第13話 落石(崩壊への序章)
奈緒
相変わらず、シャボン玉のような存在だったけど
私には、居場所が出来た。
うん
幸せな時間を手に入れた
私の中には、たくさんの住人が通り過ぎるようになった 。
でも、やっぱり臆病な私には
失う事への恐怖が
友達との間に仮面を立てていたみたい。
私の事を全て知っている人は
まだまだ一握り
シャボン玉の私を支える
私の命綱
足元を支えてくれていた、最初に私に許しを与えてくれた
伽倻子お姉ちゃん
シャボン玉の外から、アドバイスをくれる、川上先生
そして、私と同じように脆くて不安定だけど
共に傷を語り合い、癒し合う
伽耶子さん部屋の里緒ちゃん、雅美さん
それから、新しい出会いもあった
私のお部屋 「微笑みの奈緒」
こんな頼りない私に
打ち明け話をしてくれた、しろちゃん
「心をぎゅーってしてあげる」って言ってくれた、柴さん
へへf^_^;
うん♪とても、居心地よくて暖かい
私のホーム (2017/9/26 18:37:46)
あの事件が起こるまでは・・・・
直人
仕事は、愛も変わらず、忙しく
多忙と3連休の繰り返し。
自分を苦しめていた悪夢は
すっかりなりを潜め
平穏な夢の定期便となった。
やはり、その平穏は日常生活にも
影響してきたのであろうか?
その後も、先輩や同僚からは
「なんか、いい事あったん?」
「たまには、飲みに行こうか?、えっ彼女出来たんだろ!教えろよ!」
「直人くん、なんか、優しい雰囲気になったよねぇ〜〜」
と言った声まで上がるようになり
へんな、居心地の良さと悪さが同居していた
相変わらず、チャットの「微笑みの奈緒」の作者と
出会う事は無く、彼女の過去の書き込みの不気味さが
薄れることはなかったが
更新は順調に進んでいるようで
チャットの中の、コミカルな会話や、雑談を
「監視」と理由をつけては、楽しんでいる毎日であった。
ふと
どうしても、我慢できなくなり
自分もその中にまじりたくなり
とうとう、「モッカ」のハンドルネームで入室をしてしまった。
モッカ> はじめまして、奈緒さん、いつもお部屋
拝見していました。
モッカ> なんか、初めましてなんだけど、初めてでないような
奈緒さんの文章に惹かれてしまいました。
www
ここまで投稿してから
なんだ俺は、これじゃ、まるでナンパじゃ無いか
と、苦笑いをしながら
モッカ> 奈緒さんの過去ログ、読ませてもらいました。
モッカ> なんか、とても、自分の記憶を見ているようで
モッカ> もしかしてなんですけど、
このハンドルネームに覚えがありませんか?
モッカ> もし、まだ、自分を見てくれているのであれば
モッカ> 是非、声を掛けてください。
モッカ> 今まで、過去のことは、ずっと封印していて
モッカ> 語り合う人も居なかったけれど
モッカ> 奈緒さんになら
モッカ> 会話できそうな気がします。
モッカ> チャットの中でも良いし、レスをお待ちしています。
ここまで一気に書き上げ
アップしてしまった文章を読み返し
一気に後悔している自分を発見してしまったwww
やっぱり、どこからどう読んでも、ナンパ目的にしか
見えなくて
しかも、チャットとは言え、公共の場で
消す事も出来ない自分の文章に
照れ笑いをするしか無かった。
数日は仕事の多忙さに、チャットに入る事は無かったが
レスが気になって、数日分のログを見てみたが
数日後の奈緒さんは、
書き込みを読んでいないかのような素ぶりで
日々の会話を回していた。
こりゃ、ドン引きされたか?
と落胆している自分と、悔しさを織り交ぜにし
ヒマを見つけてはチャットをチェックしたが
待ち伏せは見事に失敗に終わったwww
奈緒
直人さん
まさか、直人君が私のお部屋見てたなんて・・
物凄く嬉しいけど、複雑な心境
返事を書けない自分に罪悪感と、恥ずかしさから
直人君にレスする事も無く
現在を維持する事に決めちゃった。
まさかこんなことが起こるなんてってのもあったけど
絶対、私の事は
直人君には知られてはいけないって思いの方が強く
リアルから逃避するように、チャットの友達との会話に
雑談に、相談に、心を重ねていった。
やっぱり、私が脆いなって感じたのは、そんな時
雅美ちゃん
病のせいか、ときおり不安定で
自部屋を開設しては、さようならって
幾度か、お部屋を消去しちゃってた。
その時はまだ、病気の事は知らなかったし
私を支える4本柱のうちの雅美さんから
サヨナラを告げられるたび
いっつも、ボロボロになりかけては
伽倻子さん、里緒ちゃん、しろちゃんに泣きついてたの
でも
ある時
雅美さんを追いかけて入ったお部屋で
雅美さんが大事にしていたお友達
ドラゴンさん
雅美さんがずっと、一緒に笑ってきた
大事なお友達
ドラゴンさん、厳しくて楽しくて、仲良くなっちゃった。
私の事を知っても、大丈夫って言ってくれてた。
雅美さんの大切な場所に
土足で入り込んじゃった。
そんな私を、雅美さんは
「大丈夫、別にカレカノな訳じゃないし」って
笑ってたけど・・・。
仮面の笑顔だった事に
私は気がつかなきゃいけなかったのに・・・
その後も、幾度か雅美さんは
お部屋を作っては消してを繰り返し
その日が来ちゃったの
その頃、もう1人のお友達
里緒ちゃんも不安定で
里緒ちゃん
いつも、心にひび割れた鏡を抱えて
癒されたいのに、素直になれなくて
わざと攻撃的になって
人を寄せ付けないように
自分にヒビを増やしながら、人を癒してた
うん
里緒ちゃん
私と一緒!
壊れてた
だから、引きあったのかも、
里緒ちゃん
自分の事より人の事に一生懸命で
でも、ひび割れた心の破片が
友達を遠ざけていたの
でも、私はそんな里緒ちゃんが
とても大事だった
私を両脇から支える二人
でも、そんな安らぎは
あの瞬間
泡が消えるように
壊れちゃった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます