第6話

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 従兄弟の浪川なみかわ あきらが、転校して来た放課後。

 長身のイケメンって事で、かなりの人気だ。

 休み時間の度に、他クラスの女子が押し寄せてくるのだ。

 まあ、ぶっちゃけ、俺もカッコいいとおもうよ。

 アップバングショートヘア。

 前髪は上げやすいように、短めにカットしていき、ニュアンスパーマで動きを加えるというやつだ。

 要するに、ショートヘアーに軽くパーマをかけただけの髪型だ。

 前に、ゆかりに髪を弄られた時にやられた髪型だったから、覚えていたのだ。

『馬子にも衣装ね』って言われた覚えがある。

 まあ、その時しかやってないんだけどね。

 髪を弄るのって、俺あんまり好きじゃないしね。

 それ以外にも、マッシュショート、ゆるめパーマってのもやらされた。

 人の髪をオモチャにするなよな。

 って、そんな話しじゃなかったな。

 晶は、少し髪の色素は薄くて白っぽい色をしてるんだけど、それがすごくサラサラしてるだよな。《まるで女の子のように》》。

 男の子なのに、不思議だよな。

 顔は中性的で、男女問わず好かれる顔付だ。

 そして、なんて言っても身長だよ。近年男子の平均身長は低くなっていく一方なんだけど、晶の身長は172cmもあるんだ。

 俺なんかと並ぶと、身長差が歴然なのである。俺の身長なんて、158cmしかないんだぞ。クソー!



 晶が俺の家に三年間とはいえ住むってことについてなんだが、勿論俺はしらない。晶が入学することも知らなかったのに、家に住むって話しを知ってる筈もない。

 なのに、当たり前のように俺の家についてくる晶。


「なあ、晶。マジで俺の家に住むの?」

「当たり前だよ。僕の荷物そろそろ届く時間だから早く行こ?」


 そう言って、俺の手を取って走り出す。

 晶って、昔からこういう女子っぽい仕草をするんだよな。

 時たま、女子に見えるんだけど、、、気のせいだよな。


「っあ、そうだ!なっちゃん、今日の晩御飯は僕が作るよ。十年ぶりに会ったんだし、とびっきりの作るね」

「お前って、料理できるの?」

「できるよ!これでも、はな、じゃなくて、男子として、自分磨きに料理は必要だって、父さんと母さんが教えてくれたんだよ」


 そう言えば、晶の母親って有名な料理人だったような。

 前に、テレビで映ってたのを見た覚えがするな。叔父さんが、それをウザいほど自慢していたの思い出した。

 父さんの家系は料理人が多く、趣味で料理を作ると、大金が転がり込んでくるほど絶品だ。

 逆に、母さんは料理が苦手なので、お袋の味というものは家にはない。だって、父さんの料理の方がおいしんだもん。

 母さんの料理って、良くも悪くも、、、すごくだよね。

 何を隠そう、母さんの職業はパティシエールのである。

 それ故に、出す料理がことごとく甘いのだ。砂糖菓子のようにクソ甘い。

 まあ、そんな父さんの弟が晶のお父さんである。

 料理の腕前は、父さんと同じくらいなので昔はよく、ご馳走になってたりしていたな。

 家の両親は、小学校に入る前までは、晶の家に泊まりに行ってたからな。

 確か、小学校入学前に叔父さん達が、食材の宝庫である北海道でレストランを開くって事で、向こうに引っ越ししたんだよな。

 たまに、チーズや小豆とか、ジャガイモ、ブロッコリーなんかも送ってくれて、色々と作った覚えがあるな。

 でも、クリームチーズや小豆は、お隣の家に持って行って、紫に美味しいスイーツを作ってもらってるだよな。

 紫は、基本的には洋菓子が得意なんだけど、和菓子も少しかじっているので、それなりの物を作ってくれるのだ。勿論、すごく美味しい。


「まあ、そう言うだったら、、、って、お前も今日誕生日じゃん。それに、多分、紫と雪咲ゆささんが誕生日会だって言って、そろそろ来ると思うよ」

「えーと、紫って誰?」


 ん?なんか、声のトーンおかしくね?

