最終話 得意なのは、やせ我慢と空元気です。

前回までのあらすじ


悪徳の街にかすかに残る、幼馴染の足取りを追う冒険者ノーズ。

情報収集に奔走し、初の先頭に勝利したハリィ(←ノーズの中の人)は、


ハリィ「よし、レベル上げよう。まだ先は長いんだし・・・」

ハリィ「お金もあるし、ブラックベルト買っちゃえ!!!」


・・・少し増長していたのでした。

※増長(読み)ゾウチョウ・・・しだいに高慢になること。つけあがること。「例:へたにほめると増長する」


さて、自分の場合は”TRPGオンラインセッションSNS”(通称オンセン)というチャットルームで、ルールブックを見ながらキャラシートはネットで管理してました。ダイスや威力表も揃ってて、楽なんです。


ルーム内の見学・書き込み可能にしていたら、なんとその日は嬉しいお客様が。


Tさん『どうも〜、こんにちは。見学させていただきます〜』


ハリィ「あ!!?Tさん!!」


Tさんは、オンセンで知り合ったゲーム友達で、よく自分がGMやるときに、PLで参加してくださるんです。


いつも優しいPCを作って、NPCにも丁寧に接して下さるので、すごくシナリオの進行でも助かってます。


ハリィ『どうぞ、どうぞ!!見てってくださいませ』


いよいよ、見学者と色々お話ししながらソロセッションという理想の展開・・・

ここは良い所をTさんに見せねば・・・(お気づきでしょうが、虚栄心も芽生えてます)


ハリィ「よ・・・よし!!”36時計塔屋敷”の通り魔イベントもクリアして、ファイタ−3レベルにあげちゃおう!!」


Tさん「おお、頑張って下さい!!」


街に戻り、ポーションやブラックベルト、月光の魔符を買うノーズ。


そして、フェローは相変わらずスルー(←ルルブって本当にじっくり読めない)して、時計屋敷へ。


第2話で見ていた、時計屋敷のイベント・・・、通り魔退治です。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054889409575/episodes/1177354054889456219


通り魔は、グレムリン、ボルグ、ゴブリン。


ハリィ「ブツブツブツブツ・・・(グレムリンのエネルギーボルト2発に耐えさえすれば、なんとかなるはず。ヒーリングポーションでしのごう。ゴブリンもボルグも1体ずつなら負けはしないだろうから、月光の魔符も買う?抵抗すれば半減だしね、+2のを2枚くらい買っておけば・・・)」


さて、ゲーム内の時間が夕方になったところで、イベント遭遇表・・・


コロコロ・・・


ハリィ「よし、出た!!」


ハリィ「先制値判定は・・・え!?負けた!?」


Tさん「頑張って!!」


ハリィ「えへへ(PCのモニタに向かって愛想笑い)ボルグの攻撃は・・・命中、え、ゴブリンも命中!?」


ハリィ「グレムリンは多分、エネルギーボルトだよね、この状況・・・よ、よし!!魔符を使って、抵抗!!!半減で・・・(コロコロ)なんとか生きてる」


ハリィ「ヒーリングポーション!!(この時点で回復しても、HPは半分切ってる)」


2ラウンド目。先攻、エネミーターン。


ゴブリンの攻撃は回避できたものの、ボルグの攻撃は命中。

ノーズのHPは残り、6点。


ハリィ「グレムリンのエネルギーボルト、抵抗すればなんとか生き残れるかな?コロコロ・・・え、魔符使っても抵抗できない!?」


Tさん「ああ・・・」


ハリィ「1ゾロ・・・コロコロ・・・え、クリティカル!?コロコロ・・・えええ!?」


妄想のグレムリン「ケケケケケケ(←他のセッションで、絶対真っ先にやっつけてやる)」


ハリィ「じ、12ダメージ・・・」


ノーズ・・・死亡。


本来は、遺体を運ばれて蘇生され、借金をしたり、後遺症で一部心身が魔神になっちゃうルールもあるのですが・・・


さすがに数時間PC見てて、ルルブも触りまくっているので、手がガサガサ(中年の手から、紙は油をどんどん奪うのです)


ハリィ「よ・・・よし、気を取り直して休憩します、次はもっと頑張ります!!」


Tさん「はい、頑張って下さい。そろそろ失礼しますね♪」


と、Tさんが離席してから、


ハリィ「おのれ!!もう1回!!!」


すぐに二回目に突入したハリィなのでした。


その後、6回の全滅を繰り返すも幼馴染のカリンには出会えずw

7回目の冒険は、9月のシルバーウィークへと持ち越されたのでした。


悪徳の街にはまだ、ハリィの笑い声は響きそうにないですねw


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悪徳の街でハリィが笑う〜ヴァイスシティ探訪記〜 ハリィ @cuttingdorothy

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