33 ピシパシ

「莉子ちゃん……」「莉子……かわいい!」


「まったくもう! 女子を叩くなんて!」

ピンクのうさぎの耳がピシパシと下りたり上がったりしている。


「莉子かわいいよー!」

ガッガッガッガッと莉子うさぎに駆け寄り抱きかかえる、カエルマネキン。


「ギャーーー! スリスリしないで!」

ピシッと莉子うさぎの耳がカエルマネキンの目に当たった。


「痛ぇーーーー!」カエルマネキンはダメージを受けた。「ウウウッ」


カエルマネキンの腕からソファーに降りた莉子うさぎ。「何すんのよ! カエル嫌いなんでしょ?」


「莉子がうさぎになるから……」


「へっ?」


「莉子ちゃん、うさぎになっちゃったわよ〜」夏生がカエルのぬいぐるみを抱っこしながら、鏡を見せた。


「ハッ! ここここれは……!」


莉子が鏡を覗くとピンクの長い耳がプルプル震えているうさぎのぬいぐるみが映っていた。「うさぎになってるーーー!」


「ハア……。俺がこんな姿にならなければ……パンダとうさぎでイチャイチャできたのに……。ぬいぐるみの体でぶつかり合いっこして、キャッキャフニフニできたのにッ、くそお!」

カエルマネキンはムチをふるった。

ピシッ


「ぎゃー危ない!」莉子うさぎはサッとムチをよけた。


「頭叩いても元に戻らなかったわね〜」


「じゃあどうするんだ?」


「もっかい叩いてみるう〜?」


「嫌ですー!」


「チュ〜するう〜? 元に戻れるかもしれないなら試してみれば〜?」


「おっ、莉子! チューしよう!」


「いやっ! そのカエルの顔、リアル過ぎるの!」


「ね〜、寝てる体を叩けば起きるんじゃな〜い?」


「「ハッ!」」


「そ〜よ、寝てるんだからさ。起こしてみましょ〜よ」









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