32 カエルマネキンとピンクのうさぎ

「ギャ〜、マネキンちゃんが動いてる〜!」夏生がカエルマネキンを指さして悲鳴をあげる。


頭はカエルで女性の体形をしたマネキン。赤と黒のレースのブラジャーとパンツとガーターベルトが着せられている。そして右手にムチを持っている。


「何ですか、あれは。悪趣味な!」


「んもう失礼ね。さっき私の部屋にあったでしょ。(第17話に登場しました)可愛いでしょ、カエルの女王様。でも何で動いてるの〜!」


ガッガッガッ 

「「ギャー来ないでー!」」


カエルマネキンから声がする「莉子!」


「えっ?」


「やっとパンダじゃなくなった」春樹の声がする。


「ええ? 春樹なの? 今度はマネキンになっちゃったの?」


「は? マネキン?」カエルマネキンは玄関の姿見を見た。「ゲゲッ……!」


「パンダさんの確認してくるわ」夏生は莉子ガエルを抱えたまま、リビングに戻った。「ちょっと、パンダさん! パンダさん!」パンダのぬいぐるみを揺さぶる。振動で耳と手足がパタパタ揺れるが返事が無い。ただのぬいぐるみのようだ。


 鏡の前で愕然とするカエルマネキン。「こ、今度はカエルになっちまった……。しかもこんなハレンチな格好で……ううう……ウワー!」


ガッガッガッガッ

リビングに走るカエルマネキン。


「うわあ、走って来ないでよ! 怖いから」


「ウワー。こんな姿になっちまったよー」


「よかったじゃん春樹。ブラジャーしてみたいって言ってたもんね……。ガーターベルトまでしちゃって夢が叶ったね……」


「こんなの望んでない! 助けてくれー」


「ん〜と、どうしてマネキンになっちゃったのかしら〜?」


「お前が乱暴に俺を床に落とすからだ! 頭打ったんだぞ!」


「なんだ、頭打てば元に戻るの? じゃあ、莉子ちゃんちょっとごめんね」

夏生が手を振り上げる。


「えっ」「あっやめろ」


バシン!

莉子ガエルはぶたれた。



「いったーい、ひっどーい、何すんですかー!」ピンクの長い耳が前後に揺れる。


「「あっ」」


「もー、暴力的ー! うちのお母さんとは仲良くさせないんだから!」


ピンクのうさぎがしゃべった。

















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