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つまり、俺がこの力を使うために最も大切なのは、信じること。
俺のこの推測を話した時、タルサは笑いながら〝成功する〟と答えてくれた。
聞いてしまえば現実になる恐れがあるために聞けなかったけれど、タルサはあの時、実際はどう思っていたんだろうか?
本当に、俺の作戦が成功すると、思ってくれていたのか?
それとも、成功する確率を高めるために、嘘であっても〝成功する〟と答えてくれたのか?
……でも、そんなことは些細な問題かも知れない。
タルサは、どちらにしても、俺の出した答えを信じてくれた。
ならば、俺はタルサが信じてくれた未来を、勝ち取るだけだ。
ようやく最後のページに辿り着き、改めてキーボードに手を伸ばした時だった。
「私たちの魔力を、奪わせはしませんよ?」
目の前に、黒い剣が突き立てられた。
その剣はノートパソコンのキーボードを貫通し、ノートパソコンを机ごと串刺しにしていて――俺が驚く間もなく、こちらに向かって振り貫かれた。
俺は驚きながらも地面に転がってそれを避けるが、
「こんなものがあるから!」
俺のことなど眼中にないように、彼女はノートパソコンを切り刻む。
俺がようやく立ち上がって見つめれば、机に乗った彼女の足元には、すでにバラバラになったノートパソコンの残骸が残っているだけだった。
「……ミーナさん?」
名を呼ぶと、ようやくミーナさんは俺を見つめた。
ミーナさんはいつものメイド服だが、その手にはカルヴァンの持っていた黒い剣が握られていて、その切っ先を俺に向ける。
「お、俺の話を聞いてください!」
俺は叫ぶように口を開くが、ミーナさんは首を横に振るだけだ。
「……今更、私は止まれませんよ」
ミーナさんは机から飛び降りて、俺に剣を向けた。
俺は咄嗟に――腰にあった魔剣を抜いて、それを受け止める。
ここでも、メリッサさんの稽古の成果が出ていた。
反射的に剣を抜くなんてことは、あの稽古がなければできなかっただろう。
しかし、安堵するには早かった。
「ここにある魔力は、悠久の魔女様のモノです!」
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