第13話

 百合さんが、トンデモ衣装で来たかと思ったら、今度は紫と晶の突然の訪問。

 二人共上が、ノースリーブなのは変わらないが、紫は下がホットパンツで、晶はダメージのスリムパンツである。

 晶に限って言えば、今までサラシで隠してた胸がノースリーブ越しに盛り上がっている。

 そう、

 そう言えば、昔から女の子だと思えないほど真っ平だったなり


「むーーー」


 気づけば、晶が俺をジトっとした目で睨んでいた。

 スーーっと目線を逸らしていくと、紫に視線が向かった。

 紫は、長身でスタイルもよく、かなりのモデル体型である。

 まあ、百合さんの方が、、、


「じーーーー」


 今度は、紫に白い目で睨まれた。

 口には、出していないのに何故わかった?

 幼馴染恐るべし。

 不意に、後ろから引っ張られる感覚がして、振り返ってみると、百合さんが少しむくれていた。

 俺が、他の女性に視線を向けてたからだろうけど、俺だって健全な男子高校生だから、そういう部分に視線が行くのは仕方の無い事なんだけど、まあ、これは男子特有だからな。

 男の性が憎らしい。

 彼女の心配を取りのぞく為に、俺は、そっと彼女の手を取った。

 そうすると、百合さんの顔が少し綻んだ。

 百合さんには、この表情が一番だ。


「ナツ、期末の試験勉強やるよ?」

「なっちゃん、僕とも一緒に勉強しよ?」


 紫は、少し怒っているように告げた。

 多分、両親から俺を任された、早乙女家を代表として来てくれたのだろう。

 だけど、彼女の勉強はかなりハードだ。とてもやりたくない。

 昴は、笑顔で誘ってくれた。

 とういうより、何故俺は、あんな可愛らしい笑顔の少女を男子だと思ってたんだ?

 そこんとこ、あんまし思い出せないんだよな。

 すごい男気を感じたから?昔から長身で、俺よりデカイから?喧嘩も強かったな。

 例をあげれば、いくらでも出るな。勘違いする場面。

 アレ?これって、俺悪く無いよな?

 これは、誰だって勘違いするよな?」


「なっちゃん?そろそろ勉強の時間だから、あまり言わないけど、そろそろやめないと、怒るよ?」

「っは!!俺は何時から声を出してた⁉︎」

「んー、昔から、思った事を口に出す事は稀にあったよ。だから、僕の事も、男の子だって思ってるじゃないかなって薄々感じてたよ」


 昴は、呆れながらそう言ってくれた。

 そんな事無いよなって視線を紫と百合さんに向けたけど、二人共視線を逸らされた。

 おお、マジか。


「たまに、夏巳くんの視線が、その、胸の方に向かってた時、上向きが良いとか、形が何とかって言ってたよ」


 百合さんは、恥じらうように語った。

 俺の馬鹿!視線はバレバレで、思考した事を口に出していたなんて、恥ずかし過ぎる!


「中学の頃、早乙女家天堂家合同旅行。そこで、ナツが顔を真っ赤にして、『紫は幼馴染。紫は幼馴染。紫は幼馴染』って、胸を見ながら唱えてたのも知ってるからな。、、(別に、ナツならいくらでも見ていいし、なんなら、触ってもいいのに)、、、」


 紫からも、暴露話が、、、最後は声が小さくて聞こえなかったけど、かなり怒っていらっしゃるようだ。

 顔を真っ赤にして、俺のこと睨んでるから間違い無い(ただただ本人を目の前にして赤面してるだけ)。

 そうだよな、紫、中学の時から、突然胸が大きく育ち始めたんだよな。その内、百合さんも超える大きさに育つかも。

 って、いい加減、考えるのやめよう。みんなの視線がヤバイことになってる。


「そ、らそれより、えーと、早乙女さんと浪川さん?は、どうしてこちらに?試験?って話しでしたけど」

「あーあ、それは僕たちの学校、来月期末テストなんだよね。僕は、転校したばっかだし」

「それに、ナツが成績落とさないように監視する為ってこともある」

「いや、俺、そこまで成績悪く無いぞ?」

「落とさないようにって言ってるでしょ?」

「っはい」


 何故だ?俺は毎回紫ほどじゃないけど、それなりに上位にいるのに。

 いつもいつも、叔父さん達に悪いって小言が多いし。お前は俺の嫁かと言いたくなる。

 実際問題、そんな事言ったらまた技をかけられるから、言わないけどな。


「勉強かー、私は、ずっと小説書いてあまり、してなかったなーー」


 一人、虚空をみて微かに泣いている人がいる。

 まあ、中学生で小説家デビューしてましたからね。しょうがないですよ。

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