第15話 SOS(現実と虚像の邂逅)
直人
相変わらずの3連休どうやらいつの間にか
眠ってしまっていた俺は
嫌な夢を見たな、という感情と
突然の胸騒ぎと息苦しさに
夢の
ぼやけた視線の先に転がるスマホに
違和感を覚え
「あれ?、俺はいつの間にスマホを•・」
寝ぼけた目を拭おうとするが
頰に残る冷たい感触に
????
「えっ、涙?」
もう一度、目を凝らした先には
俺の想像を絶する状況が散乱していた
灯りを灯したままのスマホ
その周囲に広がる血だまり
突然、左手を襲う痛みに
手元のカッターナイフが飛び込んできた
「?お、俺は、オレは、なにを」
今まで、俺を薄く覆っていた眠気の膜が
全て弾けたかのように
全ての情報が
俺の記憶の中に、あった。
あの日、
楽しかった頃の記憶と共に
消えてしまった、なお
欠落した記憶と感情
時折、自分を襲う睡魔
懐かしさを伴った、謎の監視人
同僚が言っていた
昔からスマホを・・ってセリフ
俺は、奈緒
奈緒は、俺の一部!
それは、ちょうど小学校2年で
子供時代の記憶と共に消えた
なお
そして、そのなおの残された
仮面から派生した俺
さらに、俺の知らないうちに
俺の中に現れていたもう一つの人格
失われた記憶と感情の歪みから
生まれた
奈緒
一瞬でたどり着いた事実は
先ほどまで見ていた夢の景色と
リンクするのに時間はかからなかった。
手首の痛みに、顔をしかめつつ
暗闇が迫る視界に逆らいながら
スマホをたぐり寄せた先には
血染めの画面に映る
想像通りの景色が写り込んだ
違和感の正体
息苦しさの正体
そして、その息苦しさは
徐々に俺をも巻き込みつつあるという事実
画面を拭うのももどかしく
チャットルーム選択画面を検索する。
「居たっ!」
ルームを選択した俺は
迷わずその部屋の入室ボタンを押した。
おしらせ > 奈緒さんが入室しました♪
そこには、雑談をする、柴さんとしろさんが
しろ > 「あ、奈緒ちゃん、
こんにちわ〜」
柴 > 「おっ、珍しいな、
ここに顔出すなんて!」
俺は、名前を変えずに入室した事に
今更ながら気がついた。
奈緒 > 「ごめん、それどころじゃ無い
奈緒がやばい、壊れかけてる」
柴 > 「ん?、あ、モッカさんの方か?
どした?」
しろ > 「あ、モッカさん
はじめまして〜」
二人が、自分の存在を知って居たことに
安堵を覚えると共に
自分の中に広がっていく、黒いシミを
ぼやけていく視界を、
胸を襲う息苦しさを押さえ込みながら
奈緒 > 「話している時間が惜しい、
奈緒の部屋を! 」
奈緒 > 「俺もあとどんだけ
持つかわからない!」
奈緒 > 「頼む!」
奈緒 > 「救ってくれ ! 」
奈緒 > 「二人なら、
奈緒 > 奈緒を・・」
奈緒 >
シミは今や視野のほとんどを覆い尽くし
闇が
視界を
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