第12話 接近(既視感=デジャビュ)
直人
三連休月間が続き
ほんとに無趣味な自分に飽きて来た俺は
パソコンに向かうようになった。
何が出来るわけでもなく
オンラインゲームも、少しやったが
ギルドとかクランに所属するのが苦手な自分は
いつもソロでクエを消化するのみであった。
ときおり、パーティに、参加しクエをし
雑談する事もあったが
「モブが・・・」とか、「アイテムは・・・・」とか
言葉についていけて無いこともあり
タイミング良い会話とは、程遠かった。
まぁ会話無しでのパーティプレイってのは
なかなか無く
少しづつだが、ネット会話のコツを身につけて行った。
幾度かパーティ組んだ人から、クランにも誘われたが
「明日は、XXXクエをクリアするから、xx時集合」
と言われても、入れるのが休みの日だけでは、
なかなかついていけずに
フェードアウトしてしまうのが常だった。
それから、いくつかのゲームを渡り歩いたが
やはり、毎日インでき無い自分は
同じ道を辿るので
ゲームからは自然と足が遠のいて行った。
スマホならと、様々なSNSを渡り歩き
いくつかのアカウントも、作ったが
何せ、発信するような目新しい情報があるわけでもなく
つらつらと、書き込みを眺めては
時を潰すのが限界であった。
ある時、ふと
昔オンラインゲームの中での会話に
懐かしさを覚えた俺は
チャットに、興味を持った
チャットの世界で、男と女、友達同士で語り合う
何気ない会話であったり
芸人顔負けのボケツッコミは
シナリオのないドラマのようで
見ていて飽きない時間を俺に与えてくれた 。
チャットならスマホでも、見ることも出来るし
会社でもスマホをいつの間にか、触るようになって行った。
そんな自分に、先輩が、不思議な事を言ってきた。
「お前、ほんとにスマホ好きだよなぁ〜
前から結構スマホ触ってるもんな~」
えっ?
昔から?
そのセリフは、俺にとっては、意味が分からなかった。
確かに最近は良くスマホを触っているが
そこまでベビーじゃないよなって?
仕事の邪魔にはならないよう注意しろって
忠告されたのかなって、その時は軽く考えていた。
そんな毎日が続く中
相変わらず俺の夢は、賑やかだった。
夢に見ていた景色が
不透明なのは、相変わらずで
夢で語り合う雑談やハプニングは
どこか遠い雰囲気であったのは、いつも通り!
ときおり、景色がゆらぎ
画面が暗くなったり
主人公なのに主人公では無い映画
という感じであった。
ある時覗いた、チャットの一部屋
『微笑みの奈緒』
それは
どこか懐かしく
何故か、知らないはずなのに
知っている、不思議な感覚に
引き込まれて行くようになった。
俗に言うROMという立場ではあったが
部屋主である、奈緒と、その友達の会話は
どこか懐かしく心地よい雰囲気で・・・
いつの間にか、愛読者の位置を自分が占めて居る事に
すっかり満足してしまっていた
そんなこともあり
夢には、チャットをする自分が訪れるようになり
もちろん、実際には
その部屋の住人のような
軽快で面白く癒しに満ちた会話など
自分には到底無理と思っていたし
自分が発言することは無かったが
夢の中での自分は、部屋主として
会話回しを楽しみ
人を癒し
時には泣きと言った生活の夢が
増えてくるようになった。
なんだかなぁwと思いながらも
起きると変な感じで苦笑いすることがあった。
そのチャットには
過去ログ閲覧と言った機能がある事を知り
我ながら 、趣味が悪いなと思いながら
過去の会話を覗き見た瞬間!
そこに書かれていたのは
「直人君」の文字であった。
もちろん、現在の住人の中には、該当人物も居ない
それよりも、そこに書かれていたエピソードは
まるで見ていたかのようで
自分は、急に冷水を書けられたかのような
不安と、恐ろしさを感じ
その部屋を後にした。
それからの生活には
つねに、不気味さが傍らに伴っているようで
チラチラと辺りを伺うようにもなったが
そんな簡単に見つかるような人物では
ないだろうとも、うっすらとが認識していた。
いくら思い返しても
辺りには
中学時代の友人、ましてや女子など
いるわけなど無く
聞いて回るわけにもいかず
もっとしっかり女子の顔ジロジロ見ておけば
などと、不思議な思考の行き止まりに
たどり着くばかりであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます