原体験というほどではないですが

   

 一週間くらい前かな、と思いながら、自分が書いた感想を確認するために『応援コメント一覧は本人のみ閲覧できます』を漁ってみたら、6月23日でした。

 カクヨムで、ある短編小説を読んでいて、感じたことです。


 その作品の、冒頭の数行目あたりに書かれていた話。主人公の『幼少期』に関する記述が、印象的でした。

 読んだ瞬間に思ったのが、

「ああ、私も子供の頃、似たようなことをしたなあ」


 自分の幼少期の思い出が蘇ると同時に、自分と主人公がフッと重なって、それまで以上に作品に入り込めたのです。

 その作品で描かれていた「主人公の幼少期の行動」は「日本人ならば誰でもあるはずの体験だろう」と思えるような出来事です。ならば、こうやって作品に引き込まれるのは、私だけではないはず。

「これは面白い技法だなあ」

 そう思いました。


 原体験といってしまえば、少し大げさかもしれません。

 別に『以後の思想形成に大きな影響を与えた』というほどではないからです。

 それでも『記憶の底に残っている』から、簡単なきっかけで鮮明な光景として目に浮かぶような、昔の思い出。

 なるほど、それが小説を読んでいて出てきたら、こんなにも作品自体が身近に感じられるのですね。


 この時、私は、ちょうどその数日前にカクヨムで読んだ話――別のかたの近況ノートあるいはエッセイで読んだ内容――も思い出しました。

 それは「ある商業作家が、意図的に食べ物のシーンを作品に取り入れている」という話です。

 そこで挙げられていた『ある商業作家』の名前は、私が一番好きなラノベ作家の名前でした。また、私は「食事のシーンが美味しそうな作家」として二人の小説家が印象に残っているのですが、そのうちの一人でもありました。

 なるほど、と思いました。

 幼少期の原体験ではないですが、食事も、誰しも普遍的に経験していることですからね。

 それを作者が意図的に作中に取り入れることで、読者は共感・感情移入しやすくなるのでしょう。

 これこそ、プロの技法です。


 以上のような二つの例で、私が感じたこと。

 今回の結論として、自分への覚え書きです。

 一言でまとめるのは少し難しいのですが、こんな感じになりますかね?


「読者を作品に引きずりこむためには、読者の普遍的な経験・体験を刺激しましょう」

   

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