第56話 子供の遊びじゃないんだよ
アーガイア鉱山から離れた俺とましろは、森の中にいた。
俺の武器はそこらに落ちていた木の枝×2本だ。魔力を帯びさせれば、これでもそれなりに戦えるはずだ。
といっても、現れるモンスターは全てましろに瞬殺されるので全く出番はないのだが。俺は、モンスターの落とすルピーを拾うのが仕事だ。
『やった!また10ルピーだ。以前よりジョブレベルが上がって、運が上がってるっぽいな…』
現在の俺のジョブレベルは37である。
今回のことがあるまでの約半年の間、戦闘をする機会は1度もなかったのだが、何故か色々な女性とのエッチなイベントがあったお陰でレベルが上がったのだ。
『お金を入れる袋が欲しいな~…』
今は手に持ちきれず、服の裾を持ち上げて、ルピーを貯めこんでいっている。
『キャー!!』
今の台詞が、イベントを呼び込んだのか、近くで女性の叫び声が聞こえた。
急ぎ向かってみると、そこにはどう見ても卑しそうな盗賊風の男4人が、これまた普通の村娘を襲っている場面だった。
様子を見る限り、金銭目的でも、人拐いでもなく、ただの体目的の強姦のようだ。
普通なら、女性も命まで取られないだろうし、俺は一応脱獄囚であり、武器も持たない身なので、目立たないように無視するのが正解なのだろうが、こんな場面知ってしまったら助けないわけにはいかないだろ?
俺はルピーを側に置き、駆け出した。
『お前ら止めろ!その娘から離れろ!!』
盗賊たちは、声を掛けられ一瞬驚いたが、そこにいたのは、ボロボロの服を着た、両手に木の枝を持った成人くらいの少年の姿だった。
『この女の弟か何かか?大丈夫だ!逆らいさえしなければ、殺したりしねーから、殺されたくなかったら、あっちで2時間ばかり待ってな!』
『俺は通りすがりの正義のヒーローだ!』
(勢いで言っちゃったけど、何だよそれ?…自分で言って、めちゃ恥ずかしい。。ガキかっ!?)
『こいつ頭おかしいんじゃねーの?見ず知らずの女のためにそんな棒っきれで俺たちに向かって来てるし、何よりも今の台詞…まともな神経してたら恥ずかしくて言えねーって!?』
思いっきり全員に笑われてしまった…
『最後の忠告だ!正義のヒーローごっこは、お前と同じようなガキどもとするんだな?笑わかせてくれた礼に、今すぐ去れば許してやっから、これ以上俺たちに関わるな!』
リーダーっぽい男が言ってくる。
(下手にかわいそうな子供と見られて、優しくされるのが辛すぎる…)
『お前らなんて、この棒で十分なんだよ!さっさとかかってこい!?』
『ちっ!人が優しくしてれば調子に乗りやがって…
お前らそのバカをさっさと殺してこい!』
『分かりやした。
おい、お前ら、早く終わらせねーと、親分の機嫌が悪くなって、俺らおあずけされるかもしれねーぞ!
あんなガキさっさと殺すぞ!?』
『そりゃ大変だ…おでも頑張る。』
『心配いらねーよ!あんなガキくらい、すぐ終わらせりゃいいんだよ!』
いい感じに3人がやる気になってるようだ。できれば、こいつらの持っているナイフは奪いたい。
『ましろ、俺があの3人を倒すから、タイミングをみて女性に被害がでないよう、あのリーダーを不意打ちで倒してもらえるか?』
『分かったにゃ。』
ましろは、気配を消し回り込んでいく。
俺と3人が戦闘を開始する頃には、リーダーの男が、女性を襲い始めるが、ましろがそれを許さない。男の股関にましろが突撃する。
男は吹き飛び、白目を剥いて気絶したようだ。
あれは、意識が残ってた方が地獄だ。
せめてもの救いだろう…
もしかすると、一生使い物にならないかもしれないな。。
自業自得とはいえ、同じ男として同情はする。
俺の方は、3人いるとはいえ、真っ昼間からこんなところで強姦するような連中だ。何の訓練もされていないただのチンピラである。
動きも遅く、隙だらけのため、ましろの動きに慣れている俺には止まって見える。ましろではないが、悪いことした分は痛い目にあわせることにした。
木の枝で3人の武器を持った手を叩く。そして、当たる瞬間だけ魔力を帯びさせる。
俺は打撲を与えるつもりで攻撃をしたつもりだったのだが、実際は3人とも手がキレイに切れてしまった。魔法剣の威力ヤバくないか?
