書き出しの一文
「短編では、書き出しの一文って大切だな」
これは、4月12日の近況ノートに記した言葉です。
カクヨムで作品を読んでいて、もう最初の一文で「おっ、これは!」と引き込まれるような短編が複数あったからです。こういう時は「もう内容や構成の如何によらず、この作品には星を入れなければ!」と思ってしまいます。
実際には「書き出しが大切」というのは、短編であれ長編であれ、同じことでしょう。ただし長編ならば、ある程度の長さ――余裕――があるから、読み進めるうちに読者が徐々に引き込まれる可能性もあるはずです。一方、短編となると「徐々に」では困ります。読者がその気になる前に物語が終わってしまう可能性が高い。酷い場合には、その気になるどころか、逆に途中で読むのを放棄したくなる場合もありますよね。
それこそ『途中放棄』も、短編に限らず長編でも起こり得る話ですが……。長編ならば、文章そのものの良し悪しとは別の部分で「面白い」と思ってもらえる部分が――挽回できる部分が――短編よりもあるんじゃないかな、と感じています。
短編は、全体として短いが故に、一文、一文の意義がギュッと濃縮されている。だからこそ「短編では特に、書き出しの一文は大切」。そう思ったのでした。
一応、私も短編を書く時は、長編を書く時以上に「一文の重み」を意識して、より洗練された文章を書こうと努力しています。頑張っていますが……。あくまでも当社比です。
……と、これで今回は終わりのつもりだったところで。
今、ふと思ったのですが。
この短編と長編の意識の違い。もしかしたら、同じ長編であっても「一話あたりが短い長編」と「一話あたりが長い長編」とで、似たような意識の違いが出てくるのかもしれませんね。「一話あたりが短い方が読みやすい」というのは、単に「長いと読むのが大変」という理由だけではないのかもしれません。
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