第404話 悪化する状況
それから家に戻るために電車に乗った。
俺は家に戻る途中コンビニに寄って浅田と秋村に差し入れ買おうとしている。
さて、浅田が甘いものが好きだということはこないだのマフィンの件で知っているが……秋村は何が好きなんだろうか……?
(シュークリームでも買って行くか? それともカロリーが低いものを買っていた方がいいのだろうか?)
そんなことを考えながら買い物かごを持って、コンビニの中をうろうろしていると――。
『おい、クズこんなところで油を売ってるんじゃねぇ。だからお前はだめなんだ。脳が生殖器になってってるのか? ああん?』
アイドルとはかけ離れたような低い声色で浅田が話しかけて来た。
服は着替えており、いつものロック系の私服になっている。外出る時は身バレを防ぐためかいつもこの格好だ。
「いや、お前らの差し入れを選んでててな。何か食いたいものとかあるか?」
「ん? ……買ってくれるのか? なんでもいいのか? いくつでもいいのか? あたしは遠慮せんぞ?」
「ああ、こんなことでお礼になるとも思えないけどな」
「ふーん、腐ったプリンみたいな脳みそのくせに、やるじゃん。それなら……甘いやつだ。シュークリームとエクレア、そうだアイスも……」
そんなことを呟きながら浅田は次々と商品を俺が持つ買い物カゴに入れていく。うむ、俺はおっさん特有の、遠慮しない若者には謎の好感があるからな。
普通に嬉しい。
「それで秋村はどうしたんだ……?」
あいつをあまり家に1人にしたくないんだが……まあ、でも家に入れた時点で今更か……大丈夫か……一連の事件が片付いたら爺さんに頼んで業者を呼ぼう(信用してない)。
「ああ、あの秋村っていう女なら、家に帰ったぞ? 何でも家の方がパソコンのスペックがよくて効率がいいとか」
「えっ? そうなのか?」
「そうでなきゃ、あたしはここにいない。あの女をお前の家に1人にさせたくないんだろ?」
「な、なんでわかったんだよ?」
「お前の態度を見てればまるわかりだ。あの女やばい匂いがする、あたしのことを舐めまわすように見てマジでキモイ」
まあ秋村ってその道のプロ?だし。
「そうだ、そんな話より、ババアから伝言だフェネットが」
「教頭から?」
「『どんな判断を貴方がしても私たちはそれを受け入れます』だとよ。あのクソババアはマゾかなんかのかねぇ~……あたしも人のことを言えんかもだけど」
「は、はい? どういうことかさっぱり……」
「…………」
事態がのみ込めず、困惑している俺に対して浅田はスマホの画面を見せつけてくる。
『文化祭で川島義孝を食堂で働かせろ。さもなくばこの写真をばらまく』
「…………」
ご丁寧に俺と実花未来がラブホテル言い合いをしている写メまで添付されてる。
「…………」
思考が止まる。俺の脳内PC最近ポンコツ過ぎじゃね? すぐフリーズする……。
「念のために聞いておくが……お前娘とヤったのか? このゴミくず強姦魔」
「ヤってる訳ねぇぇだろうが!! これは俺が襲われそうになってる写真だ!!」
コンビニに俺の咆哮がこだまする。
自分でもものすごく迷惑だと思うが言わせてくれ……こんな状況でも俺を働かせるかのか!
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