ち尽くす俺。

 この状況を見た次の答えはどれでしょう?

 ①俺が昴に不貞を働いた。②俺が昴に猥褻行為をした。③俺が昴にセクハラをした。

 さあ、どれでしょう?

 どれでしょう、っじゃねぇよ!俺の馬鹿!

 明らかに、俺犯罪者じゃねえか!


「いや、二人とも違うんだ。一旦話し合おう?な?これには、海より深い訳があってな?」

「夏巳くん、、、信じてたのに」

「よし、海に沈めてから聞く」


 っという回答が、返ってきた。

 百合さんは、現状をだんだん把握(誤った方向に)し始め泣く寸前。

 紫は、怒りが表にで始め、俺を射殺すように睨み出した。

 そして、昴は顔を真っ赤にし、胸元を隠すようにしていた。

 現状、詰みである。

 どう弁解しても、直ぐに勉強会は始められないだろう。

 はあ、俺、何にもしてないのに。



 弁解にかなりの時間を使い潰し、今回の勉強会はお流れに。

 誤解が解けた後、気まずい空間に耐えられず、昴は羞恥心で、紫は思い込みを恥じて二人で早乙女家へと逃げ帰るのだった。

 その後、気まずい空間で、百合さんとの信頼関係の修復及び、俺がどれだけぞっこんなのかを二、三時間かけて説明した後、百合さんのアパートに彼女を送り届けた。

 マジで、今日は何て日だ、、、。


 ♡♥︎♡♥︎♡♥︎♡♥︎♡♥︎♡♥︎♡♥︎♡♥︎


 はあ。紺色のノースリーブでよかった。

 白だったら、完璧に見られてた。

 でも、明らかにあのなっちゃんの目は、僕の、その、ち、ちく、、びを、その、見ていたよね。

 明日から、どんな顔をして、なっちゃんに会えばいいの?

 というより、何であんなに真っ赤な顔をして僕のアレを見てたの?

 だって、僕の胸って、ゆっちゃんや園田さんのよりすごく小さいし、見てもそんなに嬉しく無いだろうに。

 男の子って、胸だったら、何でも興奮する生き物なの?お猿さんなの?

 うう、分かんないよーーー!

 で、でも、少しは、興奮してくれたのかな?

 あの態度だと、有り得るよね?

 もう少し、僕もアプローチを頑張ってみようかな?

 百合さんには、既に大きなアドバンテージがあるけど、ゆっちゃんとなら、まだ、互角なはず。

 むふーー。絶対に、負けないよ!

 僕だって、なっちゃんの事、好きなんだからね。

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