6 あんなことこんなこと
「……うそーん」春樹パンダは絶望したが、このぬいぐるみは無表情なので顔に出ない。
「春樹、パンダに転生したいって言ってたもんね。よかったね。いいなあ」
パンダの頭をなでなでしながら莉子がうらやましがる。
「よくない!」春樹パンダは小さい手足をパタパタさせた。柔らかいので莉子にへにょへにょした感触が伝わる。
「こんなに小さくて柔らかい手足で何ができるって言うんだ。あと俺の体は……本体はどうなってるんだ」
「転生なら……。生まれ変わりだから、死んじゃってるのかな?」
「そんな……。俺まだまだやりたいこといっぱいあったのに」(莉子とあんなこと、こんなことしたいと思ってたのに)
「春樹、ここに来る前に何してたの?」
「家のベッドで寝てた。あおむけで寝てたら金縛りにあって、頭と目は覚めてるのに体が動かなくて。で、気づいたらここにいた」
「すごいじゃん。金縛りにあえば転生できるの?」
「知らん。それにまだ転生とは限らん。意識だけパンダに乗り移ってるのかも」
「すごいねえ春樹。意識とばせるんだ。源氏物語の
「
「じゃあ、やっぱり、六条のみやすんどころ〜」
「みやすんどころって言いたいだけだろ」小さい手をへにょっと振ってツッコんだ。
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