第5話 秘密のお手伝い(ひだまりの記憶)
ほんとに、ひだまりのような先生で
いつも暖かくて、子供で、魔法使いみたいな先生だった。
まだ、春のひだまりの時・・
なんかその日は、みんな心なく、ぼーっとしてて
お昼前の授業なのに、暖かい春の日差しに・・・
ポカポカと、浸って居ました。
葉っぱ先生は、そんなみんなの様子を見ると
教科書をパタンと閉じ
「はいっ、今日は、授業は、しません」
一瞬、その声に身を固くした俺を
先生は、チラッと見たあと
満面の笑みで、「今日は、みんなでサボっちゃいましょ♪」
「ハイみんな♪お天気も良いし・・・散歩に決定~~~♪」
俺が通ってた小学校は、新しい団地の中にあって
まだ近所には、広い野原や森があったんだけど
先生は、さっさとみんなを学校から
どんな魔法をつかって連れ出したのかわからないけど
あっという間に、近くの空き地に到着してた。
ただの、空き地だから
遊具がある訳でもなく
みんなが、行儀よく並んでると
「ほらっ、みんな!好きに遊んで良いんだよ〜♪」
そんな先生に、戸惑ってると
「じゃ、先生が鬼ね〜♪10数えたら追いかけるからね〜
最後に鬼に、なった人は、後で先生のお手伝いだからねっ!」
って、数を数え始めた。
慌ててみんなが、ちりじりになると
「ほら〜捕まえちゃうよ〜♪」って、走り始めた。
最初はゆっくり・・・
逃げられるように・・・
逃げ始めると、逃げ始めた子を・・・
少しづつみんなが
いつの間にか笑い始めると、思いっきり!
しばらくたって、
いつの間にか、みんなが、キャーキャー言いながら
走り回って順繰りに鬼が回り出した時、
1人の子が、1人だけぽつんと・・
目の前に落ちていた、ボールを蹴って
1人だけ、ぽつんと・・・
「あっ、おんだっち、1人だけダメだよ〜♪
1人だけボールあそびは、ずるいぞ~~
じゃ、これから、みんなドッチボール〜♪」
結局、最後の鬼は俺だったけど
ドッチボールに、変更
それも、どこかの誰かの落とし物のボールでw
ドッチボールって、言い出した癖に
先生は驚く程に下手くそで
ヘロヘロってボールしか、飛んでこなくてw
みんなの的は、先生にw
あっと言う間に、1時間が過ぎ
お昼を知らせる鐘の音が響くと
びっくりしたように
「あっ、いけない〜、先生が時間忘れてた〜
みんな給食に、向かって走れ〜〜♪」 ってw
みんなで、息を切らせて、教室に付くと
教室に入ろうとした俺に
「最後に鬼だった、もっかくん、後で先生のお手伝いね♪」
どうやら、しっかり見てたみたいで
「給食終わったら来てね〜♪」
と言うと、職員室に向かって行った。
給食後、
呼び出されたって事実に
良い思い出のない自分が
教室から出られないで居ると・・・
「は〜いもっか君、お手伝いの時間だよ〜♪」って
いたずらっ子の笑顔の先生が
教科書持って登場!
笑顔で今にもスキップしそうな先生に、付いて
教材準備室に付くと
急に真面目な顔になった先生は
「もっか君、一つだけ忠告ね!
人を幸せにする為の仮面は良いけど
傷を隠す仮面はダメ!」
後にも先にも、俺の仮面を見破ったのは
葉っぱ先生だけだった。
「いい、人が体から出すもので、要らないものは無いの!
笑いも涙も、必要だから、あるの
泣きたくなったら言ってね♪
・・・そのときは、またお手伝いしてもらうから」
というと、
「あっ、そっちのボード持ってきて〜♪」
全てがそんな調子で
葉っぱ先生は、順繰りにみんなにお手伝い
随分と長めのお手伝いが日課になった。
誰も、なにも言わなかったけど
たぶん、全員がそんな感じで
先生との、秘密の時間が
みんなに、配られてたように感じてた。
そういえば、葉っぱ先生が怒った顔は見た事無かった
もちろん、子供だから
ケンカもあった
当然、先生が止めるんだけど
葉っぱ先生ずるいんだw
怒るんじゃなくて
大人の癖に、涙流して泣くんだよw
泣きながら叱るんだ 。
そのうち、誰も悪い事しないし
葉っぱ先生は、
みんなの友達に
遠慮のいらないお母さんに。
そして、クラスみんなが友達に、
いつの間にかなってたよ。
あの頃の俺は、相変わらず
仮面を脱ぐことはできなかったけど
とても暖かい時を過ごしたよ。
いつも、1人になると
なおも一緒だったら、楽しかったろうなって
たった2年間だけど、
先生の家に夏休み泊まりに行ったり
みんなでプール行ったり
幸せだったよ。
あの2年間は、
俺に、大事なものを残したよ
自分から手を伸ばさないと、
自分から心を開かないと
笑顔は、手に入らないって事
「ひとは、自分の鏡!、自分はひとの鏡!」って
笑顔に寄り添えば、自分も笑顔に・・・
自分が笑顔になれば、周りも笑顔に・・・
苦しんだ人は
苦しんだ分だけ、優しくなれる
苦しみは無駄じゃないって
優しさは、笑顔を運んでくれるって
随分、長く書いちゃったな
なおに、伝えたかったのは
世界の全てが
痛く冷たいだけじゃなかったよって
そこには
温もりも、優しさも、確かにあったよって
また、手紙を書くよ。
じゃっ、またな!
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