第410話 幸せな時間
◇◇◇
俺は何でこんな状況にいるのだうか……てか、本当に俺は何度自分の状況に疑問を持てばいいのだろうか……人生ハードモード過ぎ。
「お父さん、あっちに美味しそうなカステラがありますよ? 一緒に食べませんか? あっ、でもあっちには……」
「…………」
俺は娘と学園祭デート? をしていた。
なんだ、この奇怪な状況は……相変わらず俺はDQN風のヤンキーファッションだし、俺と未来の背後には周りを警戒して恐い顔をしてるフレアさんがいる。
もう悪い意味で目立ちまくっている。
『お父さんって、あれが美人竜胆姉妹の父親? い、イメージと違うような……』
『規格外なのは予想通りだけど……』
(ああ、実花未来ってやっぱ学校で有名なのか……そりゃ美人双子姉妹だしな。い、いいのか? DQNが父親でも……? いいんだろうな、実花未来って他人からの意見気にしないし)
というか、そもそも何で決死の覚悟で働きに来た俺が未来と出店を周っているのかというと……それは数十分前に三沢が事務所にやって来たのがはじまりだ。
◇◇◇
『おう、テンチョー! 生名から聞いてたけど本当に来たのか!! イカスファッションをしてるな! うむ、その格好なら問題なさそうだな!』
『ああ、悪いな仕事任せっきりにしちゃって、これからはバリバリ働く』
『はっ? 何言ってるんだテンチョー! テンチョーがやることと言ったら1つだぜ! 今から未来と一緒に休憩だ!』
『………へっ?』
『安心しろ! 後で実花も向かわせるぜ!!』
◇◇◇
と、いう一幕があり、おれはこうして未来と共に学園祭を周っている。
いや、それ自体は構わないんだけど……。
むしろ三沢の気遣いがとても嬉しい。
だけど、壮大な決意のあとだから、やるせない気持ちにはなる。
「? お父さん、どうかしたんですか?」
未来は俺の顔を覗き込む。腕を組んで俺にべったりだ。いつもの無表情ながらもすごく機嫌がいいのがわかる。
「おい、そんなにくっ付くなって。今の俺はDQNだぞ!? 変な噂がたったらどうする!」
「今のお父さんはお父さんの設定なので問題ないです」
「ややこしいわ! それに俺が父親設定でも問題だろ! 学校側に呼びだされる!」
「いえ、教頭先生もお爺ちゃんもこちら側なので何も問題ありません」
「…………」
「あれ? 論破しちゃいました? ふふふ」
そう言いながら、俺の腕をぎゅうううっと掴む未来。うむ、可愛い娘だ。
もう何もかも放り出して遊びたい。
まあ、そういう訳にもいかないか……なら、この時間だけは楽しむか。
『パパ~~未来ちゃん~~!! 私も混ぜてえええええ!!』
「あっ、お姉ちゃん来た、ふふ」
「はぁ……こうなると、楽しまないと損か」
俺はそう考えて、少しの時間文化祭を楽しむことにした。
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