第457話 大宴会!!!!!!!!
それから数分後――。
お通夜みたいな空気で絶賛家族会議の最中だった俺たちだったが――。
いきなり北条が家にやってきて――。
『ジョン君!! さあ、勝利の宴の時間よ!! 獣のように肉を喰らい尽くす焼き肉の時間よ!!』
と、言い放って、俺たちは貸し切りの高級焼き肉屋に連れていかれた。
俺としては打ち上げは待ってました、どんとこいという感じなのだが……
さすがに今回の件の主犯と言っていいつぼみを連れて行くのどうかと思った。
だが――北条とつぼみが……。
『コミュニケーションとは力わざよ!! 無理やり同じ空間にいてこそ輝くのよ!! それに最大の被害者であるあんたたちが和解したなら言うことないわ!!』
そしてつぼみが……
『ふん……義孝が私を気にする必要はないわ。自由に楽しんだらいいんじゃない?』
女子高生に名前で呼ばれるのはむずがゆいとか、お前はそれでいいのか?
……まあ、遅かれ早かれ皆に事情を説明することになるんだから……早い方がいいと判断した。
あとぶっちゃけた話、今日はいろいろあり過ぎて頭の処理がオーバーヒートしていて、無責任だが難しいことは何も考えたくない的な思考が全開で……簡単に言うと酒が飲みたかった。
長々としたいい訳も済んで……もういいだろう。
「よしゃあああああ!! 今日は飲むぜえええええ!! 一番!! 義孝飲みます!!」
今日ぐらい学生時代の時みたいな無茶な飲み方をしても許されたい(願望)。
「お父さん、身体壊すから、あまり無茶な飲み方しないでくださいね」
店内は40席ほどで、4グループほどに別れて焼き肉を楽しんでいた。俺のテーブル―には未来とつぼみ、北条、それに何故か生名さんが座っている。
ちなみに席順は長方形の長テーブルに俺の左右に北条、生名さん、正面に未来、つぼみだ。
「川島さん~~! 今日は私も飲んじゃいますよ。もう今日はいろいろ川島さんの秘密を知ってよくわからないですが!!」
既にワイングラス片手に結構酔っぱらっている生名さんが話しかけてくる。
「生名さんにはご迷惑をお掛けしたんで、ジャンジャン! やってください!
北条の奢りです!! …………で、何で生名さんがいるんだ?」
おれはこっそりと隣に座っている北条に話しかけた。すると北条は自慢げに語る。
「食堂事務所に三沢さんたちを誘いに行ったら、ものすごく負のオーラを放った人がいたから、なんとなく連れてきたわ!!」
「よくやった! その負のオーラの原因の8割以上が俺だから楽しんでもらえて、よかった!」
「いえいえ~、私もお呼ばれして嬉しかったです」
「ふん! 私の采配に間違えはないわ!! 多少強引に無理やり車に詰め込んだけどね!!」
お前それ普通に誘拐だからな。
「お父さん、みなさん、お肉が焼けました……嫌いなものがある場合は教えてください」
未来がひょいひょいと各自の取り皿に肉と野菜を乗せていく。手際がいい……うむ、俺には過ぎた娘だ。
「ありがとうございます! 川島さんも水臭いですね~。こんなに可愛い娘さんがいるなら教えてくれたらよかったのに~」
「実際、生名さんだけにこっそり教えたらどうなってました?」
俺の問いに生名さんは笑顔を消して真顔で――。
「リアルに胃に穴が開いていたと思います。ストレスで」
「だから教えなかったんです。俺って偉い」
「ジョン君……自分で言うことはではないと思うわ! だけど、上に立つ者としてナイスな気づかいだわ!!」
そんな内容があるような、ないような……会話をしていると、俺の正面に座っているつぼみが未来に話かけた。
俺は何気なくそちらの会話に耳を傾ける。
「未来、次は私が焼くからあんたも食べなさい。全然食べれてないでしょ? ほら、トング貸して」
「えっ……? そ、そうですか……?」
未来って人見知りだからな……しどろもどろになってしまってるな。というか……つぼみって意外と面倒見いいのか?
「ああ、てか、こういう雑用は私が全部やるわ」
つぼみがそう言った瞬間、未来は何を勘違いしたのか、キッと、どこかいじけたようにつぼみをにらみつける。
「お父さんを独り占めする気ですか……?」
「……よくわからないことで殺気を込めるんじゃないわよ。ほら、タン塩。カルビも食べる?」
「…………ふん。はい、食べます」
「…………」
うーん、見方によっては仲良くも見えなくもないけど……口喧嘩してるみたいな雰囲気のわりには、それもどこかぎこちない。
(やっぱりいきなり家族って言われても無理があるよな……俺至上主義の未来からしたらつぼみは敵だろうし……こればかりは時間が解決してくれることじゃないか……? うーーん)
俺は今日は難しいことは考えないつもりだった。
だけど……娘たちを見ていると今後のことを考えてしまう。
みんな幸せになれる方法! とまではいかなくても、いい落としどころを見つけられればいいんだけどな……。
後で個別にしっかり話してみるか……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます