第10話 ジューシー唐揚げ

4日目、朝起きるとエリスが俺に近づいてくる。


『おはよう。昨日は色々とありがとう!


私が泣いたことは皆には内緒にして貰えると助かる。。』



『おはようございます。誰にも言いませんので大丈夫です。』

と話してるとビアンカが近づいてくる。



『朝から何を話してるのよ?』


『朝の挨拶をしているだけだよ。ビアンカもおはよう!残り2日だ!狩りを頑張らないとな!!』


『おはようビアンカ。今日も宜しく頼む。』

そう言ってエリスは離れていく。



『何か怪しいわね!?あんたエリスさんに変なことしてないでしょうね?』


『するわけないだろ!そんな度胸あるならビアンカに何かしてるよ!付き合いだしても俺からは何も出来てないだろ?


ヘタレを舐めんな!?』



『何よ!?何で朝からそんな開き直ってるのよ??』


『何か疑われたことよりも、告白もキスもビアンカ任せで自分からは何も行動出来ないヘタレな自分に何か腹立ってしまったんだ!男らしくない彼氏でビアンカに申し訳なくて…』


『ぷっ!何よそれっ!?アランはアランでしょ?


そんなヘタレなアランがいいから私は付き合ってるんでしょ?』


顔を真っ赤にして言ってくれる…



『ありがとう!俺もビアンカが好きだ!!早く立派に成長してプロポーズできるように頑張るから!』



益々真っ赤になるビアンカの頭を撫でるのが、今の俺の限界らしい…



ビアンカと愛を確認し合ったことで俄然やる気になった俺はその日の狩りを頑張った!さらに昨夜エリスが言ってた通り、魔法の詠唱が短くなり、昨日までの2倍近く狩りを出来たのではないだろうか…


そのおかげで、夜営を迎える頃にはレベルは24になっていた。成人から6日でこのレベルは、この世界でもかなりの快挙ではないだろうか?


エリスたちとパーティーを組めてなかったらこのレベルはあり得なかっただろうことは分かる。本当に運が良かった!!



名前 アラン

種族 ヒューム

年齢 12歳

力 126(156-30)

体力 177(161+16)

俊敏 246(224+22)

器用 390(326+64)

知力 120(150-30)

魔力 0


ジョブ 遊び人lv24

ジョブスキル 逃げ足、口笛、流し目、体力成長、器用成長、チャーム

称号 転生者、神ファルスの加護を受けし者、魔物を狩りし者





今夜は最後の夜営である。レベル上げのお礼に、張り切って料理をしよう!


今夜はエリスのマジックバックの中に入っていた大量の油の使用を許可もらっていたので、念願の唐揚げを作るつもりだ!


まずは、ナモンをたっぷり潰してその中にネズミの肉をぶつ切りにしたものを大量に投入。小麦粉に塩を少量入れ、準備完了♪


後は、肉に小麦粉をまぶして、ひたすら揚げるのみ!



奮闘する事1時間あまり…



『渾身の一品出来た~♪今宵は皆、覚悟を持って食すがよい!!今夜のメニューは、唐揚げだー!』


『何1人で盛り上がってるのよ?そんなに自信作なの?』


『あ~ずっと作りたいと思っていた食べ物を作ることが出来たんだ♪エリスさんに感謝だ。』


『それは何を作ったんだ?初めて見る食べ物だが…』

揚げ物を見たことのないエリスはちょっと不安そうだ…


『アランの自信作なら楽しみだ♪1つ頂くぜ!』

イアンは1つ口に入れる。


『うっ!うっめー!!何だこれは?

外はカリっとしてるのに、中は柔らかで、ジューシー!噛めばナモンの香りとうっすら塩味が絶妙なハーモニー♪


こんな旨いもの初めて食ったぞ!アランお前は料理の天才だ!!』


その様子を見ていた全員が唐揚げに飛び付く。


『これはうまい!』

普段あまり感想を口にしないクリスですら絶賛だ。


『アラン!これは病み付きになる味だな!?やっぱりアランは王都に店を持つべきだ♪この唐揚げだけでも行列間違いないぞ!』

イアンは尚も大絶賛だ。



俺もビアンカもエリスも、言葉も発することなく食べ続ける…

あっという間に大量にあった唐揚げは皆のお腹に収まった。


『本当にアランは料理の天才ではないか?こんな珍しい料理を思いつきで初めて作るのにこの絶妙な味わい…


イアンではないが、本当に店を持ってもいいのかもしれんな?』

エリスまでお店の話に乗っている…



『アラン…悔しいけど料理であんたに勝てる気がしないわ…将来の台所はあんたのものよ。。』


『いつの間に台所争奪戦してたんだよ!?勘弁してくれ…


でも自信作なだけあるだろ?今夜で夜営をするのも最後だし、ちょっと張り切ってみたよ!!』


こうして、最後の夕食は大絶賛のまま無事に終了した。



夜の見張りは俺とクリスの組み合わせだった。クリスは相変わらずあまり喋らない。


今夜はダンジョン最後の夜ということもあり、記念にダンジョン最奥と言われているところまで来て、夜営をしている。


奥は崖となっており、この下に幻の3階層があるはずと言われ、今まで数多くの冒険者がロープで降りようとしたが、何も見つけることが出来なかった。


『少しそこらを見回って来るから、ここでゆっくりしていろ!』

クリスがそう行って側を離れていく。



暫くするとクリスが戻ってきて

『崖の側に何かが見えるが暗くて何だか分からない。松明を持って一緒に見てくれ!』


『はい。じゃー行きましょう。どの辺りですか?』


『こっちだ!着いてきてくれ。』


崖の側にやってくると、クリスが何やら崖の暗闇の方を指差す。


『あそこだ!何かあるのは見えるのだが、暗くて何なのかよく分からん。松明で照らしてくれ!』



俺が指差された方へ近づいて松明をかざすがやはり何も見えない。


『何も見えませんね?今何か見えてますか?』

クリスに尋ねるが返事がない。


不思議に思って振り替えるとそこにはクリスが目の前に迫っていた。そのまま、俺は体当たりを食らって宙を舞う…



着地しようとするも地面がない。


『どうして…?』

俺は崖から落ちながら尋ねた…



クリスは何も答えずにその場を離れるのだった。


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