17 チューしてくれないか

それに気付いた莉子は春樹パンダが動けないように、ぎゅっと抑えつける。


(莉子の胸の柔らかい感触が俺のお腹に……。ぽよぽよ……。あぁ、できれば顔を挟んでもらいたい)と春樹の心の声。


「そうそう春樹のねぇ。小学校で仮装大会があった時の。雪の女王の格好してたの〜」


夏生がその写真が載ってるページを開いて莉子に見せた。


「へぇー。勝手に見せて大丈夫ですか? (目の前に春樹いるけど)」


「本人恥ずかしがるけどね。これを見せておけば春樹が将来女装をしてもそんなにショックは受けないと思って〜。春樹には内緒ね」


「春樹がカエルのマネキンみたいな格好しだしたらどうしましょうね」


「フフフ、カエルの女王だわね〜」


「下着姿を見てくれ! とか言われたらどーしよー」


「それは見てあげて〜」


「嫌ですっ。春樹のそんな姿、刺激的過ぎるー。って私いつの間にか君付けしてないですね。夏生さんの前で呼び捨てにしてすみません」


「今更よ。大丈夫よ春樹で。じゃあ、春樹起こして来てくれる? 私メイク直したりしたいから、まだ時間かかるけどね。ゆっくり待ってて〜」


「はーい」



春樹の部屋に入り春樹パンダをちょこんとカーペットの上に置いて、正面に正座する莉子。


(あっ莉子、黄色いパンツ見えてる。目が離せない。ぬいぐるみだといろんな良い事があるな。だがっ、このままではいけないっ)


「莉子、俺は将来女装するつもりはない。

夏生が女装してるのは好きにすればいいが、

俺の女装の話は恥ずかしいからやめてくれ」


「大丈夫だよ。雪の女王似合ってたよ」


「本当に女装に興味ないから。スカート履いたりメイクしたりなんて面倒くさい」


「ブラジャーは付けてみたいでしょ?」


「あ、ちょっと興味あるかも。ってそんなことより、相談したいことがある」


「なあに?」 


「元に戻る方法をいろいろ考えたんだが……」


「うん」


「莉子が俺にチューしてくれれば戻る気がする」


「えっ」


「チューしてくれないか」


「ごめん、やだ」








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