第10話


 俺が、百合さんのマンションのインターホンを押す一時間前、、、

 普段通り、読書を楽しんでいた頃だった。

 最近、コーヒーに嵌り、エスプレッソマシン(直火式の蒸気で作る奴)を買ったのでそれで入れたコーヒーにホットミルクを合わせカフェラテを堪能している時思い出したのだった。

 次回作は、俺と百合さんを題材にした作品になるような事を言ってた気がするが、いかんせん、彼女の恋愛経験は小学生、いや幼稚園児にも劣る経験しかないのを思いだ出しだのだ。

 このままでは、担当の方に色々と言われる可能性がある。

 そう思ったら、いても経ってもいられない。

 普段は使わない、埃の被ったクロスバイクに跨り走りだした。

 クロスバイクを使わない理由は、高校が歩いて数分の場所で、どっちで行っても変わらないからである。

 それに、徒歩の方が読書もしやすいし。


 何度か行ったことのある、百合さんのマンションには、ニ、三十分あれば着くので、意外に近所に住んでいたんだなと、今更ながらに思う。

 もっと早く出会えていたらな。

 エントランスに着くと、ガラス張りの自動ドアが閉まっている。

 このマンションは、女性が一人暮らしをしていてもとても安全安心のセキュリティーというのが売りらしく、このマンションには、女性しか住んでいない。

 マンション二十階まであり、十階と屋上には、それぞれ談話室や展望台が設置されている。

 そして、十五階より上は、ワンフロア丸ごとなので、月々何百万円もするとか。

 ちなみに、百合さんは九階の角部屋である。

 ガラス張りの自動ドアの近くに行くと、タッチパネルの台が鎮座していた。

 ここに、カードキーと暗証番号を入力すると、このガラス張りの自動ドアが開く仕組みである。

 百合さんは、いつも「めんどくさな〜」って言ってたけど、女性の一人暮らしってここまでやっても心配なるもんなんだな。

 彼女の担当編集も、彼女が十四歳なる時にこのマンションを紹介し、親が即決したと前に聞かされた事がある。

 百合さんの親って、かなりのお金持ちなのかな?

 前に百合さんの部屋に行った時、書斎が二部屋分もあり、どちらも部屋が本で埋れていた。

 俺の家も特殊だけど、百合さんの御両親も特殊かもしれない。

 前に、暗証番号は聞き、カードキーは予備のを頂いたので、百合さんの部屋の前まではすんなりとこられた。

 あとは、百合さんの部屋の扉だけど、、、

 カードキーがあるので、入ろうと思えば入れるけど、なんだか照れ臭いし、、、

 とりあえず、インターホン押しておくか。


 ピンポーン


 数秒、間を置いて百合さんがドアを開いてくれた。


「こんには、百合さん」


「夏巳くん!」


 そう言って、抱きついてきた百合さん。

 彼女は、女性の平均的な身長に近いが、ある一点は、女性らしいアレはかなりの大きさである。

 メロンメロンした、お餅のような、水まんじゅうのような、兎に角柔らかくて、弾力のあるその二つのモノが俺の胸板に押し付けられ、形をムニムニと変えていく。

 ああ、幸せだな。

 っと思う、思春期真っ盛りの男子高校生がそこで意識を手放した。

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