やりすぎた…
『うあ~俺の手が…手がない。。どうなってるんだ??痛みが今頃襲ってきやがった…ぐあぁ!痛てー痛てーよ!』
『おでの手があんなとこにあるだ…おで酔っ払ったのかな?ほんとだ…痛みが出てきただ…!痛いだべ!!』
『そんな!?何で木の枝で手が切れてるんだよ?何なんだよこのガキは…!?』
俺は自分のしでかしたことに焦ってオロオロしていると、
『こんな化け物に構ってられっか!逃げるぞ!!』
『おでの手はどうすればいいだ?』
『馬鹿!そんなもん置いてけ!!どうせ、もう再生は無理だ…逃げねーと殺されるぞ!』
3人は武器と手と、リーダーの男を置いて見事に逃げていった。
取り敢えず危険は去ったようだ。
俺は、3人の置いていった武器を拾い、襲われていた女性に近づく。
『大丈夫ですか?強姦魔は退治しました。』
『危ないところ助けて頂き、ありがとうございました!まだお若いのにお強いのですね!?』
女性は、礼を言い、頭を下げてくる。
『たまたま通りかかっただけですので、お気になさらないで下さい。
1つお尋ねしたいのですが、この辺りに服や靴など色々と買い揃えられる街や村はないですか?』
『それなら、私の住む街に来て下さい!そして、お礼にご馳走したいので、是非今夜はうちに泊まって下さい。』
『いあ、そこまでしてもらうほどのことは…』
最後まで言い終わる前に、
『あのままでしたら、私はあの汚い男どもから辱しめを受けてたのは間違いありません。それを命がけで救ってくれた方に少しでも恩を返すのは当然のことです。』
そこまで言われると断るのも忍びない…
『分かりました。では、今夜1晩だけお願いできますか?』
『勿論です。私はヘレンと申します。』
『俺はアランです。
準備するので、ちょっと待って下さいね…』
俺は、リーダーの男が持っていた、道具袋を貰い、中身を全て捨てた。
そして、武器と財布の袋も申し訳ないが拝借させて貰った。中身はあまり入っていなかったが、それでも今は懐が寂しいので助かる…
早く王都に帰るためにも、資金は少しでもあった方がいいのだ。先ほど置いていたお金を回収し、ヘレンの元へ戻る。
『お待たせしました。』
『あの男は、衛兵に渡さないのですか?』
『もうあれだけの痛々しい怪我を負ってるので、それを贖罪として放っておきましょう。
連れていくのも面倒ですし…』
(俺自身が逃亡中の身なのに、自ら衛兵のところへ行くなんて出来る訳ないだろ。)
ヘレンは、20代前半くらいの女性だった。
『ヘレンさん?1つ気になったんですが、ヘレンさんはこんなところへ何故1人で?』
『一緒に住む母が体が弱くて、母の体に効く薬草がこの辺りに生えてるんで、時々こうやって摘みに来るんです。』
『今日はもう摘み終えたのですか?』
『いえ…これから探そうと思ってたところを襲われました。今日は諦めて、また出直します。』
『せっかくここまで来たんですから、探したらいいですよ。俺は近くで、モンスターを狩ってますから、ヘレンさんに何かあったら先ほどのように声を出して貰えれば、直ぐに駆けつけますので。』
『いいのですか?では、お言葉に甘えて探しますね。1時間もあれば十分な量を見つけることが出来るはずです。』
俺は、先ほど手にいれたナイフを2本取り出し、もう一度森に潜った。森の入り口付近でモンスターを倒していると、久しぶりにアナウンスが流れてきた。
【ジョブレベルがあがりました】
【スキル 即時回復 を取得しました】
(おお!新しいスキルだ!!しかも、何か回復系のスキルっぽいな?珍しく役に立ちそうな予感だ…オータス。)
名前 アラン
種族 ヒューム
年齢 12歳
力 373(414-82+41)
体力 814(582+58+174)
俊敏 652(544+54+54)
器用 1334(1028+204+102)
知力 316(351-70+35)
魔力 274(304-60+30)
ジョブ 遊び人lv38
ジョブスキル 逃げ足、口笛、流し目、体力成長、器用成長、チャーム、絶技、チャームⅡ、フェロモン、即時回復
称号 転生者、神ファルスの加護を受けし者、魔物を狩りし者、ネズミをテイムせし者、初心者ダンジョンを制した者、ハーレム野郎
(即時回復説明)
即時回復
発射直後でも、このスキルを使えば即時精力がフル回復。何回でも、何人相手でも満足させられます。
(ぶっ!回復は回復でもこういう回復かよ…
このジョブもほんとブレないな。。
38レベルか…あと2レベルでとうとう第2ジョブが取得できる。遊び人のジョブに期待出来ない分、そっちに期待したいな…
賢者なんて、贅沢言わないから、せめてまともなジョブがありますように…!!)
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