スクランブルスクールガールライジング
菅野カツノリ
プロローグ
一人の男性が病院に向かって走り去ってく。
男性は、着物を着て下駄を履いているうえ彼の見た目はパッとみ五十代くらい六十代くらいに見えてもおかしくないのにもかかわらず軽やかに走り去ってく。
病院に着いてそのまま受付に向かって行く。
「ハァ…ハァ…面会を…三ツ
男性の慌てて表情にも動じず、受付の女性は手続きを済ませる。
面会の手続きを済ませ三ツ葉歌葉の病室に向かって男性は、駆け足で走って行く。病室の扉の前に着いて一呼吸つきゆっくりと扉を開ける。
「歌葉…」
「待ってましたよ…
竜人の呼びかけに囁く《ささや》ように応える歌葉。そんな彼女の腕に抱かれて心地よく寝息を立てながら眠っている赤ん坊が目を覚ます。
「おっ、もしかしてこの子か」
「そう、この子よ」
「可愛い顔をしているなお前によく似ている」
「そうね…少し不安だったけど本当に生まれて良かった」
歌葉は、我が子を産むことができた喜び、だけどどこか切なそうな顔で赤ん坊を見つめる。
何故なら彼女は、他人から見てもとても若い奥さんと言うにはあまりにも無理がありすぎる。実際彼女の年齢は十七歳である。法律上問題はないが普通に考えれば異常である。
だがその歌葉は普通ではない、彼女が竜人と結婚する前は身体が弱く
でも彼女は諦めず、子供を産むことに全てをかけた結果、何も問題なく産むことができた。
「そう言えば名前は決まっているのか、もし決まってないならわしが考えたなかから選んでくれ」
竜人は着物の懐からメモ帳を取り出す。
「もう決めているよ」
「ほう、そうなのかどんな名前だ」
歌葉は赤ん坊を竜人に受け渡しながらメモ帳を受け取り名前を書き始めた。
「生まれる子供が女の子だったとき絶対に名付けようて思った名前なのよ」
そう言いながら書いた名前は
明願
「ほう、中々良さそうな名前だなところでなんて読むんだ」
歌葉は微笑みながら応える
「
「明願かあ、一体どういう意味で名付けたんだ」
「どんな事があっても明るい人生を歩んで欲しい、例えどんな辛く苦しい運命が待っていても最後は笑って幸せに生きて欲しい」
「歌葉……」
生きて欲しいそれは彼女にとっての願い、どんなに頑張っても歌葉と明願が一緒に生きていくことはできない、できないからこそ自分が本来生きる時間を明願に託すために彼女はそう名付けた。
「大丈夫だ安心しろ」
「えっ…」
「こいつならきっとお前よりも、いや、わしらが思っている以上に明るく強く生きていくよなんせわしとお前の子供なんだから」
「そうよね、なんだか本当にそう思えてきた」
竜人の言葉に微かな笑みを浮かべながらそっと胸をなでおろす。
「ああ絶対大丈夫だ」
そう言いながら竜人は、明願を抱え上げる。二人の言葉を理解したかのように明願は笑顔で笑った。
数日後、歌葉は静かに息を引き取った最後は何も後悔の無い顔で旅立ったという。
そして月日は流れて2009年……
三ツ葉明願高校一年、彼女の物語が今始まる。
スクランブルスクールガールライジング 菅野カツノリ @Kan-Sugano
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