 浮気現場に出会わせた、奥さんみたいなニュアンスだな。

 っま、そんなわけないか。


「ほら、お隣の早乙女さんだよ。ほら昔、あった事あるだろ?」

「っそ、そうだっけ?可愛い子だったりするの?」

「ん?世間一般的には美少女かもしれないけど、あれは、見た目だけだぞ」


「へー、ってば、そうな事思ってだんだ」


 ?ナツ?そう呼ぶのって、、、、


 気づいた時には、上段回し蹴りを鳩尾に食らってアスファルトとキスをしている俺がいた。


「っグフ」


 冗談抜きで、死ぬ程痛い。


「なっちゃん!?大丈夫!?新手の通り魔じゃないとは思うけど、酷いじゃないか!!」

「アンタ誰?私とナツの事だから、部外者は黙っててよ」

「僕は、なっちゃんの従兄弟だ!」

「従兄弟?あれ?でも、何処かであったような、、、従って、あぁ!アッキー!従兄弟って、あっちの意味の従ーーー」


「なな、何を言っているのかな!?って、ゆっちゃん!?何で、って、お隣ってゆっちゃん家だったの!?」


「ゆっちゃん言うな!!そんなあだ名、アッキーしか言ってないじゃん!!それに何で、男子のせーーー」


「ワアーーー!?ワアーーー!?懐かしなゆっちゃん!?ちょっとあっちで、二人で話さない!?」


 さっきからなんか、晶のやつ挙動不審だな。

 紫も紫で、さっきからなんか言おうとしているし。

 と言うより、最初だけ庇ってくれた晶だが、さっきから、俺を放置しているのはど言うことだ。

 せめてフォローするなら、最後までフォローしてくれよ。

 そして二人は、俺の家の中へと走って入っていった。いや、俺ん家!

 地面に蹲っている俺とか、さっきから指差しせれて笑われてるだけど!?

 とりあえず、呼吸をどうにか落ち着かせよう。

 ッフッフ、ハー。ッフッフ、ハー。

 何とか落ち着いたな。

 とりあえず立とう。


 ガチャ


 ガキのしまった音がしたんだけど。てか、俺の鍵って、晶に預けていたよな。

 なんかもう泣きそう。


 ♡♥︎♡♥︎♡♥︎♡♥︎


 僕は、自分の秘密を守るために、ゆっちゃんを連れて、素早くなっちゃん家に入った。そして、ガチャっと鍵を閉めた。

 ごめんね、なっちゃん!

 でも、今、僕の秘密がバレる訳にはいかないんだ。

 同棲生活が始まってしまえば、あとはどうとでもなるけど、始まる前にバレたら、絶対に同棲させてくれないからね。


「ちょっと、アッキー!なんで、男子の制服着てんのよ!アンタは、でしょうが!」

「そ、それは、なっちゃんが僕のこと、未だに男子だと思ってるからだよ。僕も、この前、女子の格好をして、ここの近くを通ったんだけど、なっちゃん、、、僕のこと気づいくれなかったんだよ!」


 そう言うと、紫は目線を逸らした。そして、哀れんだ目で僕を見てきた。


「あー、そう言えば、アッキーが送ってくれる食材の事で、二人で話してる時に、なんか噛み合わないなって思ってたけど、、、。まさか、そんなテンプレな。鈍い鈍いとは思ってたけど」

「そんなんだよ!ゆっちゃんは、ちゃんと女の子として相手してくれているのに、なっちゃんはずっと男の子扱いするんだよ!」


 事あるごとに、一緒にお風呂に入ろうとするし。しかも、その時、見られちゃったし。まあ、小学生だから真っ平らなんだけど、それでも見らたのは事実だし!


「いやだからって、男子として、ナツの家に住むのは無理があるわよ!絶対にすぐバレるでしょ!」

「別に良いんだよ。一緒に住むことになって仕舞えばこっちのものさ。なっちゃんから、お父さんに言ってくれれば、即許嫁になる。そうなれば、結婚したもの当然だね!」

「私が許す訳ないでしょ!私だってナツと結婚したもん!」

「ふん。女の魅力としては僕の勝ちだと思うけどね!」


 そう言って、僕はゆっちゃんの胸囲を見た。

 今は、サラシを巻いてるけど、外すと、確実にゆっちゃんより大きい自信がある。


「何言ってのよ。


 ガーン


 、、、そうだった。胸の大きさで勝っていてもパットだと思われてしまう。

 最悪、モロに出さないと本物と思ってもらえないまであると思う。

 神様は、何であんな鈍感な男の子を作ってしまったんだよ!


「まあ良いわ。百歩譲って、アッキーが女の子だってバレないようにするのはいいとして、私への見返りは何かあるの?そもそも、私がナツの事好きだって、同じ女の子だったら分かってたでしょ?」

「じゃあ僕と一緒になっちゃんの家に住むってのはどう?」

「半同棲生活してる私には、効かないわよ」

「なら、洋菓子について、僕が教えてあげようか?なっちゃんは、昔からお菓子に目が無かったし。なっちゃんと同じで、家のお母さんも有名なパティシエールだから、今のゆっちゃんより、僕の方が作るの上手いと思うけど?」

「へー、言ってくれるじゃない。良いわよ?先にナツを口説くお菓子を作った方がお嫁さんって事で勝負しようじゃない!」

「良いの?今なら、僕が圧勝するかもしれないけど?」


 そう言って、僕達は、女の意地を掛けたスイーツ勝負が始まるのだった。

 って、何の話をしてたんだってけ、、、?

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